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第78章 織田海軍、二つの湊から始まる

(1567年11月)桑名


■ 桑名湊 ――軍船の港としての役割


冬の朝、川と海が交わる桑名の岸辺に、安宅船をはじめ、関船や小早船がずらりと並ぶ。


「ここが織田海軍の軍港になる」と、武士も水夫も、いつもより緊張した面持ちで整列していた。


造船所では、まだ新しい檜の香りが残る船体に武装が施され、大筒や弓、鉄砲隊の配備も始まる。


軍目付が厳しい声で「出陣に備えて砲台の点検を怠るな」「船団の配置は旗艦・安宅船を中心に」と指示


を飛ばしていた。


桑名湊は、伊勢湾から紀伊・淡路・志摩・四国まで一気に打って出る“前進の牙”となる。軍港の活気は、


まさにこれから“海の戦国時代”が始まることを告げていた。


■ 熱田湊――「南蛮人」はまだ遠い


将来は外国貿易の拠点を目指しているため水深の深い大型船が入港できるように水深、クレーン、桟橋な


どの施設を建造中だが今は熱田湊の岸には、朝早くから荷車と人足が溢れていた。


犬山から届いた清酒、干し椎茸、絹、米が積み込まれる熱田湊の岸辺。


ここに集まるのは、尾張や三河、美濃、伊勢、京、堺など、馴染み深い日本各地の商人や仲買人ばかり。


「南蛮船」や異国の使節の話も、港の酒場や問屋の奥で噂に上るが、実際に熱田の波止場に異国の姿が現


れることは、まだない。


「堺では南蛮人が銀貨を振り回し、奇妙な香薬や珍しい武具を売っているらしい」


そんな噂話に耳を傾ける者はいても、熱田湊にいるのは、いまだ日本人だけ――商人や船頭、役人たちの


声と活気が、港を支えていた。

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