仲間
とても説明がながくなりました
わかりにくいかもしれません…
というか、スジが通っているか心配笑
それでもいいという人は読んでやって下さい!
「ん…」
「あ、目覚ました?」
「あ…」
あれから、まる一日寝ていた少女はようやく目を覚ました。もう次の日の夕方だが、陽はまだ出ており眩しいのか、目を細めてベッドに寝かされていた身体を動かしこちらを見てきた。ここはシャルの家がある首都のバルトからほど近い場所に広がる森の中にひっそり建つも、なかなかの大きさがあるロッジの一室である。その正方形の部屋の西側につくられた窓のすぐ下にベッドは置いてある。そのそばにシャルは椅子を持ってきて、座って少女の様子を見ていたのだ。まだ、頭がぼーっとするのかジッとこちらを見てくる少女の頭を優しく撫でると、気持ち良さそうに一瞬目を閉じたが、次の瞬間はっとしたように目を開き、いきなり起き上がった
「?!」
「わ、どしたの?」
そんな少女の行動にびつくりしつつも、体調は大丈夫そうな雰囲気にシャルは安心したように体の力を抜いた
「良かった。調べたかんじだと疲労で倒れたようだったけど、なかなか目を覚まさないから相当疲れてたんだね。どう?体の方は」
「え、あ、うん…大丈夫」
「そう。良かった。…うん。本当に良かった」
慈しむものを見るような目で優しく微笑みながら少女を見つめるシャルは頭を撫で続けた。それに困惑した顔を少女はした
「あの…」
「ん?」
「なんで、助けてくれたの?」
「んー…。信じてくれないかもしれないけど、あなたの助けてって声が私に届いたからかな。それに元々あなたを探して私はカデンに来ていたの」
「私…?声?でもわたし」
「うん。でも私に聞こえたの。あなたを探していた理由はあなたの他に同じ人が4人いるから、そのひとたちと一緒に話すわ。…でもその前に、一つだけ言わせて欲しいの」
「なにを…?」
「私はあなた、スフィエス=カルデナールに会えて凄く嬉しい。」
「え…」
「もう、制的に元の場所に戻されることはないわ」
「な、なんで」
「だから、安心して。ここは安全よ」
「あ…」
シャルが優しく頬を一撫でした瞬間、ぽろりと少女が涙を零した
「あ、あ、あ、うっ、う、あ」
「うん。今までよく頑張ったね」
「う、うん、うん、うん…!」
「落ち着いた?」
「うん。…あの!」
「ん?」
「あの、…ありがとう」
「うん。どういたしまして。じゃあ、行こうか。みんな待ってるよー」
「み、んな?」
シャルにつれられて部屋を出るとそのまま木で造られた、螺旋の階段を降りるとリビングに出た。結構な広さがあるリビングはソファが五つ、背の低く横の長いテーブルを囲んで置いてあった。そのテーブルのまわりに青たち4人と、その4人がそれぞれ迎えに行った子供4人と双子と、クローゼンの両隣に座っている赤紫き色の髪と目をした活発そうな11歳の女の子と青緑の髪と目の12歳の眠っている少年がいた
一番大きいソファには端に貴族らしく姿勢正しくアルベルトが座り優雅に紅茶を飲んでいる。その斜め後ろに従者が立っている。アルベルトに何回座れと言われても断固として拒否したのだ。その隣はルーネが座っている。その目はギラギラと輝いていてまっすぐに前を見つめている。その隣は赤紫の女の子、クローゼン、そのクローゼンにもてれかかって寝ている青緑の少年となる。クローゼンにが座りつつも隙なくあたりを見回しており、本人はばれてないと思っていても周りにばればれで微笑ましさを誘っている。そしてヘライアが座りみなが余裕をもってすわっているため満席となっている。そのヘライアは膝に双子の片割れをのせており、楽しそうに話をしている。もう片方のコは、ヘライアたちの隣に縦向きにある三人がけのソファに座る白の膝の上である。少し緊張気味だが、身振り手振りも加えて元気に白に話しかけている。白は大きく動くために膝からずり落ちそうになるのを器用に抱え直しながら、けれどもそれをかんじさせずににこにこ笑っている。その隣の黒はひじ掛けに手を置きもたれながらそれを楽しそうに見ている。テーブルを挟んで白たちの向かいにソファには朱が暇そうにだらしなく腰掛けている。その隣に青は立ち、ぼーっと外を見つめている。そこにシャルとスヒィエスが降りてくるとそちらに向かい手を取りソファの方へ誘導し座らせた。その際、スフィエスのことも忘れずに上手くエスコートし座らせた。そして本人は元の位置に戻った
「待たせてごめんなさい。これで全員揃ったわね?じゃあ、まずは自己紹介から。私はシャル。私の右隣の黒髪が黒。その隣の男は白。ちなみに変態。左のだらしないのは朱、そして立っているのは青。よろしくね」
青は静かに頷き、朱はやほ~と手をひらひらさせた。黒はどうもと軽く手をあげ、白は酷いなぁと呟いた
「正式名称はちゃんと話し終わってからにさせて。だからあなたたちお互いの紹介もあと。それで…まずは私たちの目的を話したいんだけど、それには長い話になるからわからないところあったら聞いてね」
シャルは真面目な顔して一息つくと静かに話し始めた
私は前世の記憶を持っているわ。というより…転生したという方が正しいかも。私は前の人生で19歳になる前に転生の術を使って死んだから。術は私たちの世界での魔法と似たようなものよ。ちなみに術を使う人を能力者と言うわ。その術を決死の覚悟、というか死ぬのは使ったら当然なんだけど使ったのよ。なぜそんなことになったのかを話すには私の家の話に入らないといけないわね。私の家は表には一切出ず、裏を取り仕切っていた一族、真桜家というところなの。私の家は裏の世界では有名なほど強かった。なぜか私の一族は能力者が多く産まれてね。しかも強い力を持った者や特殊な力を持った者が。我が真桜家にしか産まれない能力者もいたわ。だから私たち一族が世界を変えようと動き出したら、たぶん誰も止められない。ううん、絶対。…それは証明されたわ。けれども今までなぜ世界に私たち一族が排除されなかったというと、私たちに流れる巫女の血と、陰陽師としての制約があるからなの。私たちは巫女の血のおかげで世界にとって必要な術を使える唯一の一族であることができた。そして陰陽師としての制約をもつ我々は嘘をつくとはほとんどありえないわ。
私たちは産まれた時につけられる名とは別にもう一つ、魂に刻まれている名があるの。その名前は魂に刻まれているからこそ人に知られれば命を握られたも同じ。そして真名のもと誓ったものを違えることは魂に傷をつけることになる。つまり死ぬことと同義なのよ。だから我らが真名において誓ったことは違えれない。また使う術は特殊なのが何個かあって、それは真名のもとに行使しなくてはいけない。だから基本我らが一族は魂の力を底上げする訓練をさせられるわ。それは日常においても行うから常に魂を鍛えてることになる。だから魂が他よりも身近にある我らが嘘をつくと魂にすぐ影響してしまう。それを穢れると言うわ。穢れすぎた魂はいつかヒトではないものになる。だから。我ら一族は嘘をつかない。そして真名もとに誓ったものは必ず実行する。裏切らない未来が約束できるからこそ、私たちは生きていけた。そしてそれを理解しているからこそ、一族の人々は力に溺れるものや私利私欲に使うものはいなかった。けれども長く続く家がずっと正しくありつづけるのは難しい。どこかで少しづつ綻び始めてたんでしょうね。我らが一族から、力を使って罪なき人々を殺めるものが出てしまった。気が付いたときには多くの犠牲者が出ていた…。止めれなかった。なによりも近かったのは私だったのに。…殺人を起こしたのは私の側近だった男よ。一族の中でも特に力が強かった私にすぐに討伐命令が出たけど、相手は私の側近。私の真名を当然知っている。苦戦したわ。しかもあいつは自分に死ねない禁術を自分に使った。どんなに瀕死でも死なないのよ。そこまで生に執着するならなぜ…、それは今はどうでもいいわね。まぁ、でもどんなことでも穴はあるのよ。そこで転生の術が出てくるの。転生の術を使うことで、死んだのではなく次の生が今の生の続きと魂に錯覚させたの。裏道みたいな話で実際成功するかは半々だった。まぁ、成功したからここにいるわけだけど。私とやつの魂は何か会ったときにすぐに察知できるように繋がってる部分があるの。だから、私に対して転生の術をかけて奴が抵抗する前にこちらにひずりこむことでなんとか成功したわ。禁術といえど、どんなに魂が違う認識をしていても身体は実際死ぬわけだけだから無効になるからね。そして、こっちではその禁術は使えないことは確認したから大丈夫だし。ただ、私が前の記憶があるようにやつも絶対にあるわ。そして奴の執着は半端ない。前のときに気付いたけど、奴が人を殺していたのは楽しむだけでなく目的があって行っていたことだった。やつが殺したことによって多くの争いが生まれて、多くの人が死んだ。それがどう影響を及ぼすかわからないけど、やつの目的はこっちにきても変らない。ということは…確実にいつの日かこの大陸は戦乱に巻き込まれるわ。そして、それを阻止するのが私たちの目的。そのためにあなたたちの力が必要なの。だから、お願い。力を貸して欲しい
真っ直ぐに目の前の少年少女を見つめる。その瞳には確固たる信念がうかんでおり、あまりの強さに少年少女たちはたじろく。しかし、意を決したようにアルベルトが手をあげた
「正直難しいし、ちょっと頭混乱中ですがなんとなくわかりました。その話は嘘じゃないとも本当なんだと思います。そのような壮大な話を私たちにして益がそちらにあるとは思えないですし」
その言葉に他のものたちもぎこちなくはあるが頷く
「ありがとう。でも、敬語はいらないわよ?質問もしてくれていいし」
「では、お言葉に甘えて。一つ聞きたいんだけど、おれたちの力と言ったけど、少なくともおれには身に覚えがない。助けになるとは思えないが…」
「それはこれからの話かな。…ねぇあなたたちは運動神経が悪いとか記憶力が無いとか、魔法が上手く使えないとかいわれたり、思ったことない?」
「ああ、人よりも技術が身に着くのが遅かった。今では逆に嘘な位、ぐんぐん強くなっているらしいが…」
「うん。なんか一回死にかけた時から、いきなり伸び始めたよね!」
それにクローゼンが頷き、赤紫の髪のコが同意した
「僕もだね。それまではどちらかというと仕事が覚えれなかったのに、本当に死にかけてもう、こんな思いは嫌だって思った時から、ぐんぐん頭がよくなっていった…」
「にいちゃー?」
一瞬くるしそうに顔をゆがめる膝の上の双子の片割れが不思議そうに覗き込む。頭を撫で微笑むとにっこり返してくれる片割れを抱え直すとシャルに向き直った
「なんでもないよ。それよりも、似てるのにはわけが?」
「そうだね。あなたたちは他の人よりも大きな資質を抱えているわ。けれどもそれが大きすぎて、自分の身体を保つだけで限界なのよ。魂の強さに身体がついていってないというのが正しいかな。だから、身体の発達が遅いし、記憶力もとくない。けど人間死にかけると生きようと必死になるでしょう?身体のスペックが底上げされるのよ。すると今までより出来ることも増えるし、もともと資質はあるのだから優秀な部類に入るわ」
「じゃあ俺が今まで色々と出来なかったのは俺の努力が足りなくて身体のスペックが低かったから…?」
愕然としたようにアルベルトが呟く
「いいえ、残念なことにそれは違うわ。あなたたちが想像出来ないくらい、魂は強いわ。大きすぎて耐えれる身体ができるのはどんなに頑張っても50は過ぎるでしょうね」
「なっ、それじゃぁ俺はいつまでたっても…」
「でも、だからこそあなたたちが必要なの。さきほどいったけど私たちは自分の側近、というよりはガーディアンかしらね。その人たちとは魂の繋がりをもつ。それはね、ガーディアンにとってのマスターが死にかけた時にすぐにわかるためなのと、繋がりがあると片方が死にかけても片方が踏ん張ってくれたらそれに引きずられて、死ににくいの。…でもここにいる青たちも同じで魂が強すぎる。あまりにも差があると、魂が強さに押しつぶされる。でもあなたたちなら、耐えられる。しかもそれぞれ魂の色が似てるから他よりも深く繋がれる。そして似てるからこそ、相手の本心がわかりやすい。あなたたちが彼らに敵対心を持たなかったのは、彼らが好意をもって接しているのを心の底で感じ取ったから」
「なるほど…」
それにアルベルトが納得したというように声をあげた
「でも、それは相手に命を預けるのと同じ。しかも一応とはいえ彼らがマスターとして繋がるわ。仲間なのにちょっとでも上下関係があるのは嫌だと思う。しかももし、相手が死んだらそれに自分も引きずられるから、マスターが死んだらあなたたちも道ずれ。私たちの仲間になってとは結局そういう意味になってしまう。けど横暴かもしれないけどあなたたちの力が必要なの。手を貸して下さい」
そこまで言っていったん頭を下げたシャルは顔をあげると立ち上がった
「それでも仲間になってくれる人は教えて。私たちは隣の部屋にいるから心を決めたら来てくれれば」
立ちあがりながらそう言うシャルを今までずっと黙っていたスフィエスが見上げた
「私はなるわ」
「え?え、でももっとゆっくりと考えて…」
「あなたは私を助けてくれた。役に立てるなら、たちたい。だから、あなたを助けたい。なんとなくわかるの。私と繋がるのはあなたなのよね?」
「ええ、そうよ。…後悔しない?」
真摯に見つめるその目をシャルも真面目な顔で見つめ返す
「絶対」
即答で言いきられたシャルはため息をつき、わかったと返した
「よろしくね」
「うん」
それに嬉しそうにスフィエスは微笑んでかえした。そのやり取りを静かに見つめていたルーナも声をあげる
「あたしも、やる。強くなりたいから。強くなってなにがしたいのか、聞かれても今はまだわからないけど、もう力がないことを嘆きたくない」
「俺が鍛える。だから、平気だ」
その言葉に青がいつも無表情な顔を少し笑い崩しながら言った
「俺もだ。強くなれるならなりたいし…それに、俺を必要としてくれるのはあなたたちが始めてだ。だから、それに報いたい」
「おー、よく言った!お前は俺とだ!よろしくな!」
「ちょ、やめ」
だらけていた身体を起こし、朱はアルベルトの頭をぐしゃぐしゃとかき回した
「青と朱がそう言うならわかったわ。さて、残りの二人なんだけど、一つだけ言っとくわ。もし、仲間になった時に本人次第なんだけど彼らとは別に繋がる人を持ってくれるのも可能だわ、あなたたちがマスターとして。そしてその相手にヘライアは双子ちゃんたち、クローゼンは隣の二人と可能だわ。仲良くなる相手は魂が近い人が多いの。そして実際近い。常日頃からあなたちの近くにいた彼らは魂が鍛えられてて、耐えれる位はある」
「じゃあ、ぼくたちがこんどはヘライア兄ちゃんを助けれるってこと?」
白の上方の双子の片割れの言葉にシャルは目をぱちくりさせつつもシャルは頷いた
「そうなるわね。でも、よく話がわかったわね。まだ、幼い双子ちゃんたちには難しいと思うけど…」
「頭が少しでもよくなれば兄ちゃんを助けれると思って、勉強しやんだよ!」
その言葉にもう一人が声をあげる。そして互いをみて頷くと
「だから、僕らも鍛えてください!」
と言った
「な、ウィリー、ウィル!」
「いつも兄ちゃんが助けてくれた!」
「こんどはぼくらのばん!」
胸をはってどうどうと言いきった二人にヘライアはため息を零した
「わかった。良いよ。僕も賛成しようとは思っていたし」
「え、ホント?」
「ホント。君たちが目的があったにせよ、僕らを助けてくれたのは事実だし。…それにもしここで断っても君たちは僕らをどうこうしよとは思ってなかったんだろ?」
「それはそうよ。そんな人でなしじゃないもの」
「だからだよ。そんな君たちだから出来ることがあるなら、恩を返したいと思ったんだ」
「…君たちは僕とだよ。遠慮しないでいくから覚悟してね?」
「「うん!」」
「お願いします」
「白も決まりということで。で、えと…周りにながされないで断ってくれてくれて良いからね?」
ずっと無言で顎に手をかけて考え込んでいるクローゼン、そのクローゼンを隣で見つめる赤紫のコといつの間に起きたのか隣の少年に目を向けた
「…俺らは、貧困にあえぐまわりのやつらを助けたいと思って、この活動を始めたんだ。その目的とも合ってるから、俺は協力してもいいと思っているが…お前らは?」
「私もさんせー!」
それに女の子が元気に手をあげ、男の子は頷いた
「よし。俺らに協力させてくれ。よろしくお願いします」
クローゼンはわざわざ黒に向き直ると頭を下げた
「任せろ。どんなやつがきてもぶれない位に強くしてやる」
にやっと笑った黒を見届けるとシャルはきちんと立ち直し、しっかりと頭を下げた
「ありがとう。そして、よろしくね!」
読んでくれてありがとうございました!