続 変な機械
十、続 変な機械
小屋の外に出るとあたりはピンク色の煙で充満しており、視界はかなり悪かった。
フードを被った少女の投げたひもが機械の可動部に巻き込まれ倒動きを止めて倒れていた。
あの子は?
近づいて見ると少女は倒れて動かない。
速く助けないと!
マニは少女を肩に担いで小屋に歩き出した。
手足がしびれてきた。
なんとか小屋の中に少女を入れて戸を閉める。
「はあ、はあ」
呼吸が少し苦しいのは毒のせいかもしれない。
被っていた金魚鉢のおかげでたくさん吸い込まなくて済んだのでまだ動くことはできた。
中には水の入った大きな金だらいが置かれていた。
「マニ君、大丈夫?水で体を洗って。とりあえず毒を落として」
サンサの言う通りに水につかる。
彼女はもう一つ小さなたらいに水をためて、布で少女の体をふいていた。
「意識が無いわ。私には何の毒かはわからないし。早く森の神殿に連れて行かないと…」
「でも、まだ外には毒ガスがあったよ。どうすれば?」
「そうね。屋外だけど、空気より重いのかまだ溜まっていたわね」
サンサは少し考えて言った。
「もう瞬間移動するしかないわ!」
「魔法ってそんなこともできるんだ。……僕、サンサを信じるよ。」
マニは彼女の魔法に不安を抱いていたがここは信じるほかなかった。
「じゃあ、手をつないで」
「うん」
たらいから出て軽く布で拭いたマニは彼女の隣に座り差し出した手を握った。
それは温かった。
サンサは座っている自分の前に寝かされているフードの少女の手をもう片方の手で握ると目をつむった。
数秒後、ひんやりとした空気と足元にじゃりの感触がした。
なんとサンサの魔法が発動したのだった。
「すごい!」
「うん。森の中まで来られたけれど神殿までは移動できなくて、20分ほど獣道を登らないといけないの……」
木々の中に人や動物が踏み分けたと思われる細い道が続いていた。
「そうなんだ。急ごう」
サンサが少女を抱えて進もうとしたが、
「この子、息してない!もう間に合わない……」
「僕が空から運んでいくよ」
マニは竜の姿に戻った。
「でも、マニ君も中毒症状が出ているし」
「僕は大丈夫だよ」
マニは少女を担いで飛び上がろうとするが、ふらふらしてうまく飛び立てなかった。
「もし、墜落したら二人とも死んでしまうわ」
「だけど、このままじゃ、この子は……。」
「こうなったら、近道を行くしかないわ!急な斜面を登れば近いの。私の力では運べないけどマニ君、頑張れる?」
「もちろんさ!」
「わかったわ。ついてきて」
そう言ってサンサは茂みの中へと入っていった。
マニは少女を抱えてついていった。
道の無い木々の間は昼でも葉の影になり、薄暗かった。
斜面は険しい上に木々の枝が邪魔をする。
さらに落ち葉が足を滑りやすくさせた。
木の根や折れて落ちた枝に何度も躓きかけながらマニたちは登った。
少女はマニが枝の先から庇ったがサンサはワンピースにサンダルという軽装だったのであちこち擦り傷ができていた。
それでも彼女は険しい森の斜面を登って行った。
マニはうろこで傷はつかなかったものの、毒でふらつき何度も滑り落ちそうになりながら必死に登った。
開けた場所に出た。
「着いたわ」
そこには霧に包まれた石造りの神殿があり、いい香りが漂っていた。
そこを歩いていた人達にサンサが助けを求めた。
「毒にやられた人達がいるの!」
マニは神殿の入り口までたどり着いて座り込んだ。
視界の霧はどんどん濃くなってきたように感じた。




