銀の蝶

新たな生

　＊　　　　　　　　　＊　　　　　　　　　　＊

　「トクン、トクン」

　『…』

　『―温かい…』

　『―、―落ち着く…』

　『―…？ここはどこー…？』

　　　　　　　　　―――目覚めたか―――

　『…誰？』

　　　　　　　　―――久しぶりだな―――

　『その声は…』

　　　　　　　　　　―――眠れ―――

　　　―――まだ目覚めの時ではない―――

　『時…？』

　　　―――やがて、産まれるだろう―――

　『じゃあ、ここは…』

　　　　　　―――だから、今は眠れ―――

　『…そうね』

　　　　　―――我らがついている―――　　

　　　　―――今はただ、何も考えずに眠れ―――

　『ええ、頼むわね』

　　　　　　　　　　―――良い夢を―――

『―…そう、転生の術は成功したのね…ー』

＊ ＊ ＊

　『―…明るい。ここはー…』

「オギャァ、オギャァ、オギャァ」

　『声が…まともに出ない…』

「オギャー」

「元気な女の子ですよ」

　『人がいる…』

　『…産まれたのね』

　　　　　　　　　　―――…我らが主よ…―――

　『あら？』

　　　　　　　　　　―――…ようやく会えた…―――

　『ふふ、久しぶり、でいいのかしら？』

　　　　　　　　　　―――我らは準備を終えた…―――

　『そう…』

　『それで、私はあとどれくらい待てば、魂が身体に馴染むのかしら？』

　　　　―――元より、魂に耐えられる身体を選んだ―

　　　　―――主の魂に身体が耐えられないことはない―――

　　　　―――しかし、一ヶ月は様子を見た方が良いだろう…―――

　『慎重すぎじゃない？』

　『これは、時間との戦いなのよ？』

　　　―――ここで失敗すれば全てが終わる―――

　　　―――無茶する時は今では無い―――

　『…わかったわ』

　『けど、完全に安全だと思ったら一ヶ月よりも早く教えて』

　　　　　　　　―――…承知した…――――

　『じゃあ、あとはよろしくね、青(あお)、白(はく)、黒(くろ)、朱(しゅう)』

　　　　　　　―――主の望むがままに…―――

＊ ＊ ＊

　 ―――…主よ、時は満ちた―――

　『…そう』

　『じゃあ、始めましょうか』

　『今度こそ、戦いに終止符をうつために…』

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