表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生失敗から始まる魔法使いの生活  作者: 桂崇
3章 北部の危機と付与魔法師
97/1407

北の領主の危機とレティナ

第3章の始まりです

トーラス村に一人の兵士が伝令を伝えに来る

『領主様からの伝令です』

『どうなさいました?』

『北の戦いで騎士団と魔法師団が敗れました。このまま村を守ることは出来なくなったので、避難するように』

『馬鹿な!このままいたら見殺しになると言うことなのですか?』

『だから避難せよとのことです。急いだ方が良いと言うことです』

『解りました。すぐに村人に避難の指示をします』


一人の少女と父親と母親は、荷物をまとめて避難の準備をしている

『レティナ、ペンダントは大事に持っておいてね』

『はい、お母さん』

領主の館のある町に向かってトーラス村の村人全員が一緒に出発する。領主の館の町に着いたが、人が多く集まっている

『お母さん、人が沢山』

『レティナ、迷子にならないように手を離さないようにね』

『うん!お母さん』

『歩いてリベリアか、王都に向かうしか無いようだ』

『村長、それじゃ何日も食料が持たないですよ』

『馬車は満員だからどうにもならない・・・』

オリバンは馬車に空きが無いか聞いて回っている。そうして一台の馬車を見つけて、交渉してから戻ってくる

『キスカ、レティナを連れて先にリベリアに向かってくれ』

『わかりました』

馬車に着くと

『すまん、乗せれなくなった』

『そんな、約束が違う!』

『これは返すから、すまんな』

『あなた・・・他を探しましょう』

村長がやってくる

『オリバン、レティナだけなら乗せられそうだ!来てくれ』

『わかりました』

『すまん、この子も連れていってくれ、頼む』

『わかりましたが、向こうでの生活は保証出来ないです』

村の2人の子供も乗っていた

『2人ともレティナを守ってやってくれ・・・』

『すぐに向かうから、少しの間頑張ってくれ!』

『レティナ、リベリアの冒険者ギルドでマルスを探してね』

『お母さん、お父さん・・・』

『すぐに追い付くから心配しないでね』

馬車は出発してリベリアに向かう

数日後、馬車はリベリアに到着するが、中に入れて貰えず、外でキャンプを張っている

『中に入れないの?』

『避難してきたから許可が降りない』

レティナは涙を浮かべて座り込んでいる

『レティナ、着いてこい。何としても中に入るぞ』

『だけど捕まるでしょ』

『俺が囮になるから、レティナだけでも中に入るんだよ』

門から入ろうとしたが捕まり

『勝手に入っちゃダメだから戻りなさい』

『どうして?レティナのお兄さんが町にいるからレティナだけでもお兄さんに会わせてあげてよ。お願いだから』

みんな泣き始める

『お兄さんに伝えてあげるから、名前は?』

『マルス』

『他に知り合いは?』

『エミールお姉ちゃんと、リシャお姉ちゃんと、キリチアお姉さん』

『どこかで聞いたことあるような名前だが、知らないな・・・』

そのまま門の所で泣いているのを見た隊長が

『どうした!』

『この子の兄が町中にいるとこの子が言っているのですが、通すわけに行かないですよね』

『無理だな!』

『トイレに行きたくないか?』

『え?』

隊長は門番に言うと

『ちょっとトイレに行ってきます』

そして子供に行くように合図を送る、子供達は急いで門を通り、中に入る

『門番さん、ありがとう』

レティナ達は冒険者ギルドに向かい、到着すると中に入り、待つことにするが、暗くなってきてもマルスは来なかった。レティナは泣き出す

『どうした、お腹空いたのか?』

『お兄ちゃん探しているの』

『お兄ちゃんの名前は?』

『マルス』

『マルスだって!いつも一緒にいるのは誰だか解るか?』

『リシャお姉さんとエミールお姉ちゃんとキリチアお姉さん』

『ちょっと待て、リリシャさんとキリシアさんの間違いじゃ!』

冒険者はカウンターを見ると

『ちょっと一緒にカウンターに行こうか?もしかしたら、どこに行っているか解るかもしれないから』

冒険者はヘザーネに伝えると

『お名前は?』

『レティナ』

『どこから来たの?』

『村から』

2人の男の子が

『トーラス村からです』

『お兄さんの名前は』

『マルスです』

ヘザーネは少し困った顔になる

『マルス君の妹かも知れないけど、知り合いがいないと・・・』

ヘザーネは考えて職員に

『警備隊のガシリオさんを呼んできてほしい』

『わかりました』

職員は外に出て警備隊詰め所に向かい、ヘザーネは応接室にレティナ達を移動する。しばらくしてガシリオを連れて帰ってくる

『何か用かな?』

『この子なのですが、見覚えは無いですか?』

『どこかで見たような・・・』

『トーラス村で覚えは無いですか?』

『マルスの妹のレティナだったかな?』

『やはりそうでしたか・・・』

『どうしてここに?』

『わかりませんが、マルス君を探しに来たみたいです』

『レティナ覚えているかな?お兄さん達と一緒にいたのを』

『うん!後ろで見ていたおじさん』

『どうしてここに?』

『村から避難してきた』

『避難?どうして』

『わからない』

2人の男の子が

『騎士団が敗けて、村を守れなくなって避難してきました』

『え?騎士団が負けた?それは本当か?』

男の子はうなずく

『困ったな・・・』

『マルス君は今、王都に出掛けていて、しばらく帰ってこない』

『え?お兄ちゃんここにいないの・・・』

レティナは泣き出してしまう。ヘザーネは泣き止むのを待ってから、どうするか決めることにする。泣き止んで、ヘザーネのペンダントを見て

『同じペンダント・・・』

ヘザーネがレティナのペンダントを見て

『お兄ちゃんから貰ったの?』

『うん!リシャお姉さんとエミールお姉ちゃんとキリチアお姉さんとお揃いなの』


『取り敢えず、誰がしばらく面倒を見るかですね』

ガシリオが言うと

『私が面倒を見るのも良いですが、仕事がありますし』

『私が預かろう』

ガシリオが言うと

『よろしいのですか?』

『借りがあるしな!警備隊隊員だったらみんな喜んで協力してくれるぞ』

『確かにそうなりますよね。後は、フローネ様か、ギレリムさんか、屋敷に送るかですね』

『そうだな』

『取り敢えず警備隊で預かろう!明日、関係者で話し合うでどうだろう?』

『わかりました。任せます』

『北の様子も気になる』

『ちょっとギルドマスターに相談してきます』

部屋を出てすぐにバイルとゼダルを連れて戻ってくる

『話しは伺いました。明日、話し合いには伺います。私の家は、マルス殿の家の前ですので、私が預かることも可能ですので』

バイルが言うと

『みんなが取り合いですね』

ガシリオが笑う

『借りがある人が多すぎます』

『そうだな!ランプの件とギルドの貢献度、警備隊への貢献度、どれをとってもみんなが守りたくなるからな!』

『そうですね』

みんなが笑いだす

『取り敢えず、明日までは警備隊で責任を持ちます』

『よろしくお願いします』

ガシリオがレティナを連れて行こうとするが、レティナはヘザーネに抱きついて離れようとしない

『レティナさん、どうしたのですか?』

『同じペンダント・・・・』

『あ!このペンダント持っている人がマルスさんの友達だからですか?』

『うん!』

『ヘザーネ、一緒に警備隊に行ってあげなさい。警備隊に連れていかれるのは、不安なのだろう』

『わかりました』

ヘザーネが手を握るとレティナは笑顔になる。バイルも笑顔で見送る


警備隊に到着して

『隊長、お話が』

ガシリオとヘザーネとレティナと2人の男の子を見てから

『ガシリオ、どうした!』

『実は、北のトーラス村から難民です』

『難民だと!外に多くの人が到着したと連絡が有ったが、それだな!』

『その中の子供達です』

『訳有りか?』

『マルス殿の妹のレティナさんです。』

『マルス殿の妹!!』

『そうです。だから今日は警備隊で預かりたいのですが』

『当たり前だ!マルス殿が帰ってくるまで面倒は見るぞ!』

『明日、関係者で話し合いになります』

『関係者だけでもとんでもないからな・・・みんな引き取ると言うだろうし』

隊長は苦笑いする

『後は、外にいるだろう保護者と、状況の確認が必要です』

『確かに必要だ!難民となると相当の事だからな!』

『この子達の話では騎士団が負けたと言っていましたから・・・』

『なんだと!まさかそんなことが・・・』

『隊員を集めろ!すぐに話を聞きに行くぞ!!』

隊員を集めてすぐに向かう準備をする

『お姉ちゃん、どうしてすぐに兵士さんが動くの?』

『すぐにわかるよ。マルス君の凄さが』

ヘザーネは笑顔でレティナに言うと

『緊急事態だ!北で騎士団が負けたと情報が入った!確認のために外に来ている難民に話を聞きに行くぞ!』

『了解!!』

『それと、この娘はマルス殿の妹のレティナさんだ!みんなで保護して守るぞ!』

『了解しました!』

『襲う馬鹿がいたら全員捕まえろ!後は、マルス殿の逆鱗に触れたらどうなるかは想像がつくだろう』

隊長が笑いだすと隊員も苦笑いする

『みんな、挨拶が終わったら出発するぞ!』

隊員はレティナに一人ずつ挨拶してから出発する

『お姉ちゃん、どうしてみんな私に挨拶するの?』

『一緒に稽古する師匠みたいな人達の一人がマルス君だからですよ』

ヘザーネが説明すると首をかしげている


町の外に出ると、多くの馬車と人がいるのを見た隊長は

『確かに変だな!門番の隊長に話を聞こう』

『警備隊隊長がどのようなご用ですか?』

『この子達から不穏な話を聞いたから調査に来た』

子供達を見て隊長は暗い顔になる

『どうして中に入ったかですか?』

『違う!騎士団が負けたと言うことだ!』

『え?しかし噂ですよ』

『普通ならな、だか来たのがマルス殿の妹、レティナさんだしな、騎士団が負けたとなると国軍出撃になるし、その前に難民が沢山来ることになるから領主に報告と対策も必要だ!』

『そうですね。その通りですが、信用は出来ますか?』

『親が来ないで子供だけを先に避難させること自体、緊急事態だ!』

『そう言えば、子供がやけに多いです』

隊員達は話を聞きに行っている

『マルス殿とは?』

『ヴァンパイアを討伐した冒険者だ!シルバークラスの冒険者と言えば解るだろ!』

『あの噂の英雄冒険者ですね』

『そう言うことだ!』

門番の隊長がホッとしているのを見て

『問題にはならないが、次はギルドに先に相談した方が良いな!』

隊長は笑い、合図をすると門番の隊長も笑いだす

『解りました』

『隊長!この子達の乗せてきた馬車が解りました。やはり、村の村長と両親が無理に頼み込んで乗せた様です』

『話は本当なんだな!』

『そうです!各村に緊急避難を領主が出したと確認が取れました!』

『数人は警備に当たれ!緊急事態だ!』

『了解しました!』

2人の男の子は馬車の方に戻っていく

『ガシリオ、レティナさんの保護は任せるぞ!領主に緊急事態を伝えてくる』

ガシリオは頷いて、家に連れて帰ることにする

『明日まで家で預かります』


翌日の話し合いで、結局、フローネの保護の元、屋敷でマルスの帰りを待たせる事になった。警備隊隊員達は毎日巡回を自主的に行ってくれている

フローネがレティナを連れて屋敷に向かい、ステラとイリアとラーザに紹介する事にした

『ここは?』

『マルス達の家ですよ』

『え?お兄ちゃん達の家?』

大きな屋敷に目を丸くしていると

『フローネ様、どうかなさいましたか?』

イリアが言うと

『中で話があります』

イリアはステラとラーザを呼びに行き

『フローネ様、何でしょうか?』

『この子はマルスの妹のレティナさんです。マルスが帰ってくるまで面倒を見て欲しいのです』

『え?マルス様の妹様!!解りました。責任もって面倒を見ます』

『ありがとうステラ』

『マルス様の妹様であれば、私達が守る必要があります』

ステラはニッコリ笑い

『レティナ様、よろしくお願いします』

イリアとラーザは挨拶をする

『よろしくお願いします』

レティナは動揺しながら挨拶をする

『イリア、出来ればレティナから離れず面倒を見て貰っても良いかしら?』

『はい!喜んで!』

『ステラは良いかしら?』

『掃除ぐらいなら私一人で十分出来ますので』

ステラも笑顔で言う

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ