発着場の屋敷
リベリアの町が見えてくると、門に向かって降下していく
『英雄様、お帰りなさい。発着場にどうぞ』
門番が笑顔で手を振っていると、キャス号が発着場に向かい、着陸する
『屋敷に向かいますか?』
クレシアが微笑みながら聞く
『屋敷の部屋が足りないので、発着場を使ってください』
マルスが笑顔で言う
『そうですね、ここなら自由ですね! 領主の館より安全です』
クレシアが微笑みながら言うと、建物に歩いていき、マルスが鍵を開けて、みんな入っていく
『噂は聞いていたが・・・これが発着場か? 要塞なのか?』
ヘルトが見渡しながら呟く
『マルス師匠が作った発着場です!! 早く行かないと、部屋なくなりますよ』
メトリシアが笑顔で歩いていくと、ヘルトが慌てて屋敷に入っていく
『あれ? メーレス様、何故ここに?』
マルスがメーレスを見て聞くと、みんなメーレスを見て驚いている
『話していたら、飛んでました』
メーレスが微笑みながら言うと、みんな顔を見合わせて、笑い出す
『気付きませんでした。当然のように座ってました』
メリアがメーレスを見て言う
『マルス師匠、飛ぶ前に気がついて下さい!!』
メトリシアがマルスを見て言う
『え? この人数だから、解らないよ! それにヘルトが話し込んでいるから、そっちが気になって』
マルスがヘルトを見て言う
『ヘルトがゆっくりしていたから仕方無いですね』
クレシアが笑いながら言う
『何故ヘルト御兄様が気が付かないのですか!! 乗った後、食堂で一緒に食事してましたよね!!』
メトリシアが大声で言う
『メトリシア、乗員の安全を守るのは、艦長の仕事だろ!! メトリシアも仲良く話して夢中になっていただろ』
ヘルトが思い出しながら言う
『え! 艦長の責任・・・ごめんなさい!! 才能の欠片もない、最低の人で!! 本当にごめんなさい!』
ミリアが慌てて涙目で頭を下げる
『え?何故?』
ヘルトがミリアを見て呟く
『キャス号の艦長は、ミリアだから!! ヘルトがミリアを虐めるから悪い!!』
キリシアが愉快そうに笑っている
『え! まさか・・・全部責任を押し付けるつもりか? ・・・リベリアの英雄だから仕方無いのか・・・』
ヘルト呟くと、みんな爆笑している
マルス達は、部屋の準備をみんなでしてから、発着場の屋敷を出ると、ガシリオが待っている
『クレシア様は、屋敷に行くのか?』
ガシリオが笑顔で聞く
『ここを使って貰うよ』
『わかった!! 警備は任せておけ』
ガシリオが笑いながら言うと、隊員達が配置を決めている
『マルス様、レティナちゃんは、屋敷ですか?』
クリスがリリアとミーレスが屋敷から出てくる
『後でこっちに遊びに来るように行っておくね』
『はい! マルス様お願いします!!』
クリスが嬉しそうに言う
『クリス様は、領主の館に戻られないのですか?』
ガシリオが笑いながら聞く
『マルス様の屋敷が家です!! リリアちゃんとミーレスちゃんとサトメルちゃんもここにいるので、こっちに今日は泊まります』
クリスが笑顔で言うと、屋敷に戻っていく
『この屋敷なら、面倒な人が入れないから、良いか・・・英雄騎士隊も来ているなら、安心だろう』
ガシリオが入口の前に立っている騎士を見て言う
『余程の馬鹿じゃなければ、侵入はしないよね』
マルスが笑顔で言う
『貴族の馬鹿ならやりそうだな』
ガシリオが笑い出すと、クレシアが出てくる
『ガシリオさん、酒をお父様に届けておいてくださいね、結婚式で使います』
クレシアが微笑みながら言う
『酒? 王都から運んできたのですか?』
ガシリオが考えながら聞く
『カーレスト諸島で作られた、カーレストの蒸留酒です。大変に高価な物ですので、しっかり護衛してくださいね』
『カーレストの蒸留酒? 初めて聞きますが・・・高価な酒か・・・』
ガシリオが考え込んでいる
『まだ国王陛下も飲んでない、最高級の酒です』
クレシアが微笑みながら言うと、ヘルトが出てくる
『あの酒は旨かった!!』
ヘルトが笑顔で言うと、警備隊隊員達が驚いている
『ヘルト王太子殿下まで来訪とは、知りませんでした』
ガシリオが慌てて言う
『クレシアの付き添いだ! 面倒な貴族からあれこれ言われて、機嫌を損ねないように人避けだ!』
ヘルトが笑いながら言う
『あ!! ヘルト御兄様が本当の事を言った!!』
メトリシアが嬉しそうに言うと、みんなヘルトを見ている
『冗談だったのだが・・・』
ヘルトが苦笑いしている
『帰ったらお母様に確認してくださいね』
メトリシアが笑顔で言うと、みんな爆笑している
『え! まさか・・・冗談じゃないのか?』
ヘルトが不安そうに考えている
(お母様・・・まさか冗談と言いつつ、本当にクレシアの為の人避けに・・・)
『ヘルト、魚は焼きます? 煮ます? 揚げますか?』
クレシアが微笑みながら聞く
『え! クレシアのお勧めで頼む』
ヘルトが慌てて言う
『全部ですね』
クレシアが微笑みながら言うと、屋敷に入っていき、ヘルトも後を追う
『これは警備強化が必要か?』
ガシリオが苦笑いしている
『ガシリオ頑張ってね。サトメル様とレセナ様も来ているから』
マルスが笑顔で言うと、屋敷に向かって歩いていく
『サトメル様とレセナ様? 誰だ?』
ガシリオが慌てて聞く
『隣国の王女様ですね・・・クレシア様とクリスちゃんのお友達ですね』
フローネが微笑みながら言うと、帰っていく
『王女様・・・お前達警戒体制を強化だ!! 式の警備は・・・リベリアの英雄様任せだ!!』
ガシリオが慌てて言うと、警備隊隊員達が笑い出す
『最初から頼るのですか?』
『貴族は面倒だからな!! 王女様警護なんてしたこと無いだろ?』
『メトリシア様ならいつも居ますけど』
警備隊隊員が呟く
『は?・・・忘れていた』
ガシリオが呟き、隊員達が爆笑している




