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星のランプ  作者: 染未
4/7

人形

「わたしどうしたらいいかしら?」

 ナターシャは自分の影に向ってききました。

 すると真っ黒な魔人がナターシャの影の中から出てきて言いました?

「わたしにきかれても。わたしの役目はご主人様の願いを叶える事だけですから?ご主人様の望みは何ですか?」

「それを答えたらまた別の力がなくなっちゃうわ。」

「わたしのご主人様はやはり賢い。」

「言われ慣れると、そう思えて来たわ。」

 ナターシャはその日、ずっと肌身離さずモウリーのくれた人形を持ち歩いていました。


 そして、自分がヨクバールから買った同じ人形を見比べました。

 ナターシャが買ったのは赤で、モウリーがくれたのはピンクでした。


 ナターシャは翌日ゴミ置き場に向いました。

 モウリーを探しに来たのですが、その日モウリーはいませんでした。


 家に帰る途中、一番最初にナターシャの家に来た使いの人が声をかけてくれました。

「どうされたんですか?」

「人を探していたの」

「それはどんな人ですか?私でも知ってる人でしょうか?」

「わたしと同じくらいの男の子よ。」

「ああ、お友達ですか」

「ううん、友達になりたかったの。」

 ナターシャは何時の間にかまた泣いていました。

 使いの人はナターシャを屋敷まで送ってくれました。


 ナターシャが使いの人と一緒に屋敷に戻ると。玄関先でヨクバールが待っているのが見えました。

「あいつは、業突く張りの商人で有名なんですよ。」

「知ってるこのお人形10倍の値段で買っちゃった。悪い人なの?」

「悪い人かどうかは、とる人によるでしょうね。」

「どうして取る人によって何でも変わってしまうのかしら。わたしそういうの凄く困っちゃうの。」

「ははははは」

 使いの人は楽しそうに笑うと、少し考えてからまた離しだしました。

「私の思う処、悪い商人は、これ以上売りつけられないと思うと、態度をひるがえす人です。私の主人はそのような事をしません。良い商人は買う人売る人互いの利益を大切にします。」

「利益って何?」

「誰かのため”になることですよ。では私は仕事がありますので。」

 使いの人は恭しくお辞儀すると、去って行きました。

 ナターシャは少し俯いて考えて、空を仰ぎました。

 空は真っ青で良く晴れています。


「こんにちは」

 ナターシャは自分からヨクバールに挨拶しました。

「これはこれはナターシャ様」

 ヨクバールは一瞬渋い顔をしましたが、すぐいつもの笑顔になって、汗を拭いていました。


 ナターシャは持っていた二つの人形をヨクバールに差し出しました。

 モウリーのくれた方の人形はまだ値札がついています。

 ヨクバールははっとした顔をしてから、深々と頭を下げました。

「すすすす、すいません。こんな立派なお屋敷に住んでる方に、安物は売れないと思いまして…」

 しどろもどろ話すヨクバールを真ん丸な目で眺めながらナターシャは口を真っ直ぐ一文字にしていました。

 ヨクバールが焦って更に汗をかいていると、ナターシャはゆっくり口を開きました。

「わたし欲しいものがあるの」

「はい?はい!何でしょうか?」

「お金を払うから、あなたの商売を教えて頂戴。」

 ヨクバールは屈んだままの姿勢で、ナターシャの顔を見たまま、あんぐり口を開けていました。


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