プロローグ①
正午より少し前、私はマンションの前にいた。
昨日、みずきから連絡があり、こうしてみずきのマンションまで来ていた。
ガードマンさんに挨拶をして、携帯でみずかに連絡を入れる。
私はエレベーターを使って7階に辿り着いた。
インターホンを押すと、返事の代わりに扉が開く音がする。
「いらっしゃい、待ってたよ」
「うん、おじゃましまーす」
迎え入れてくれたみずかに甘えて、そのまま家におじゃまする。
ここに来るのも久しぶりだ。前に来たのはみずかが高校を卒業する前くらいのことだった。
居間の方に移動しようとしていた私の後ろから、ぎゅううっと音を立てるほど強くみずきが抱きついてきた。
みずきはわがままボディをお持ちな上に、身長まで170センチと女性としては高い方だ。
145センチしかない私としては、抱きつかれると包まれるような体勢になってしまう。
貧相な自分の胸では体感できない柔らかさを後ろに感じながら、私はされるがままになっていた。
「あー……久しぶり」
「みずき、動けないんだけど」
「もうちょっと……もうちょっとだけ……」
そのまましばらく抱き着かれたままだった。
「なんだかんだで会うのも久しぶりよね。」
「最近はどっちも忙しかったからね」
「そうね。」
私が来るのに合わせて用意してくれていたらしい食事を取りながら他愛ない会話をする。
「また仕事は探さなきゃなーー」
食後のお茶を飲みながら、私はそんなことをボヤいた。
そう。ニートと化した私は仕事を探さなければならないのである。
「それに関しては問題ないわ」
「え? なんで?」
「昨日の電話で話すつもりだったんだけどね」
私の職探しへの憂鬱な気持ちを自信満々な表情で切り捨てたリンちゃんに、私は思わず目を丸くしてしまう。
そういえば昨日、みずきは私に用があるから電話をしてきたはずだ。
「ももか、私が今やってる仕事は覚えてる?」
「えーと、確かあの、ゲーム実況?」
「まぁ簡単に言うとそうね。一応企業にも所属してるし