4話
エルたちは男が通る道に到着した。奥の道からドシドシと重たい体が地面を揺らしながらこちらに近づいてくる。等身大をもある大剣を地面に引きずり、金属が地面と擦れる嫌な音が響く。
「今日もお食事かい?デカブツさん。今日はお前が餌食だ」
エルは笑いながら服の内側に隠してあったナイフを2つ取り出し、両方の手に握る。
「いえ、ここは私が対処しますわ」
セリエスは前に立っていたエルの肩を掴み、どかして言った。
「バンザール!これ以上人を殺すのはやめなさい。あなたは何を求めているの?誰かに話せばきっと変わるわ」
バンザールは一歩一歩こっちに近づいている。
「話を聞いて。人は罪を犯しても償えば元の生活に戻れるわ。だからお願い!ここは引いて」
しかし、その言葉は響かなかった。大剣を高く上げ、そこから思いっきり振り下ろされる。
「危ない!」
エルは咄嗟にセリエスを押し倒し間一髪のところで攻撃を避ける。
「私は...」
エルは倒れているセリエスの胸ぐらを思いっきり掴む。
「お前は馬鹿なんだな。話し合いで解決できると思ったのか?ここは殺るか殺られるかなんだぞ!甘ったれたこと言うなよ騎士さんよぉぉおお」
エルの怒鳴り声が静かな貧民街に響き渡る。その声は早く鋭くセリエスの心に刺さる。
「私が馬鹿だったわ。話し合いでは解決出来ないこともあるってことを知ったわ」
セリエスは腰の剣を抜き、バンザールへと走り出す。
再びバンザールは大剣を大きく振り上げた瞬間。
セリエスの剣は首元をとらえ、気づいた時には頭と胴が切り離されていた。
「遅い」
セリエスは騎士の中では最速の速さを持っている。バンザールの大ぶりの攻撃は威力は高いが、しかし攻撃速度は遅く隙が生まれる。そこを見逃さずに1発で仕留める。さすが騎士というだけのことはあった。
剣を振り、血を払ってから鞘に剣を閉まった。
「貸しはいつか返すから。今度会う時は情報を言いなさいよ」
冷たい目でエルを睨みつけるや否やその場を去っていった。
セリエスが去っていく背中を見送った後、再びナイフを持って食料争いの黒い塊に入っていった。




