街から旅立とうと思います
神歴364年3月25日。
俺はこの街から旅立つ。
「行ってきます。」
玄関のドアノブに手をかけ後ろを振り向きながらそう告げる。しばらくは帰れない。見納めだと思うと急に生きて帰れるか不安になってきた。
「行ってらっしゃい。」
笑顔でそう言って送り出してくれたのはナナ・ソラカド。俺の育ての親だ。俺を女手一つで育ててくれた事には感謝でしかない。
(早くいい人が見つかりますように。)
「あんた今失礼なこと考えたでしょ。」
ジッと不機嫌そうな目でこちらを睨んでいる。
一一地雷を踏んでしまった。
(これは逃げるしかない)
「とりあえず行ってきまーす。」
俺は慌ててドアノブを下ろし一気に前へ押し、家から飛び出した。ナナさんは怒ると怖いからササッと家を出て正解だと思う。
目的の場所である駅へ向かって歩き出す。
俺の名前はシン・ソラカド、15歳。
小さい頃、箱の中に入った状態で流れ着いていてそんな俺を見兼ねたナナさんが拾ってくれたらしい。
それなりに剣の腕があった俺は内地もといドルトシア王朝の兵士育成学校からスカウトされ今からここニッケリアから列車を使い学校へ向かう。
そこまで兵士という者に強い憧れというものがある訳では無いが、給料も良くナナさんへの恩返しになると思い兵士を目指している。
ここ中央大陸は四大陸の中心に位置しており、貿易が盛んな反面、情勢は不安定でだ。
「久しぶりに来たな、」
レンガの壁に、錆びた鉄パイプ。
港町なのでそれは仕方ないとは思うが。見渡す限り出てくる感想がボロい、もうすぐにでも壊れそう。それしか出てこない。
中に入ると、忘却機関である蒸気機関車が待ち構えていた。こちらもすごく錆び付いていて動くのかも怪しい。
「おいあんちゃん今コイツをボロいとか思ったろ。」
突如後ろから現れたおじさんが話しかけてきた。俺は少し驚き、体をビクッと震わせる。
「まぁ、動くのかなぁとは思いますよ。だって数百年前の代物でしょ、残ってるのが奇跡じゃないですか。」
驚きを隠しながら平然とした顔で話を続ける。おじさんは髭を蓄え、頭に黒い帽子を被り、パイプを口に加えている。
「まぁ言われてもしょうがないんだけどな、コイツが動かなくなったら、皆が困る。だから整備は忘れず行ってここまで持たせてきた、これからもそうするつもりだよ。」
おじさんは列車に触れれながらそう語った。何かかなりの思い入れがあるのだろう。
「あと、列車は30分で出発だ。もう少し待っとけよ。」
おじさんはそう告げると列車の運転席へ歩いて乗り込んだ。何となくは思っていたが運転手のようだ。
(失礼な事言ったかな?今度あったら謝るか。)
そうしてシンは客席へ乗り込む前に外へ出て残りの発車の時間まで時間を潰すことにした。
外へ出ると海の風が強く吹き込んでくる、この海の先には東大陸がある。東大陸はかなり前、どの国で政権を執るかで長い争いがあったと歴史の授業で習った。結局は今は沈んだ、島国の民族が治めたと聞いている。
確かその国の侍と言うのがめっちゃ強いとか。
侍はニホントウ?と言う特殊な技巧を用いる武器を武装しているらしい。絶対相手にはしたくない。
「間もなくドルトシア行き、セントルイス経由の列車が発車いたします。」
そうこうしている内に列車が発車するようだ。俺はホームに行き、列車へと乗車した。
誰もいない事を確認し、ドアの前で立っていた。
「間もなく発車します。お乗りの方はお急ぎください。」
駅の人が大声でアナウンスをした。
ドアが閉まりかけるその瞬間、席を探そうとした俺の背中に――
ドンッ!
突然の衝撃で前方へ吹き飛ばされ、俺は床に倒れ込んだ。
「痛ってぇー、おいてめぇ何しやがる。危ねぇじゃねぇか。」怒りが抑えられなかったシンは怒鳴り散らかした。
ぶつかってきたのは見るからに女だ、髪長いし。
他に乗客がいなかったのは幸いだ、俺のみっともない姿を公衆の面前で晒されるところだった。
?
もう十分晒されてるのか?
「あぁ、すまん。なんせ時間ギリギリだっからな。許せ。」
「許せ。じゃねぇよ!危ねぇだろうが。」
「そんな事で一々怒んない方がモテるぞ?」
「なんなんだお前!」
コイツまじでなんなんだよ。ここらでは見ない服装だし、着物って奴か?腰には何か長めの刀を携えている。
(なんか何処ぞの侍見たいな奴だな。)
?
「…侍?」
「お、良く気づいたな。そう私は、真日本から来た。」
「私の名は東雲アヤ。真日本からの特待生であり、侍だ!」
ドンッ
両腕を組み堂々と仁王立ちしている。
侍。
話には聞いていたがこんな奴が本当に侍って奴なのか?
不定期ですが投稿しようと思います。




