目覚め
ご来店ありがとうございます!
小説の内容とタイトルが…合ってるのかなぁ?
つたないですが、楽しんでいってください!
アイゼン帝国の首都、バルトの貴族階級の人々が住む屋敷が立ち並ぶ中に、一際目を引くほど大きく、荘厳な屋敷がいくつかある
その中の一つ、オーウェル公爵がもつ屋敷の一室には産まれて間もない赤ちゃんが寝ていた
ふわふわでまだ短い青みがかった黒色の髪をもつその赤ちゃんは、一目見て質が良いものとわかる赤ちゃん服を着て、これまた良いものであろう毛布をかけられている
赤ちゃんは、泣き叫ぶでもなく静かに寝ていたが、しばらくすると目を覚ました
陽の光が眩しいのか、ゆっくりと目を開くと何回も瞬きをする
そして、ゆくりっと口を開き
『ディスプ、2のチェヌ』
声を出さずに呟く
言い終わると同時に、徐々に赤ちゃんが光り出す
『コルプ、ディア』
光が優しく赤ちゃんを包んでいき、全てを覆い隠しまゆのようになる
まゆが浮かび上がり、空中でたてになると光が上下に伸びていき、まゆが大きくなる
ある程度まで大きくなると光が伸びなくなり、徐々に光がまゆをときつつ薄まっていき、少女の身体が現れた
光が全部消え、浮いていた身体が地面に着くと、少女は目を開く
そこには髪と同じ色の瞳が意志の強そうな光をたたえていた
青みを帯びた黒色の髪の毛は腰ほどの長さをもち、ゆるくウェーブがかかっている
身長はそれほど高くなく、150の前半位だろう
整っている顔だちは幼さと大人になる中間の顔だちだが、身長の低さからさらに幼く見える
けれども神秘的な雰囲気をまとっており、威圧感がある
そんな少女は自分の身体を一通り眺めまわした後、ため息をつくとベッドの上のシーツで身体を包み、そのベッドに腰を下ろし、あたりを見回した
「青、白、黒、朱」
誰もいないことを確認すると少女は虚空に向かってそう呟いた
すると、呼応に応えるように4人の青年が膝まづいた状態で現れた
現れた4人の青年を少女は認めると、一番左端の青年に話しかけた
「…青、どう思う?」
その問いかけに青と呼ばれた青年が顔をあげる
「どう、とは…?」
聞かれた意味がわからずに青がいぶかしげに答えると、少女はすくっと立ちあがった
「みてわかるでしょう!?」
その言葉に青とは逆の端にいた青年がぷっ、と噴き出す
「…何を笑っているの、朱」
その青年をじとっと半眼で見つめる少女
「わ、悪い。くくっ、いや、はい、くっ」
謝ったものの、反省している様子がない朱に更に少女の目が細くなる
そんな朱を朱の隣にいる青年が一瞥すると顔をあげる
青年は目線を少女がそちらにうつすと口を開いた
「一応聞くが、身体のことか?」
「それ以外に何があるの?」
「…」
自信満々に首肯する少女にその青年は一瞬遠い目をする
「…直接会ったのはこれが久しぶりだというのに、第一声がそれなのか…」
「黒?」
黒がぼそりと呟いたのが聞こえたのか、少女が頭を傾けながら聞くが、ため息をはきつつもなんでもないとかえした
「生前とに似てるね」
にこにこと微笑みをたたえながらそう発言したのはいつの間にか顔をあげていた、青の隣にいる最後の青年だ
少女はばっと音がしそうな勢いでその青年の方に振り返り、大いに首肯した
「そう、白、そうなのよ!生まれ変わるっていうから期待してたのに、これよ!?」
身体を前のめりにしながら、勢いよく頷いた
「そうだね、可愛いよ」
歯の浮くようなセリフをさらっとはく、その青年、白。
「身内の言葉は信じないっ!というより、そのことよりももっと注目することがあるでしょう!?」
キッと、白は少女に睨まれ苦笑をかえす
「言いたいことはわかるけど、俺はそのままがいいからなぁ…」
「何言ってるの!?せっかく、せっかくこの転生後の身体で18歳の姿になったっていうのに…いうのに…。なんで、こっちでも身長が低いの!?」
「ぶはっ」
悔しげにその言葉をはく少女に耐え切れなくなったように、とうとう朱は噴き出した
「あはは、くっ、あは、あはは、相変わらず、根にもってるな、ぶっ、腹いてぇ」
お腹を抱え笑い転げ始める、朱
「大事なことなのよ!?くっ、生前どれだけちびちび言われたことか…」
悔しげにぎりぎりと歯を噛み締め、拳を握る
自分たちがちょっと大きいからってばかにして、とかなんとか呟きながら、虚空を睨む少女に青が不思議そうに呟く
「魂に耐えれるよう、身体がつくりかえられているから、生前とにている可能性が高いのは知ってただろう…?」
「それでも、外見はともかく身長は変っているかもって、期待してたの!」
「…そういうものか?」
「そういうものなの!」
ふむ、と頷く青のその姿に溜飲が下がったのか、座り直し一つ深呼吸をすると、少女はきりだした
「まぁ、身長はこれから頑張ったら伸びるかもだし、置いといて、これからの話をしましょう」
その言葉に諦めていないのかよ、と全員が心の中で呟いたが、声に出すものは一人もいなかった
笑い転げていた朱が最後にきちんと体勢を整えたのを見届けると、黒がまず話し出した
「まずは、無事に再び出会えたことを我ら一同嬉しく思います」
その言葉と同時に再び頭を下げる彼らを少女は改めて見回した
青年は皆、綺麗な顔をもち、名前と関係している髪の色をもっている
一番左の青と呼ばれた青年は、水色に近い青色の腰よりも少し短い髪の毛を首のあたりで緩く無造作にひとまとめにしている。前髪がかかっている目は薄紫色で、不思議な雰囲気が漂っている。4人のなかでも一番華奢で、手足も細長いが、よくみると筋肉でひきしまっているのがわかる
青の隣の白という青年は白金色の髪をもっており、肩よりも少し長いそれはそのままにながされていて、彼が顔を動かすと彼と一緒に動きながら、さらさらと音をたてる。目の方は銀色で一瞬冷たげにうつるが、彼が微笑みをたたえているために、優しげにうつる、柔和な雰囲気の青年だ
白の青とは反対側に膝まづいている黒は、その名の通り、真っ黒な髪をもっている。長さは肩よりも短く刈り込まれている。瞳は碧で精悍な顔つきをしており、大人っぽく見える。4人の中でリーダー格の青年で一番背も高く、身体も一番引き締まっているが、マッチョというほどではなく、バランスよくついている
一番右端の朱は真っ赤な短いツンツンとした髪にところどころオレンジがはいっている。目はオレンジと黄色の中間のような色で太陽を思わせるような暖かさがある。さっぱりとした感じもあり、爽やかといった雰囲気が漂っている
そんな彼らをじっと見つめていた少女は、おもむろに立ちあがり、窓に近づくと外を眺めた
そこは前にいた日本とは全く違う景色があり、改めて違う世界にいることを感じる
「…力を一部開いた今ならはっきりとわかるわ。奴もいるって。ただ転生した今、どこにいるのかまではわからない」
「けど、それは向こうも同じ。やらなくてはいけないことは山のようにある。気が遠くなるほどに…ね」
くるりと、4人の方に向き直ると、少女は幼さと大人っぽさがアンバラスに混じっているその顔に艶然とした雰囲気をかもしだし、微笑んだ
「それでも、私は進むわ。だから、ついてきて?」
「「「「主の望むがままに―――」」」」
その言葉に一瞬顔あげたを4人だったが、再び頭を下げ、強い意志をそれぞれの瞳にたたえ、応えた
読んでくれてありがとうございます!