贖罪の手紙が届くとき
前書き
人は過ちを犯し、それを悔やみながら生きていく。だが、本当の贖罪とは何なのだろうか?謝罪の言葉を述べることか、それとも罪を背負い続けることか。
この物語は、かつて友情を裏切った男が、十年の時を経て親友と再会し、贖罪の意味を見つけ出すまでの旅路を描いている。過去と向き合いながら、人はどのようにして赦しを得るのか――。
これは、ある一通の手紙から始まる、贖罪と再生の物語である。
贖罪の手紙
夜の帳が静かに降りるころ、一通の手紙が机の上に置かれていた。淡い灯の下で、その古びた封筒にはただ「贖罪」とだけ書かれていた。
手紙の主は、十年前に姿を消した親友・涼介だった。
俺と涼介は高校時代、どこへ行くのも一緒だった。だが、一つの事件がすべてを壊した。ある日、俺たちはふざけ半分で万引きをした。俺は怖くなってすぐに逃げたが、涼介は捕まった。罪を逃れようと、俺は「自分は関係ない」と嘘をついた。そのせいで、涼介だけが停学となり、学校でも孤立した。結局、彼は学校を去り、俺の前からも消えた。
それ以来、俺はずっと罪悪感を抱えたまま生きてきた。
震える手で封を切り、中の手紙を開く。
「あの日からずっと、お前を恨んでいた。でも、俺もようやく気づいた。お前を憎んでいる限り、俺は何も前に進めない。だから、これは俺自身の贖罪のための手紙だ。お前を許す。俺もまた、自分を許したいんだ。」
その瞬間、胸の奥に押し込めていたものが崩れ落ちた。俺は許される資格などないと思っていた。だが、涼介はそれでも俺を許してくれたのか。
涙が手紙に落ちる。俺はペンを取り、新しい手紙を書き始めた。
「涼介、本当にすまなかった。そして、ありがとう。今度は俺が、贖罪のために生きるよ。」
手紙を封筒に入れ、宛名を書いた。今度こそ、真実を伝えるために。
後書き
贖罪とは、一体何なのか――この物語を書きながら、改めて考えさせられました。過ちを犯した者は、それをどのように