ヒストリアの怪力
マルス達が食料を次々と運び込んでいると、商人が馬車で戻ってくる。エレーヌが話を聞いてマルスを呼びにくる
『マルス師匠、商人がお会いしたいそうです』
エレーヌがマルスを見付けて言うと、エレーヌは、マルスと共に商人に会いに向かう
『こちらが金属屑ですが・・・金属屑が欲しいと言いましたら、全部馬車に乗せられてしまいました。必要な量だけ引き取って貰っても良いです』
商人が苦笑いしながら荷台を見せると、マルスが金属屑を見ている
『ここに下ろしておいて下さい、後で積み込みます』
マルスが笑顔で言うと、商人の護衛達が数人がかり地面に金属屑が入った箱を、次々と置いていく
『マルス師匠、運びますか?』
ヒストリアが笑顔でやって来て聞く
『金属屑だから重いよ』
『鍛練になります』
ヒストリアが笑顔で言うと、金属屑の入った箱を闘気をまとい持ち上げる
『うそ・・・・』
護衛の男達が目を見開き、ヒストリアを呆然と見ている
『思ったより軽いです。運ぶ場所は、エミールさんに聞いて置いておきます』
ヒストリアが微笑みながら言うと、歩いていく
『どうかしましたか?』
マルスが商人達を見ると、驚き目を見開いている
『え! いえ・・・美しい女性が、まさかあの箱を1人で持っていくとは思いませんでしたので・・・』
商人が慌てた様子で、ヒストリアの後ろ姿を見ている
『鍛えているからね』
マルスが笑顔で言う
『え! 鍛えている? そんな問題ですか? 男4人でやっと持ち上げられるのに・・・』
商人が苦笑いして、護衛の男達を見ている
『あれは無理です!! 人4人分の重さが有ります!! 1人で持つなんて不可能です!!』
護衛の男が慌てて言う
『それで護衛が務まるのですか?』
マルスが笑顔で言うと、エレーヌが笑い出す
『え! 人相手なら大丈夫です』
護衛の男が慌てて言うと、商人がマルスを見て苦笑いする
『ヒストリアに剣の鍛練の相手でもさせましょうか? 喜ぶと思いますので』
マルスが笑顔で言う
『え! ・・・あの怪力に殴られたら・・・申し訳ありません!! お許しください!! 実力差が有りすぎます!!』
護衛の男が慌てて頭を下げて言う
『どのぐらい強いか、見てみたいと思いますが・・・この者達では相手にもならないでしょう』
商人が考えながら言うと、ヒストリアが走って戻ってきて、次の箱を持上げて持っていき、商人達が唖然と見ている
(足跡・・・地面に足跡がくっきり付いている・・・重さは間違いないと思うが・・・怪力すぎる・・・この国で勝てる人がいるのか?)
『マルス、全部入ったよ』
リリシャが笑顔で歩いてくる
『キャス号やっぱり沢山乗るね・・・旅しながら交易でもしようかな?』
マルスが笑顔で言う
『あ! それも良いですね・・・家は、天空の城かな?』
リリシャが笑顔で思い描いている
『天空の城も不便だからね』
マルスが考えている
『シルフィード号で良いかな? キャス号?』
『シルフィード号が安心するけど、キャス号の方が住みやすく作ったからね』
マルスが笑顔で言う
『え! エスカじゃないの? 主様ーーー』
エスカが現れると、マルスに詰め寄って大声で言う
『エスカは、上から見守って欲しいかな? 守ってね』
マルスが考えて言う
『え! 守る? わかったーーー! 主様を守るよーーーーー! 任せなさい!!』
エスカが胸を張って大声で言うと、リリシャが笑っている
『あーるーじーさーまーーーー天空の城に住みますよね?』
ヴェルダンディーの声がする
『え! 不便だから、当面住まないよ』
マルスが笑顔で言う
『はーーーーーーー!! この人でなし!! 魔導王!! いつまでほっつき歩いている!! 天空の城に住め!! 世界最強の守りが有っても誰も住んでないなんて、寂しいだろーーーーー!!』
ヴェルダンディーがキレて叫んでいると、ウルスとスグルトの笑い声が聞こえている
『クスクスクス、念話で賑やかですね』
リリシャが笑いながら言う
『もうなれたけどね。周囲から見ていたら、変な人に思われるかな?』
マルスが笑顔で言う
『エスカちゃんを見たら、驚いてそれどころじゃないかな?』
リリシャがエスカを見ながら言うと、メトリシアがマルス達を見付けて走ってくる
『マルス師匠ーーー! 何を話しているのですか?』
メトリシアがマルスに詰め寄って言う
『エスカと世間話だよ』
『本当ですか? 怪しい!!』
メトリシアがマルスを睨んでいる
『旅の行商人になろうかって話だよ』
『旅の行商人? 良いですね!!』
『メトリシアは、クライドルト王国に置いて出掛けないとね』
マルスが笑顔で言う
『え!! あ!! 王女辞めます!! マルス師匠から離れません』
メトリシアが大声で言う
『王妃様が悲しむかな? クレシア様も』
『え! クレシア御姉様・・・御母様・・・』
メトリシアが考え込んでいる
『1隻は、移動屋敷かな? それなら・・・・』
マルスが笑みを浮かべている
『良いですね』
リリシャが微笑みながら、マルスを見ている
(え! リリシャ師匠・・・幸せそうな顔しないで!! マルス師匠ーーーーー!!)




