なんか強くね?
「やっば」
バサバサと飛んでいるドラゴンと目が合う。
「あ。死ぬかも」
待てよ。夢なんだから死なないんじゃないか?
ドラゴンを大きく息を吸う。
そして、俺に向かって火を噴きつける。
「あっっっつ!」
やばい。これ、まともに喰らったら死ぬやつだ。
「み・・・水のある場所に急ごう。」
ドラゴンの吐いた炎は、瞬く間に森一帯を焼き尽くした。
水で何とかなるかわからないけど、このままいくと俺も焼け死んでしまう。
「確か、道中に湖があったはず。」
湖を思い出しながら走り出す。
「あれ?こんなに近かったはずは・・・」
湖を見つけてから30分以上歩いていたはずなのに、なぜかすぐ隣に湖を発見する。
ドラゴンが近づいてくる音を聞きながら、頭を回転させる。
「今、ありえないことが立て続けに起こった。この距離なら・・・」
進んできた道を確認する。
「森が続いているな。これが本当なら」
進んできた方向に焼野原があったことを思い出し、先を走る。
「やっぱりか。」
その先には焼野原が広がっていた。
ワープしたわけではなさそうだ。
ドラゴンとの距離が全く変わらないしな。
明らかに距離の間隔が狭くなっている。
遂にドラゴンが俺のもとに到達する。
ドラゴンを目の前に、一度ドラゴンと目を合わせる。
「・・・」
すると、ドラゴンの周りに水の塊が現れる。
その水の塊は、ドラゴンに近づいていき、やがてドラゴンは水に飲みこまれる。
「グオー」
大きな雄たけびを上げて、苦しみ始める。
ドラゴンは水を貫通して、俺に炎を吹き付ける。
しかし、俺の目の前にさらに圧迫させた水の城跡が現れる。
その炎は、水の城壁にぶつかると同時に消え去っていく。
しだいに、飛ぶ力を失いドラゴンは墜落し、力尽きた。
「なるほどな。ここは夢だから、何でもアリってわけか。」
「俺の想像が、この世界では具現化される。だから、地形も俺の想像したものがすぐそこに現れたというわけか。」
この森の変化の理由は、まだ分からないが。
「なんか強くね?この力があれば、なんとかなりそうだな。」
「とはいえ、あまり戦いたくないからな。隠れておくか。」
地下室を想像すると、真下に家が建てられる。
「便利だな・・これ。ようやくゆっくり休めるな。」
すぐに、ぐっすりと眠りについた。
「何してんだ?こんなところで。」
今度は何だよ。
声が聞こえた窓のほうを確認する。
窓に座っている小さな女の子を見つける。
「・・・小さいっていうか、こいつ妖精か」
「お前、フェリスの奴じゃないな。迷い込んだのか? ついて来い。宮殿に案内してやる。」