終わりと始まりの刻
読んでくれてありがとうございます
初投稿でつたない文ですが、楽しんでよんでくれるとありがたいです!
鬱蒼としげる森の中心、少しひらけた場所に樹齢何百年を感じさせる杉の木がひっそりと存在していた――――――――
満月の夜のもと、一人の青年がその杉の木にもたれかかりながら立っている
その青年は秋だというのに全く虫たちの鳴き声が聞こえないのも気にせず目を閉じ、ひっそりと佇んでいた
しかし、一陣の風が吹いたあと、その青年はゆっくりと瞼を開けた
「来たか…」
そう青年が呟いたくと同時に、ジャリ、と
一人の少女が現れた
その少女はその手に自分の身長より少し細長い得物をもちながらも、かっことした足取りで、青年に近づいていき、十歩くらいの距離を残して止まった
青年はそこまで少女の動作を見届けると、もたれていた身体を起こし、少女を静かに見た
少女も静かに見つめ返す
けれども彼らの間に会話はない
それだけで会話がなされることを互いに知っているから…
しばらくののち、少女の方がゆっくりと目を瞑り、またゆっくりと開いた
そこには先ほどまでの黒い瞳は無く、銀青色のような瞳があらわれる
「始めましょう」
その言葉に青年は言葉では答えず、腰にさしていた日本刀を抜き、構えることで答えた
またもや一陣の風が吹くと同時に、二人は駆け出し、得物をぶつけあう
―――まるで、互いの想いをぶつけあうように…
これが二人の新たな物語の始まり