魔導具とミドル
翌朝、ミドルと警備隊隊員達がやってくる
『ミドル、やっと来たのですね』
フローネが微笑みながら言う
『師匠・・・マルスをどうにかしてください』
ミドルが泣きそうな声で言う
『マルスですよ! もう何年付き合っているのですか?』
『貸し出す魔導具が増えすぎです!! 毎月の収入も増えるだけで、減りません!! それ所か、資金を受け取って貰えません!! 門のあれは何ですか!!』
ミドルが必死に言っていると、後ろでガシリオ達が笑っている
『昨日新しいランプを作ってましたよ・・・完全一体型の新作です』
『はーーーーーー!! 聞いてません』
ミドルが慌てたように叫ぶ
『マルスがやる気を出したからですね・・・今までより明るいランプですから、大きな屋敷の部屋に取り付けたくなるでしょう』
フローネが微笑みながら言う
『また、大変な事に・・・どうしたら・・・』
ミドルが青ざめて、ブツブツ言っていると、マルス達が鍋やワゴンを運んでくる
『これは・・・銀か? 銅も・・・凄い装飾だな』
ガシリオが鍋をじっくり見ている
『みんなの趣味だね・・・リベリアの紋章入れてあるから、盗まれないように』
マルスが笑顔で言うと、みんな馬車に運び込んでいる。ミドルは、フローネに必死に何か言っている
『王宮並みの式になるな・・・』
ガシリオが笑みを浮かべている
『当たり前です。マルス様が楽しそうに作ってました』
メリアが笑顔でガシリオを見ている
『あのワゴンは、温めるやつか?』
ガシリオがワゴンをじっくり見ていると、隊員達も集まりじっくり見ている
『料理が冷めたら美味しくないからね。水差しは、冷やす水差しだよ』
マルスが笑顔で言うと、ガシリオが考え込んでいる。メリアは魔導具の数を数えて書類に記載している
『ミドル様、こちらが今回の物のリストです』
メリアが書類を差し出すと、ミドルが受け取って、書類を見ている
『はーーーーーーー! こっこっこっこんなに!! ・・・貸出賃はどうするんですか!』
『ミドルに任せた!!』
マルスが笑顔で言う
『ミドル、あなたが決めなさいね。マルスが決めたら、銀貨1枚って言いますよ・・・いえあげると言いそうですね』
フローネが微笑みながら言う
『師匠・・・価値の算出が難しいです!! 鍋が何で装飾されているのですか!!』
ミドルが鍋を見て叫ぶ
『あれは、楽しかったですね』
フローネが微笑みながら呟く
『え! 師匠がやったのですか!!』
(師匠までどうして止めてくれないのですか! そもそもいくらにするつもりですか!)
『リシリアがやってましたよ。指示したらその通りに形にしてくれて、楽しかったですね』
フローネが笑顔で言うと、ミドルが震えている
(師匠までどうしたら!)
『この鉄板は?』
ミドルが白い鉄板を見て呟く
『最新型の油要らずの鉄板です。クレシア様のお気に入りかな?』
『クレシア様が凄く喜んでいましたね、お茶会も凄く楽しそうに料理を作っていました』
メリアが笑顔でマルスを見ている
『えっ? クレシア様のお気に入り・・・料理しても凄い使いやすいのか・・・』
ミドルが想像しながら呟く
『早く会場に持っていってくださいね! これから王都までクレシア様とクリスちゃんを迎えに行ってきますから』
メリアが笑顔で言う
『え!! クレシア様も来られるのですか!! 王太子妃様ですよ!!』
ミドルが慌てて叫ぶ
『はい、頼まれていました』
メリアが笑顔で言うと、ガシリオが笑っている
『クレシア様ぐらいですね。マルス達が簡単に迎えに行くのは・・・ミドル、手を抜いたら、クレシア様から文句が来ますよ』
フローネが微笑みながらミドルを見る
『どうにかしてください!! 王太子妃様が来訪なんて、警備が出来るのですか!!』
ミドルが慌てて叫ぶと、ガシリオが笑っている
『隊員を張り付かせる! どうせ、リベリアの英雄の屋敷に泊まるのだろ?』
ガシリオが笑いながら言う
『そうですね・・・クリスちゃんとクレシア様なら、領主の館には行きませんね・・・部屋が足りなそうですね』
フローネが微笑みながら考えている
『そうだな・・・飛空艇発着場を使って貰おうかな?』
マルスが笑顔で言う
『その前にクレシア様がキャス号から降りてくれれば良いのですが・・・』
メリアが呟く
『しばらく料理を作っていそう』
マルスが考えてから呟く
『あの厨房なら、屋敷と同じですね』
フローネが思い出して呟く
『は!! 聞こえない聞こえない!! 飛空艇何て見ないーーーー!! 絶対に2度と中を見ない!!』
ミドルが耳を押さえながら叫ぶ
『ミドル、確りしなさい!! あなたが商会の代表です!! マルスが作る物は見て価値を決めなさい!! どんどん凄くなってしまいますよ』
フローネがミドルを睨んでいる
『師匠、監視はどうしたのですか!! 昔の師匠ならマルスを叱っていた筈です!!』
『ミドル、マルスは監視不可能です!! 一緒に楽しんだ方が楽ですよ』
フローネが微笑みながら言うと、ミドルが泣きそうになっている
(師匠も完全に常識を失っている!! リーベル姉さん、どうにかしてください・・・レズオス兄さん、師匠に元に戻って貰えるように言ってください!!)




