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迷宮奇譚書  作者: 渦雷
プロローグ
9/19

迷宮への挑戦心!

200X年9月13日19:46 カシマ神社社務所内


 剣道場より、再び社務所内の和室に戻ってきた山田と卜念は、二人揃ってよっこらしょと疲れた様子で座布団に座る。特に山田は、ひどく疲れた様子であり目が虚ろである。それを見て卜念は


「疲れたか?無理もない、普段目にしないものに出会ったのじゃからのぉ。ストレスに弱い奴じゃったら倒れていてもおかしくない。お主は運動神経ゼロじゃが、精神力は強いかもしれん。それとも迷宮奇譚書で鍛えられたか?まぁよい、まずは一服じゃ♪」


 そう言うと、社務所の奥に向かって「お~い、藍那。お客さんに例のヤツ!」と声をかける。すると、「は~い」と藍那の声が聞こえ、しばらくして学校の体操服姿で、お盆に二人分のお茶と栗羊羹が出てきた。


「疲れたときには甘味と、このスペシャルミルクティ~が一番じゃ♪さぁ、遠慮なく召し上がられよ。」


 スペシャルミルクティー…?また、このジジイの実験台にされるのではと、恐々とお茶を覗き見る。色はミルクティー色だが、匂いは…少し薬臭いのか、ミルクの匂いでよく分からない。飲むのを躊躇していると、卜念が叩き込むように「毒など入っていないから、早く飲め!」と促すため、しょうがなく口をつける


 味は・・・ゲロ不味である。詳しく説明すれば、ミルクに苦い薬膳茶を入れたような、匂いで想像がつく味であった。卜念に何が入っているのか聞くと、「聖母生ミルクをベースにドクダミ、サルノコシカケ、月見草にトリカブト等、絶妙なバランスでブレンドしている」とのことであった。「トリカブトは毒じゃねぇか(怒)」と追求すると、「薬と毒は紙一重じゃよ」とはぐらかされてしまった。栗羊羹は美味であったので、納得はいかないが許してしまったが…不思議と疲れがとれたのは気のせいにしたい。


 二人が一息ついたところで、卜念が真剣な顔で口を開く。


「さて、お主も見たであろう、わしの力を。そして、お主が持っているその書物も、同じ類の力を持っているのは理解したかな?お主が、その書物に魅入られて富を得るのか、身の破滅を招くのかは分からんが、挑戦するのはお主の自由じゃから誰も止められん。しかし、わしも神職に就いている身、すぐに死なないように協力してやっても良いぞ。」


卜念の話を山田は真剣に聞いている。平和な世の中で暮らしている身としては、自分が死んでしまうかもしれないとの言葉に全く実感が湧かなかった。確かに、卜念のタケミカヅチには驚いたが、死の恐怖までは植えつけられていない。それよりも、迷宮への財宝が、妻が夢見るマイホーム、娘の養育費、親への感謝に繋がるチャンスに興奮していた。家族の幸せのために、迷宮に挑戦したい気持ちが燃え上がった。


「卜念さん!私がこの本に出会ったのも何かの縁です。死なない程度に挑戦していこうと思っていますので、是非とも協力をお願いいたします。」山田は頭を下げてお願いする。


「やはり、挑戦するか…あい分かった!わしもできうる限り協力しよう。」卜念は、挑戦することを分かっていたように頷く。


 外はすでに夜は迎えていた。




今回の宝物:無し

装備:無し










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