未来へと
連続投稿、二回目
「聞いたわよ、サディ!このバカ!大事な話をするなら、周りに気を付けるのは基本でしょ?!なんで、そんなこともできないのよ、あほ!」
「わ、わかっている」
「わかっていないから、こんなことになってるんでしょ?!タコ!」
「す、すまない…」
「謝ってすむと思わないことよ!全て終わったらみんなみんなの前で土下座させるから!」
「うっ、本当に軽率だった…」
「あの、殿下…?この方は…?」
今、サディアスたちは抜け穴から王宮内へと侵入し、途中で蝶と合流して宰相の元へと向かって走っていた
その道すがら、第二王子を叱り出した少女についてきていたおやっさんたちは目を白黒させる
「協力者よ。と言っても第二王子がこんなに馬鹿だとは思ってなかったわ…選択を間違えたかしら…」
「?なんのだ?」
「なんでもないわ。それより、気配が近くなったわ。気を付けて。…ここよ!」
国王の私室の前に立ち止まり、蝶が回転をかけた蹴りを放ち、扉を吹っ飛ばすと、そこは今まさに脱出しようとしている宰相と国王とその護衛たち、近衛兵がいた
「宰相!」
「サディアス?!なぜ、そいつら下民と一緒にいるのだ?!」
驚いた声をあげたのは、サディアスの兄の元第一王子、現、王のゲルウェンだった
「誰が下民だ!」
王の言葉にいろめきたったおやっさんたちをサディアスが手を上げおさめる
「兄上。どこにいくつもりですか」
「き、決まってるだろう!このままここにいては殺させるやもしれん!逃げるのだ!」
「まだ戦ってる騎士たちがいるのに逃げるおつもりなのですか?」
「何を言っている!私が生きのびなければこの国は終わりなのだぞ!私が逃げるために命を捧げるのは騎士としてあたりまえだろう!」
「なにをたわけたことを…。第一、本当に生き延びられると思っているのですか?そこにいる宰相は陛下、あなたの味方ではないというのに」
「なにをおっしゃるのです、殿下?そのような嘘で陛下を騙そうとしないでください。さぁ、陛下参りましょう」
にこやかな顔を崩さずに穏やかに告げてさっさと去ろうとする宰相の前に、サディアスが懐から取り出した何かを投げつける
「それは…?」
投げつけられた紙束はバラバラと空中を舞い、国王の足元にも広がった
訝しそうにそれを拾い上げ読むと瞠目した
「これは…」
「先日、とある貴族の別荘が焼失したと報告があがったことを覚えてますか?そこで発見されたものです。ばっちりと不正が書かれた書類を発見してしまったのですよ。この国で攫われた人が隣国の奴隷商人に売られていること。宰相が賄賂の一部を隣国に流していること。その時に我が国の情報をもらしていることも。上手く誤魔化しているが、そんなに難しい暗号でもなかったならすぐに解けたがな。陛下、ばっちり解読したものを書き込んであるのでおわかりなるでしょう?その資料のラストには隣国の王の名前が入っていることも」
国王が手にしていたのは、この国の裏事情を暗号化された書類だった。色違いのペンでわざわざ訂正をいれてあり、簡単に内容が読める
慌てたように床に膝をつけ他の資料も読み漁り始め、しばらくして呆然と顔をあげる
「宰相…お前…」
「陛下、騙されてはいけません。罠ですよ。彼らはあなたを騙して殺すためにこのような手の混んだことをしているのでしょう。資料など、いくらでも偽造できます。さ、早く逃げましょう。衛兵!そこのやつらを殺せ!」
宰相の息のかかっている近衛兵たちは躊躇いも無く剣を抜いた
その間に国王を連れていこうと他の近衛兵が動くも、国王は戸惑ったようにその手を振り払う
「わ、わたしは、誰を信じれば」
「陛下、わたしが信じられませんか?」
国王の前に膝をつけ宰相が訴えるも、信じられなくなった国王は目を合わせない
その様を見て、宰相は立ち上がりため息をつく
「全く…。ここまで上手く行ったのになぜ邪魔をした!」
いきなり豹変したように大声をあげた
「ちっ、ここまで甘い汁をすえたのは誰のおかげだ!それなのに恩を仇でかえすとは、だから頭の悪いやつは嫌いなんじゃ!こうなったら、仕方が無い。おい、こいつをここで殺せ!」
鋭利な瞳で国王を見下ろした宰相はそれだけいうとさっさと隠し扉にむけて歩き出した
宰相の言葉従い、それまで国王を連れていこうとした近衛兵たちが殺すために剣を抜き、振り下ろした
「「ぐがっ」」
瞬間、響いた呻き声は国王のものではなかった
剣を振り下ろろうとした近衛兵の首に短刀が刺さっている
と、同時に宰相が切り捨てられていた
「殿下!ご無事か?!」
宰相を切り捨てたのはなぜか隠し扉から出てきたウノーバス伯爵だった
「間に合ったか」
伯爵の後ろから、彼の私兵が一気に飛びたしてきてあっという間に近衛兵たちは捕えられた
「なぜ…この隠し扉は代々国王しか知らないはず…」
切られたでっぷりと太った腹をおさえ悔しそうに宰相が呟く
「前国王が教えてくれたんだよ。父上は俺を国王にするつもりだったんだよ。だが、手筈を整える前に死んだ、いや、お前が殺したからな。知らないはずだ」
「く、くそ、この愚民がぁ!我らの奴隷程度にしか価値のないやつらに殺されるなど…!」
その言葉に伯爵の私兵が剣を振り上げようとすると!サディアスがその前に宰相に近付いて行く
「ふぅん?じゃあその価値のないやつらに殺されるお前はゴミ以下なんじゃね?」
「な、なにをっ…!」
反論しようとした宰相の足をブスリと刺す
「拘束しろ。隣の部屋に放り込んで見張っとけ。あ、ギリギリ死なないようにしとけよ。まだ、聞きたいことがある」
「あ、ぐぅっ」
縄でしばられ、他の生きている近衛兵と一緒に宰相は引きずられて行く。けれども最後まで人を馬鹿にしたように顔は崩さなかった
「それにしてもお前、よくあんな混戦状態の中から短刀をあいつの首に飛ばせたな。下手したら他のやつに当たるじゃねーか」
呆れたように首に短刀を刺したままこときれている近衛兵をサディアスはチラリとみるが、蝶はなんでもなさそうに肩をすくめただけだった
「殿下。お待たせしました。隠し扉の先の場所で待ったいた隣国のやつらは全員潰しました」
「ご苦労。さすがだな」
「全く、殿下は老体にはキツイことをおっしゃる」
満足そうに頷くサディアスに伯爵は苦笑する
「手助けはしただろう」
「出会った翌日に準備を整えて、王宮の東の森の中にある隠し扉と繋がっている小屋の付近に潜伏せよと…ガライアのやつらが待ち伏せしているはず。そろそろ暴動が起きることを予想しているなら、宰相はそこから抜けだすはずだと言って。与えられた時間はたったの数日…いやはや寿命を縮めながら頑張りましたよ」
「だから、小屋までの案内はさせただろう。宰相が他は知らないと思っている抜け道はそこしかないのだから、遠いのは仕方が無い」
「だからといってこんなに早く行動を起こさなくても。休む暇もない」
「暴動は止められなかったんだよ」
「なるほど、後手にまわりましたか」
「とにかく!あとは王宮内の混乱をおさめねばならん。ついてこい!」
「まだ、働かせるつもりですか。鬼畜殿下」
既に扉に向けて歩き出していたサディアスは伯爵の言葉を黙殺した
「ま、待て!わたしを無事なところへ連れていけ!わたしは国王だぞ!」
それまで静観していた国王がいきなりがわめきたてた
「…隣室に突っ込んどけ」
サディアスは一瞥だけすると指示を出し、それに従い、兵たちが動き出す
「な、やつらと同じ部屋にわたしを入れとくつもりか」
「そこまで多く兵を避けないので。それに、この暴動の責任をとってあなたはすぐに国王でなくなる」
「なっ?!」
「私利私欲の報いをうけるがいい」
冷たく吐き捨てると、二度と振り向かずにサディアスたちはでていった
その後ろに伯爵と見張りで残った兵以外がついていき、今まで呆然と流れを見ていたおやっさんはわれにかえると慌ててついていった
「青、今王宮内はどうなってるの?」
とにかく騒がしい方へ向かって一同は走っている
「門の前の方はリヴァイアンと一緒にいた人たちの説得で少しはおさまってきている」
「伯爵の既知の軍人やそのお仲間の軍人、文官の人には事前に起こりそうなことを黒にも頼んで伝えていたからな。なるべく殺さないようにはしているとは思うが、相手は最新鋭の武器だ。手加減は難しいだろう。伯爵の直筆を見せればすぐに応じてくれた。信頼があついな」
「なに、昔のことです。それよりも説得文を何枚も書けといきなり言われた現在のわしをいたわっとくれ」
「ひつこい」
いまだにブツブツと呟く伯爵は私兵とおやっさんの仲間の一部を連れて途中で別れた
伯爵たちは王宮内を任せることにして、サディアスは一番酷い王宮前に向かうことにした
いくつかの騒動に合うもとにかく平民の方を捕らえて説得は後回しにし、先を進み、とうとう扉から外に出た
そこには多くの平民と軍人たちが混戦しており、遠くにリヴァイアンたちの姿が見えるもの多くの者達は頭に血がのぼっているようで全く聞いていなかった
あちこちで剣を交える音が響き、最近つくられたばかりの簡単な魔法を発動させる銀の丸いボールが騎士たちに投げつけられ、それに対して魔法がつかえる一部の者達がおうせんする
げきをとばし、煽っている司令官もいれば、市民になるべく怪我をさせないよう策を凝らしているものもいる
「どうするの?」
目の前の惨状を見て、全員がサディアスに顔を向ける
皆の視線をうけてサディアスは不適に笑った
「決まっている。いったんやめさせるまでだ」
『走れ、炎』
地面のあちこちに生えたばかりの芝生程度の高さの炎が走る
それに一部の者が気付く
『踊れ、炎』
段々と炎が強くなり、多くのものが気付き始め、戦いを停止して相手から離れ、
炎に距離をとる
『描かれる陣、舞う、炎、』
一際太い炎をがひかれていた地面が紋様を描くように光だすのと同時に炎が身長を越すほどに燃え上がる
『空を埋めつくせ、ライア!!』
サディアスの右腕に突如赤色の地面と同じ紋様が浮かび上がり、そこから一筋の光の軌道を出しながら、炎と光をまとった人がたの精霊が舞い上がり、青が追いかけるように細長い円筒を投げ、
『どおおおおおおおおおおん!!!』
轟音とともに巨大な光炎の球がみるみる広がり、
破裂した
「うっわ…ごういーん…」
チラリと蝶があたりをみると、自分たち以外はみな地に頭を抱えて伏せていた
伯爵やおっさんたちが呆然と空を見上げる中、さきほどの精霊が戻ってきた
長いウェーブのかかった髪をたなびかせた精霊はよく見ると、とても綺麗だった
『これでいー?』
「ああ。助かった」
『うふふー、またーいつでもー呼んでぇー』
サディアスの頬にちゅ、とキスをすると精霊は右腕に戻った
「さて」
サディアスが徐々に顔をあげ始めた皆を見回す
何人かがはっとしたように慌てて立ち上がり、顔をひきしめる
「予定どおり、捕らえろ!」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
「な、なんだ?!」
「わしを誰だと思うてる!」
「触るな!」
サディアスの号令で多くの軍人たちが別の軍人たちを捕らえ始める
暴動を起こした市民たちはわけがわからず、その様を見ている
しばらくして目的の人物を全員捕らえたのか、一人の男がサディアスに向かって走ってきた
「殿下、終わりました」
「ご苦労」
一つ頷くと青に向かって目配せした
「民衆たちよ!これまでの悪行の全て、隣国に仕組まれたものである!この国を王に代わり操っていた宰相は、隣国、ガライアの回し者だった!だが、その宰相は死に、そして今、宰相と一緒に甘い汁をすっていた者達を捕らえ始めている!そして、宰相に全てを任していた王もその責任をとり、王座を降り、さらなる処罰が与えることになった!」
「これまでの全てを許せとは言わない!だが、この混乱を好機とガライアが今、我が国を攻めようとしているやもしれん!この混乱が長引くほど、この国が負ける可能性が出てくる!隣国と我が仲が良くないのは皆が知っているはずだ!もし、属国にでもなれば、多くの民は奴隷にでもされてしまう!だから、今は!その剣をひいてくれ!」
攻めてきていた市民たちのうち、剣を手放すものもいれば、いまだに剣を握り締めているもの、戸惑っているものもいる
「おじさま?」
そこに蝶がおやっさんに話しかけた
「もし、言いたいことがあるならば、おっしゃった方が良いと思います。今なら青が魔法で声をこの城下町全体に響かせています。説得をするにも、文句を言うにも今のうちですよ。何か話したそうに見えたのですけど、見間違いでした?」
ニッコリと笑いかけられたおやっさんは、しばらくして拳をギュッと握ると、口を開いた
「いいや?ありがとう、お嬢ちゃん」
おやっさんがサディアスの後ろまで足を進め、大きく息を吸った
「みんな!俺はここまでずっと殿下についてきたからわかる!この人は信用してもいいと思う!どのみち、ガライアが攻めてたら俺らでは国は守れん!賭けてみようじゃないか!」
「ニールズか?」
「ああ、あれはおやっさんの声だ」
「おやっさんがうそをつくことはない」
「だけど、いきなりなんだってそんなことになったんだ?」
最後の押しとばかりにもう一歩、前にサディアスは出ると頭を下げた
「頼む!今更だが、一度、わたしに預けてはくれないだろうか!」
その様に市民だけではなく、軍人たちまでビックリとした顔をする
「この国を守らせてくれ!」
『ガチャン』
しばらくして、誰かが剣を投げ捨てる音が響いた
「王子様がそこまで必死になってくれたなら、俺らも誠意をかえさなくてはな」
「ニールズがそう言ってんだし、ここはひこう」
「ああ。そうだな」
市民たちが武器を下ろし始め、サディアスはほっとした顔をした
「衛生兵!ここに野外病棟をつくり、市民たちの手当もしてやってくれ!他のものは第一騎士団の副団長から残党の捕縛の指示が入る!それに従ってくれ!」
「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」
先ほど、サディアスに報告に来た男、に目をやると、中にウノーバス伯爵が捕縛に動いていることを伝え、状況を確認にしろと伝える
「表立って目立たないやつらの中にも宰相の手の者が潜んでいるはずた。油断するなよ」
「わかってますよ。こちらは何年もムカつく団長の下で良い子のフリしながら探っていたのです。誰が怪しいかはだいだい把握してますよ。それより、殿下。国境の方はどうするおつもりで?」
「ウノーバス伯爵のツテで国境近くの人たちで信用できるものに連絡をとってもらって、兵を向わしてもらってる。どうにかするしかない」
「…わかりました。まかせますよ」
副団長が去って行くと、魔法兵を呼び、王宮内に入って行く。その際、おやっさんたちは怪我の手当ての助けをしてやってくれと頼んどいた。そのまま通信室に移動し、魔法兵に頼み水晶で国境近くの砦と連絡をつないでもらう
『ズザザザザ、ザ、も………もしも…、殿下ですか?』
「ああ。どうだ?」
『密偵が確認しました。やはり行軍しています』
「援軍は着いたか?」
『ええ、少し前に。ですが、それでも戦力差がありすぎます。あちらさん、本気ですよ』
話し中にいきなりバンッと扉が開き、リヴァイアンと他数名が入ってきた。サディアスが頷くと、彼らも別の国境の砦に連絡を取り始めた
「やはりか…」
『あと、殿下。妙な女二人がいきなり殿下の使いのものだと言って押し入って来まして、そのままスパイをあぶり出したんですが…』
「は?」
誰だ?そんなやつ知らないとサディアスが頭にハテナを浮かべる
『ほんのちょっと前のことなので、確認がまだできていないのです。本物ですか?』
「いや、わたしはしらな…、お前か?!」
蝶へとグリンと体をひねり、じっと見つめる
「うん。決戦するときに邪魔がなるべくはいらないようにって」
語尾にハートマークがつきそうにニッコリ笑う蝶に脱力しつつも、水晶に彼は向き直った
「大丈夫だ、味方だ」
『わかりました。彼女らは気が付いたら、いなくなっていたので、どうしようかと思っていたのです』
「気にせず、準備を進めてくれ」
『了解』
「殿下、妙な二人組がスパイを吊るし上げてさっていったと…」
「こちらも同じことを言っています」
リヴァイアンともう一人連絡をとっていた二人の言葉にため息をつくも、味方だと告げる
「あまり、勝手なことをしすぎるなよ…」
「まぁ、気にしない。気にしない。国境付近のトップは上手く殿下の息のかかったものにすげかえていたのね」
「ああ。僻地に飛ばすといえば、煙たがられていたやつらばかりだ。簡単なことだ…」
「?」
「今回のことは色々と助かった。ありがとう」
「大丈夫よ。それでどうするの?」
「ああ、それはーーーって、お前たちはこの国に関係ないだろう」
「今更じゃない?」
「いや、そういうことじゃない。万が一のことがある。ここにいたら巻き込まれるかもしれん。今すぐ逃げてくれ」
「…意外にフェミニスト?」
「何言ってんだ!そうじゃなくて、恩人を死なせるわけにはいかないと言ってるんだ」
「でも、まだ黒たち他はここで残党のあぶり出しをしているし…それにそんな綺麗事言ってる場合じゃないでしょう?私たち、これでも傭兵ギルドなの。依頼を受ければ、どんな戦地にだっておもむくわ」
「…高そうだがな」
「今回だけは、破格で引き受けてあげる。出世払い。なかなかないわよ?だって伝説級のギルドよ?私たち。戦力差があったって、どんな不利な状況だってひっくり返してみせるわ」
「…銀の蝶、か?」
「知ってるの?じゃあ、なぜ実在しているかわからないって言われたと思う?近年、大きな戦争が無くてきちんと姿を見せた場がないとも言えるけど…仕事が早すぎるのよ」
「誰かが駆けつける前に終わらせてしまい、姿を誰も見たことがない。最低限の人数しか動かないらしく後をたどろうにも辿れない。どんな武器や魔法を使うのかもよく知られていない。傭兵ギルド連盟に問い合わせても、答えははぐらかせられる。ギルドのホームもどこにあるかわからない。だから、そもそも依頼のしようがない。そんなギルドあるのか?本当はないんじゃないのか?とか、か?まぁ、実際は見たことがあるやつらもいるだろうが少なすぎて信憑性が無いんだろう」
「あら、詳しい。調べたの?」
「伯爵が、君たちがそうではないかと。…だから蝶と名乗ったのか」
「まあ、ね。それで、どうするの?」
「破格の値段でさえ後からの請求が恐いが、そんなことは言ってられないな。依頼する。我が軍に勝利をもたらしてくれ」
「契約成立、ね」
ニンマリと笑うと蝶はその部屋の窓を開け、去って行った
「は?ここは五階だぞ?飛び降りた?!魔法を使った気配も無いのに?!」
窓に駆け寄り、下を見る魔法兵を見て、自分たちも最初は驚いたことを連絡を終えたリヴァイアンと顔を見合わせ思い出す
「どうやら、伝説級のギルドには五階位は自力でどうにかできる高さらしいな。頼もしいじゃないか」
そうして、サディアスは楽しそうに笑った
…長っ