目が覚めたらそこは戦国時代であった
------------声が聞こえる。
金属と金属がぶつかる音だ。それと、人の叫び声?みたいなのもしばしば。
「うっ、ここは・・・・?」
うっすらと目を明けるとそこには目を疑う光景が見えた。
目の前で戦っている人々は、甲冑を着て笠を被って闘っていた。まるで戦国時代の足軽のようであった。
「何だよこれ・・・映画かテレビの撮影か?」
訳も分からず混乱しながらも、ここにいるのはマズイと思いその場を立ち去ろうとした。
しかし、移動しよう走り出そうとした瞬間、道端にある何かに足を引っ掛け転んでしまった。
「痛ってぇ・・・」
一体何に足を引っ掛けたのかと振り向くと、そこには足軽と思われる者が血を流して倒れこんでいた。
「っ!?」
その姿に俺は目を見開き、顔を真っ青にした。初めて見る人の死体。俺は吐きそうになった。
だが、周りを見ると足軽たちが刀や槍で交戦している。このままいては槇沿いになる。そう思った俺は目の前に見えた森の中へ走り、逃げ込んだ。森の中に着いた俺は一呼吸して地面に座り込み木にもたれかかってしまった。
「はぁ・・・・いったい何なんだ?」
俺が少し混乱しながらつぶやくのもつかの間、一斉に20名近くの侍に囲まれていた
「うわっ!?」
「なんだ?こいつ?見慣れない服装だが?斎藤家の間者か!?」
「なんでもいい、ぶち殺せ!!」
「ちょ!?なんだ!?止めてくれ!?」
俺を勝手に間者と決め付けて槍を構えて襲って来た。俺は地面に木の棒か何かないか探っていると急に鉄のような冷たい感触がし、俺は無意識にそれを拾い侍たちに向けた。すると俺はその何かの引き金みたいなのを引くと
パァーン!パァーン!パァーン!!
「「「ぐわっ!?」」」
「え?」
急に銃声が鳴り響き、俺を殺そうとした侍たちは口から血を吐き倒れる。俺は自分の手に持ったものをよく見る。それは拳銃であった。しかもただの拳銃じゃない
「ワルサーP38・・・・・」
それは有名な怪盗の三代目やナチスの士官がよく使用していた拳銃、ワルサーP38であった
「きさま!!」
仲間が数名やられたのを見て、他の侍たちは俺を睨みそしてまた襲ってきた。ああ…なぜかあった拳銃で命は助かったけどもうだめだな。祖父ちゃん。もうすぐそっちに行くよ
俺がそんなことを考えていると・・・・・・
「一人に対して、一斉に嬲り殺そうとなど・・・・・褒められたものじゃないですね」
と、どこからか女の子の声が聞こえたかと思うと・・・・
「ぎゃ!?」
「ぐへっ!?」
一斉に襲い掛かってきた足軽たちの首筋から血が噴き出し、倒れる
「なんだ!?妖術か!?」
と、他の侍たちが慌てふためく。すると・・・・
「こっちです!」
「え?・・・・て、うわっ!?」
急に誰かが俺の後ろ襟を掴み、森の中を走り抜ける。え?おいおい。いったい何だこれ!?俺は引っ張ている人の顔を見るが黒い服装で顔に頭巾をかぶっていたが少し小柄な人だった。てか、俺をこんな速さで引っ張るなんてすごい力持ちだな・・・・・
そう思っていると、急に手を離され地面に倒れた
「いでっ!?」
「もうここらへんで大丈夫ですよ」
「あ・・・・どうも」
誰もいない森の中に連れてこられた俺はここまで運んでくれた人に礼を言うと、
「いえ、例には及びません。ただ放っておくことができない性格なので」
「あ、そうですか」
俺は、頭巾をかぶったその人にそう言うとその人は
「それで・・・・あなたは見慣れない格好をしていますが、斎藤家の草(※忍者、間者、スパイの意味)ですか?ならば私を斎藤家に仕官できるように口添えをしてもらえませんか?」
「え?ちょっと待ってよ。俺は斎藤なにがしらっていう人の部下じゃないんだけど?」
「え?・・・・・・そうですか?その腕の家紋からして斎藤家かどこかの武将の者かと思ったのですが?」
「え?・・・・・て、わっ!?何この格好?」
俺はその人に言われて改めて自分の格好を見るとそこにはかつて祖父がヒトラーから譲り受けたあの軍服だった。そしてその人が指をさした場所。右腕の紋章は、ナチスドイツを象徴するハーケンクロイツの紋章だった。
「(なんで、俺こんな格好を?俺、確か部屋では私服だったのに?)
そう疑問に思っていると
「そうですか・・・・違うんですね…残念です」
少ししょんぼりしてそう言う頭巾の人。
「あ・・・・ごめん。なんか期待を裏切っちゃって」
「い、いいえ。あなたが謝ることじゃありません。私、仕事を失っちゃって、早くどこかに仕えたいって焦っていたので、でもよかったです仕官はできる機会はなくても命を一つ救うことはできましたので・・・・」
何この人・・・頭巾かぶって顔分からないけど、めっちゃいい人じゃん
「仕方がない。また職を探しますか」
と、そう言い立ち上がろうとすると
「あ、あの!俺も君が仕事つけるように協力してもいいかな?」
「え?でも・・・・いいんですか?」
「命助けてもらったお礼ですよ。それに祖父の言いつけでね『恩は必ず返せ』って。だから手伝わせてくれよ」
と、そう言うとその人は俺の顔をじっと見て・・・・・
「服装もそうですが変わった人ですね?私なんかのために?」
「言ったでしょ?命を助けてくれたお礼ってあなたが助けてくれなければ今頃あの侍たちにくし刺しにされていたところだったよ」
「ふふ・・・本当にちょっと強引な方ですね?じゃあ、お願いしましょう」
と笑って言う頭巾の人。すると俺は
「あ、俺、那智弘樹っていうんだ。君の名前はなんていうの?後、顔も見せてくれるかな?」
俺は自己紹介すると。その頭巾の人は、頭巾を取る。すると一房の黒髪がこぼれ落ちてきて、そして顔は奇麗で目は翡翠のように青かった。そう、俺は驚いたあの頭巾の人は女の子だったのだ、
だが驚いたのは彼女が名乗った名前だった
「私の名は加藤《桔梗》段蔵と申します。気軽に桔梗と呼んでください那智さん」
「え?」
俺は彼女の名前に驚いた。加藤段蔵・・・・飛び加藤の名で有名な忍者だからだ。
そしてこの時俺は知らなかった、彼女の出会いが・・・・いやこの世界に来てから。俺の・・・平穏な生活との別れになるということを・・・