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迷宮奇譚書  作者: 渦雷
プロローグ
1/19

迷宮の発端 

200X年9月10日 18:51 スーパーマーケット食の女王(プリンセス) 迷宮地下1階


 時折響く、ブーンという機械音に包まれた回廊からは、ポタポタと天井のパイプ管から水滴が落ちてくる。水滴を避けながら俺は、前後をキョロキョロと様子を窺う。


「これって、普通に不法侵入だよな…」


 山田某はボソリと呟き、早く最深部に到着したい気持ちで、忍び足で先を急いでいた。


 スーパーマーケット食の女王、略して食プリは、山田某が働いている会社から車で8分程であり、通勤路にあるためアクセスしやすい場所である。高級店というわけではないが、安売り路線でいく他のスーパーとは違い、安心・安全な国産自然食品の提供を売りに、ぷちリッチなマダム達の心をガッシリと掴んでいる店である。山田家の給与では、食プリで買い物をすることは滅多に無く、妻は「安い店にも、安心・安全な国産の食材はあるのよ」と見向きもしない店であった。


そんな、食プリの外を出た店舗裏手側、搬入口の近くにある暗証番号パネルで開くドアの先が迷宮への入り口であったとは・・・


 迷宮奇譚書には、「難易度:タイムサービスを狙う熟練マダムレベル。ヒント:0930。タイムサービスで忙しい時間帯を狙えば用意にクリアできるわよ。ぐふふっ。」と記載されている。


 0930が暗証番号なのは明白であった。回廊からは、機械音とは別に食プリのテーマ曲が流れてくる。タイムサービスが開始されたのであろう。山田某はすでに、最深部であろう場所に辿り着いていた。


「これは・・・」


最深部には、何かの機械制御盤が設置されていて行き止まりになっていた。その機械制御盤のマニュアルが入っていると思われるビニールケースに、食プリの商品券5千円分が同封されていた。


「これが、宝物か?というか5千円は安すぎだろ。せめて1万円分ぐらいあってもよくね。」


「いいのかな?貰っても?」


 躊躇しながらも、ありがたく頂戴し迷宮の出入口に向かう。出入口である10段ほどの階段を慎重に移動しドアの前で誰もいないことを確認して、山田某はサッと迷宮を脱出した。


 店の駐車場には、お惣菜の匂いをプンプンさせた、ぷちリッチなマダムが腰をくねらせ、片手に有名ブランドのバッグ。もう片方の手には、食プリマークの買い物袋を持って家路に向かっていく。 


「良い尻してるわぁ…良い物食ってると発育が違うのかね?食プリの客は、エコバッグなんて知らねーよな。あぁ腹減ったぁ…。」


 そう心に呟きながら、山田某は商品券を握り締め家路に帰るのであった。


今回の宝物:スーパーマーケット食の女王5千円商品券。


装備:無し。









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