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作者: 乃亞

乃亞は彼氏いないので 虚しくなりながら書きました。(泣)

「アイツまだかなあ……あ――暇ぁ」


女の子が独り言を呟き、大きなあくびをした。


真昼の保健室。

別に体調が悪いわけではないのに、ひとつしかないベッドを占領している。

いわゆるサボリだ。しかも常連。


窓から見える空は綺麗に晴れていて、吹き抜ける風が爽やかで気持いい。

ここは居心地がいい。


またあくびをして、眠りにつこうとする。

そんなものすごくマイペースなあたしは 奈美(なみ) 高2である。


奈美が寝返りをうとうとした時、保健室のドアが静かに開き、特徴のない声が奈美に話しかける。


「奈美ィー…あり??寝てるン??」


奈美はその声を聞いて『アイツだ』と確信し、寝たフリをしてみた。


ドアを開けたのは 文平(ぶんぺい) という男の子だ。

髪はもさもさしている。目はキラキラと純粋に輝いていて、背は私とあまり変わらない。

単純に、二人の関係はサボリ仲間というヤツである。イコール文平も常連だ。


「なぁみっ!」


文平はドアを閉めると さっきより大きな声で奈美を呼んだ。


「…ス――」

(奈美の嘘寝息)


「ンだよぉ…マヂで寝てんのかよ…」


文平は、仕方ない という風に ベッドの横にある椅子に座った。


『ちゃっかり騙されてるし…文平カワユッ!』


奈美は笑いを必死に堪え、寝た振りを続けた。

一応 顔を見られないよう、文平に背を向けて寝ている。(寝てないけど)


しばしの間沈黙が続く。


昼休みの時間だ。外では 3年生がグランドを占領し、サッカーをしている。

下手だなぁ と見ていると だんだんと眠くなってきた。


睡魔には勝てない。

そのまま眠りにつこうとした時、文平がいきなり叫んだ。(あくまでも軽く)


「なみっ!!」


『もー…うっさいなあ…』


奈美がうっすら目を開けると、なぜか文平が身を乗り出して 奈美の頭をぺしっと叩いた。


「…は??」


奈美は文平の予想外な行動に、間抜けな声を出して起き上がった。眠気なんか吹っ飛んでしまった。

ポカンとしていると、文平がへにゃっと笑った。


「いよぅ!奈美が寝てると暇だからさッ」


「……」


文平の 気の抜けた声。


『か…可愛いっ!』


奈美がぽーっとしていると、文平は少しすねたようだ。


「ンだよぉーシカトかよッ!」


奈美は文平が可愛すぎて顔が見れなくなってしまった 。(実は照れ屋)


「っ…!眠い!寝る!」


一方的だ。正に自己中B型。(ちなみに乃亞もB型です)


「何ナニ!?もしかして具合悪いン??」


今度は心配そうな顔をして、顔を覗きこんできた。

奈美は瞬時に顔を覆う。 頬が赤く染まる。


『…ヤバイ』


顔が赤いのがバレたら 相当恥ずかしい。思いきり布団を深く被る。


「…奈美??マヂでどったの??俺が起こしちゃったから 怒ったン??」


優しい声。心配してくれてるのが伝わってくる。


「…ンでもない」


「んぅ??ゴメン。聞こえンかった」


「…もーなんでもないの!!顔見ないでっ!!」


そう言うと 文平の顔を軽く叩く。


「うわ!!…なんだよおー…人がせっかく心配してやってんのにッ!!」


今度は怒った。

感情がコロコロ変わるのが 可愛くて仕方ない。


もう分かるだろうけど、毎日保健室でサボるのは 文平に会いたいから。


奈美は文平が好きなのだ。


無邪気な笑顔。

気が抜けた声。

優しくて可愛い性格。

ほんわかした雰囲気。


全てが好きで好きで仕方ない。


「……奈美…俺の事嫌い??」


「へっ!?」


おっと、声が裏返った。 びっくりして 飛び起きる。 心臓がはじけてしまいそうだ。


『何を…言ってンだこの方は??』


一瞬思考が停止する。


『なんでそんなこと聞くの??』


「…奈美…どうなん??」


真剣な文平の表情にドキッとする。


もちろん好きだ。


友達としてじゃなく、男の子として。


でもあたしが気持ちを言ったら この関係が壊れてしまいそうで 怖い。


どんなカタチでもいいから文平の傍にいたい。



奈美が黙っていると 文平が口を開いた。


「…わかった」


その声に奈美が顔をあげる。


『…え??』


文平の寂しげな顔。

何がわかったの??

文平は立ち上がり、ドアの方へ向かう。


嫌だ。ここにいて。




「…奈美…ゴメンな」




なんで謝るの??

やめてよ… 傍にいてよ…



違う人のところに行くの??




「…っ…ふ…」




涙が勝手に出てきた。


「…行かないで…」


文平がびっくりして奈美に駆け寄る。


「奈美っ!やっぱ具合悪いじゃんか!ホラ…早く寝ろって」


文平が 奈美を寝かせて 布団をかけてくれた。


『なんで…』


「…優しくするの…??」

奈美の細くて小さい声。

涙が止まらない。


「え??ゴメン…よく聞こえンかったわ」


少し弱々しい困った笑顔。


文平を困らせている。

そんな顔して欲しくないのに…。



「…優しくすんな馬鹿っ!無神経!文平なんか嫌い!!」


思ってもない言葉が出てくる。


『あたし最悪』


馬鹿で無神経なのはあたしだ。


あたしなんかに 優しくしてくれて、笑顔も見せてくれて…



「奈美…ゴメンな??」



怒ると思ったのに 文平は悲しげな顔をして謝ってきた。




「……文平…違うの… 」

「ん??」




『好きなの…』


言葉が出て来ない。


それを言えばこの関係が壊れてしまう。


嫌だ。



でも…


言わないで 文平に彼女が出来て離れてくのは

もっとずっと嫌。



「…奈美??」



「あのね…あたし…」



「っ待て!!言うな!!」

せっかく勇気を出したのに… 遮られた。



「あー気ィ抜けた!言うのやーめた!!」



「よし俺が言う!あんな、俺 奈美の事めっちゃ好きだから付き合いたいんだけど奈美はどうなん!?」

(早口、息継ぎなし)


しぃ…ん と部屋が静まりかえる。


「…」


「…」



「…」



「…何か言えよっ恥ずいだろっ」


文平の顔が赤い。すごくドキドキしてるのがわかる。


「…こんないい男…好きに決まってんじゃん」


「つっ…付き合ってくれるん??」


こんな可愛いコに、耳まで真っ赤にして言われたら 断れるはずがない。



「…うん」



平然を装おおうとしていたが、奈美も耳まで真っ赤だった。

嬉しくて堪らない。



両想いだったなんて…



少しの間 沈黙が続く。



「…なあ…俺、我慢してたんだけど」



「え??なに…」



言い終わらないうちに、奈美の口が塞がれる。



熱くて甘くて優しい。



離れたくないって気持ちにさせる、初めてのキス。



文平が自然に ぎゅっ てしてくれる。



もっともっと深く。



熱が上がったみたいに 体をほてらせる。



長い長い優しいキス。



「…奈美!離さないからなっ!!」



さらにぎゅーってしてくる。


「文平…ちゅうスゴイ…」

奈美は りんご病かっ て位真っ赤で ヘロヘロだった。


「っゴメン!ずっと我慢してたから加減出来なかった!」


文平も顔を真っ赤にして そう言う。



可愛い顔とは裏腹に キスがうまい というギャップに奈美は更にヘロヘロになる。


なんだか本当に熱があるみたいだ…。



「加減なんかしなくていい」



その言葉に 文平は笑って また優しいキスをする。


これからも文平の傍にいられると思うと マヂで熱が上がってもいい位だった。


抑えられない想いと欲望は 大きくなるばかりで 止まることを知らない。



次の日、奈美は本当に風邪をひき、お見舞いに行った文平も その次の日に風邪をひいたらしい。



彼氏が欲しいと 心の底から思いました。(涙)ぶっちゃけ文平は乃亞の好みそのままです。多分。

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― 新着の感想 ―
[一言] 優しさが伝わってくるーっっっっ
[一言] 実際に経験してみないと難しい部分がありますよね。
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