外史の扉
祖父の死から一年がたった。俺は相も変わらず普通の学生人生を送っている。いつものように学校に行き、いつものように勉強をし、いつものように家に帰って過ごす。そんな毎日だ。
だが、そんな平凡な人生でも少しの楽しみがあった。
それは歴史の勉強だ
歴史の勉強というのはナチスドイツやファシストなどの第二次大戦時の独裁者についての勉強だ。まあ、これは祖父の影響でもあるけどな
そして第二が友人の家に遊びに行くことだ
俺の友人の名は新田剣丞という。高校で歴史の話をしてすっかり意気投合して仲良くなった。そいつの家庭が少し複雑でな。両親が事故で亡くなり伯父の家に住んでいるという。その伯父の家がなんとも奇妙なんだ。
何と奥さんが数十名いるというリアルハーレムな家庭なのだ。
他のみんなはそんな彼を変な目で見ることがあるが、俺はさほど気にしていなかった。
剣丞も伯父さんの家庭については気にはなってはいるがそれほど深くは考えてはいなかった
そんな友人の家を俺はちょくちょく遊びに行くことが多かった
剣丞の家族も俺のことを家族同然に歓迎してくれた
そんな剣丞の家族は武術とか戦術とか得意な人が多く。俺も遊びに行くついでにその人から剣道や特に兵法なんかを教わった。
俺は勉強はどちらかというと好きな方だったので真剣に兵法の講義を聞いていた
そんな毎日が結構好きだった。
かし、その次の日は違った。
その日は友人の新田剣丞が学校に来なかった。風邪かと思い電話に連絡したが通じなかった。
俺は剣丞の家に行ったが、その日いた華琳さんからは「少しだけ、修行の旅に出ている」て言われた
あ、華琳さんは剣丞の伯父さんの嫁さんの一人で、俺に兵法とか教えてくれていた人の一人だ。
剣丞が修行の旅に出たって・・・・そう言えば、一緒にアルプスのがけのぼりとかしたけど、あれと同じことかな・・・・・でも学校を休むほどなのかな?
俺は疑問に思いつつ家に帰る。自宅に帰ると、両親はまだ帰っていなかった。風呂に入り、髪を拭きながら居間に入るとすると机の上にオンボロの布切れが一枚あった。
「・・・何だこれ?」
それらを手にとり、オンボロの布切れを広げた。
すると、予想以上に布切れはでかく広げた後、俺は絶句した
「これって・・・・祖父ちゃんの部屋にあったナチスの旗じゃん」
赤い生地に白い丸の中央に鍵十字。まさしくナチスの旗だった。祖父ちゃんが死んだあとナチス関連のものは全部捨てられたかと思ったのに・・・・・
「・・・あ」
俺は何か思い出し、クローゼットの奥にしまってある。あるものを引っ張り出した。それはカーキー色の軍服。そう祖父がかつてアドルフ・ヒトラーから譲り受けた軍服だ
「よかった・・・・・これは無事だった」
俺は少しほっとした表情になる。ナチス関連とはいえこの服は祖父の大切にしていたものだ。それにあの時代はたとえナチスがいなくても同じような思想を持った別の組織が現れてもおかしくはない時代だ。ナチスが悪くないとは言わないが、それでもそれすべて悪とは言い難い。まあ、ナチスがユダヤ人に対してやったホロコーストとかは弁解の余地はないし許せないけど・・・・
まあそれはさておき、なぜ机の上にナチスの旗が置いてあるのかはわからない。
「はぁ・・・・・考えてもダメだな。今日は寝よう」
俺はその旗を奇麗にたたんで、祖父の遺品である軍服と一緒にクローゼットの奥に隠して俺はベッドに横になり眠った。
その時、眠っていた俺の頭の中に男性の声が聞こえた
《今こそ時が来た・・・・ヒトラーの末よ・・・・・鍵十字の思想を継ぐ者よ‥‥》
「え!?」
その声に俺は飛び起きた。その時、俺の目に見えたのは自分の部屋じゃなく、見渡す限りの草原で会った
「ここは・・・・どこだよ」