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2話

ハッと目が覚める。


「また同じ夢を見ていたのか」


レンガ風の壁にもたれて寝ていたせいか体が痛い。義父が姿を消して以降、12年間こうして野宿を繰り返している。


生きるために金を奪い、衣服を奪い、食べ物を奪う。生きるためには手段を選ばない。それが貧民街の道理。


エルが人を殺めた数は指が何本あっても足らないレベルまで来ていた。


王都では「貧民街には人殺しのカラスがいる」と噂されるらしい。この国では貧困層との差が大きく身分的立場もはっきりとしている。


王都と貧民街の間には大きな城壁で隔てられている。基本的には裕福な者と貧乏な者で分けられているが、王都では、謀反をおこした者や窃盗など罪を犯した者などは追放と言って貧民街送りになる刑があるという。


それがさらに貧民街の治安を悪化させている。追放された兵士や冒険者など貧民街で好き勝手しているというのが現状だ。


西の方角から太陽が頭を出していた。そろそろ朝が来るというのを知らせている。


俺が立ち上がろうとしたその時、目の前に人が現れた。


綺麗な鎧に身を包んだ金髪の女性だった。姿勢や立ち振る舞いからして貴族出身だろうか。


「すみません。話を伺ってもよろしいですか?」


丁寧の言葉遣いの奥に力強い覇気を感じた。強い奴は見たら分かるというのはこういうことかというのを実感する。


「これは王都の騎士様がここに用があるとは。なんですか?」


「人殺しのカラスについて情報をなにか知っていますか?」


「知っていますよ。情報を言う代わりに少し貧民街を見ていきませんか?」


金髪の女騎士は少し考え、エルの交換条件を容認した。


エルと女騎士は貧民街を一緒に歩いてまわった。風景はだいたい一緒だった。ただトタン屋根の家が並び、道にはゴミや血のシミなど、死体みたいになった廃人だったりと貧民街のリアルがそこにはあった。


「どうです?貧民街は?」


「とても、ひどいわね。人としての生活を諦めている。というより諦めさせられている」


「そうでしょ。廃人になっていない人の方が珍しいんですよ。こんな場所で生活しているんだ、いつ誰が狂ってもおかしくない。」


真っ直ぐに伝えられた貧民街の状況はなんとも言えない重みが存在した。



「そうね...。でもあなたはとてもまともなのね」


「まだまだ元気ですよ。そうだ!ついて来て」


しばらく歩くと1つの高い塔の前まできた。貧民街で1番高い建物だ。


「ここは?」


「ここは貧民街の中心にあって全ても見ることができる所だ。みんな貧民街の目と呼んでる」


エルと女騎士は塔の中へ入っていった。

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