火事
十五、火事
焦げ臭いにおいが風に乗って神殿の方まで来ていた。
マニは地上に戻り、町の火事が森に近づいていることをみんなに伝えた。
「みんな、早く逃げよう!」
「私が火事を止めるわ」
「サンサさん?」
「ちょっと準備してくるね」
そう言ってサンサは神殿の中に入っていった。
師匠や巫女たちはサンサのことを信用しているらしく、避難してきた人たちを宿舎に案内していた。
数分後、ひらひらとした衣装に身を包んだサンサが神殿前に現れた。
「きれいだ……」
「これは儀式の衣装なの」
少し恥ずかしそうに眼をそらすサンサがまた可愛かった。
「サンサおねえちゃん、可愛い」
ココアは目を輝かせて憧れているようだった。
巫女たちが楽器を演奏し、神殿の前の屋根付き広場でサンサが流れるように舞った。
マニは優雅に踊る姿に見とれていた。
するとポツポツと雨が降り出した。
そしてたちまちザーザーと雨が降り出した。
「すごい……」
しばらく雨は降り続けた。
夕暮れの時間になり、雨が止んだ。
マニは師匠と上空から町の方を見ると火は消えていた。
「これで一安心ですね、師匠」
「そうだといいのですが……」
夕ご飯の後、宿舎で避難してきた数人の人たちに話を聞くことにした。
みんな火事に驚き、必死にこの森に逃げてきたらしかった。
自分たちは何とか森に逃げ込めたが、他の住民たちがどこに逃げたか、どうなってしまったのかわからないという。
一人の避難者が泣きながら言った。
「私は見ました。ダークキャンドルの会と名乗る奴らが道でこの町から出ていけと迫って断ったら、怒って火をつけて回ったのを……」
焼野原となった町を小柄な老人が見下ろしていた。
「私に逆らうからだ」
「そうだな」
「そうですわあ、ウルピー様」
老人の両隣には高級そうなドレスの女とボロボロの服の男がいた。
「では、私は先に帰るから、殺人機械の回収をしておけい」
「「はい!」」
老人の命令に二人が答える。
残された二人は上司の姿が見えなくってからため息をついた。
「あーあ。町燃やしちゃったら、高級なお洋服やバッグも燃えちゃうじゃないのお!」
「本当、もったいないな。札束とかあっただろうに」
部下の二人は上司の癇癪には表面上合わせているが、内心では迷惑していた。




