表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

♯001 バッド

 黒崎信吾は、巷では有名な不良である。

トレードマークは、紅い髪に咥え煙草。そして、高校生とは思えない、その体系。

全てが筋肉で出来ているとも思える彼の身長は、平均の高校生のそれを軽く凌駕している。


 そんな彼は現在、体育館の裏で自身の配下にいた不良たちに囲まれていた。

所謂、下克上というやつである。


信吾一人に対し、彼に反旗を翻し、各々凶器を片手に円を作る敵は、六人。

誰がどう判断しても、信吾が圧倒的に不利な状況である。


だが、彼の口元には、気味の悪い笑みすら浮かんでいた。


「黒崎さん。アンタが入学した時から俺ァずっとナンバー2としてアンタの下に付いてましたが、もう我慢ならねェ」


その‘反逆軍’のリーダーとも呼べる男が、信吾にそう口を開いた。


 八坂雄二。信吾が入学してから初めて彼に喧嘩を売った相手でもあり、同時に、信吾が初めて支配下に置いた人間でもあった。


因みにだが、彼は信吾の一つ上の学年、三年だ。


「俺はお前の嫌がることをしたつもりは無いんだがな。……何か気に障ることがあったなら、謝るよ。だから、その木刀を置いてはくれないか?」


信吾は未だ薄ら笑いを浮かべたまま、雄二にそう問い掛けた。


 信吾の眉間に、恐ろしいほどの皺が刻まれる。


「俺らが気に喰わ無ェのは、黒崎さんのその態度でさァ。……まったく、この高校のアタマらしく無ェ。正直、甘っちょろいんですよ、アンタ」

「避けられる喧嘩を避けて、何が悪い? 謝って許してもらえるなら、それが一番だろう?」


信吾のその言葉に、雄二は舌打ちで返事をした。


 沈黙が、七人の間に鎮座する。

それを破る合図は、信吾の咥えた煙草から落ちた、灰だった。


それが、サラリと地面に落ちるのと、ほぼ同時。


「黒崎さん、悪ィけど……ウチの番長の座、返して貰うぜ!」


六人が、それぞれの武器を振りかぶった。

それらの向かう先は、間違いなく信吾にある。


だが、信吾は依然として、両手をポケットにしまったまま、雄二を睨み続けている。

無論、口元に笑みを携えて、だ。


「‘石沢の悪魔’ァ!! その首頂くぜェ!!」


雄二が、勝利を確信し、木刀を振り下ろす。

が、その手に勝利の感触は無かった。


 刹那、驚きを隠せないでいる雄二の腹部を、体験したことの無いほどの衝撃が襲い掛かる。


「――ッ!?」


そこにいたのは、間違いなく、黒崎信吾である。

信吾は六人の襲撃をいとも簡単に回避し、強烈な一撃を、雄二の腹部に叩き込んだのである。


雄二はまるで後ろから引っ張られているかのように飛び、壁に叩き付けられた。


「さぁ……次は誰だ?」


指を鳴らしながら、信吾がたじろぐ五人に向けて問うた。


「う……うあああああああああっ!?」


五人のうちの一人。

先月信吾の支配下に入ったばかりの新入りが、錯乱しながらその手に持った金属バットを振りかぶった。


信吾はその姿を見て、溜息まじりに、両手を広げる。


「な……!? アイツ、まさか新入りの一撃を受け入れるのかッ!?」


四人のうちの一人が、未だ何もしない信吾を見て、驚愕の声を上げる。


「死ねぇぇぇえええッ!」


半泣きの新入りが、そのバットを振り下ろすのと、同時。

信吾は、その固く瞑っていた眼を大きく開き、右手でそのバットを弾き飛ばした。


「焦るなよ、雑魚」


信吾は余裕の笑みを浮かべ、そう新入りに言った。

ペタリと、新入りが地面に足をつく。


「腰が抜けたか? 新入り」


そう問い掛ける信吾の目に浮かぶのは、侮蔑。

雑魚に興味は無いとでも言うように、信吾は右足で、新入りの顔面を蹴り飛ばした。


「――さて、そろそろ飽きたな」


退屈そうな瞳で、信吾はそう呟いた。


彼の圧倒的強さに恐怖を抱いた四人がたじろいだ、その刹那。

不意に、信吾の姿が消えた。

否。見えなくなったのだ。


次の瞬間には、四人は気を失い、地面に伏していたのだ。


「口ほどにもないな。もっと力を付けてから挑みに来い」


そう言って、信吾は雄二の顔に、既に半分以下になった煙草を吐き捨てた。



 しんごの一連の行動を見つめていた‘そいつ’は、口元を歪め、にやりと笑った。


彼が。


彼こそが相応しい。


そいつはそう零すと、足音も立てず、その場を立ち去った。


てな感じで、始まりました、デビル×バッド。

……とはいいましても、書くことはあまりないので、ここで主人公の容姿説明でも。


黒崎信吾(17)

短い紅い髪と咥え煙草がトレードマーク(因みに銘柄はブライト・10)

喧嘩無敗で、‘石沢の悪魔’の異名を持つ。

因みに、石沢は彼が番長を務める学園の名前。

意外と正義感が強く、容姿も端麗な為、実はファンクラブが存在していたりする。

……以上です。

続いて、次回予告をば。

え~、次回、邂逅編『デビル』

それでは、また次回、お会いしましょう。

アデュー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ