レセナと護衛役
屋敷に帰ると、レセナと2人の女性が待っている
『マルス様、御相談が有るのですが』
レセナが申し訳なさそうに言う
『どうしたのですか?』
マルスが女性達を気にしながら聞く
『この2人なのですが、オテリオス王国のクレオル王子様から、侍女兼護衛として付けてくれました』
レセナがマルスを見ながら言う
『御初にお目に掛かります。オテリオス王国護衛騎士見習いのウェンナーセと申します。 リベリアの英雄様に国を救って頂いた事、感謝してます』
ウェンナーセが頭を下げながら言う
『御初にお目に掛かります。侍女兼魔法使い見習いのエリーセと申します。偉大なる賢者様にお会いできて光栄に思います』
エリーセが緊張したように頭を下げる
『護衛をどのように扱えば良いのか解らないので御相談したかったのですが・・・マルス様の屋敷にも出入りしますので・・・』
レセナが考えながら聞く
『カミラとソリナを呼んできて』
マルスが笑顔で言うと、みんな顔を見合せている
『マルス師匠、お呼びですか?』
カミラがマルスに言うと、女性達を見ている
『カミラ、この人達信用できそう?』
マルスが笑顔で聞く
『解りませんが・・・どうしますか?』
『取り敢えず、レセナ様の護衛って言うから、護衛の仕方を教えてね』
マルスが笑顔で言う
『何故私が?』
『元護衛役だからね・・・時々鍛練させてあげてね』
マルスが笑みを浮かべて言う
『あ!! マルス師匠の丸投げです!!』
メトリシアが笑いだす
『鍛えてくれるのですか!! それなら、この屋敷に来ている時、鍛えてくれれば、ここでゆっくり料理出来ます』
レセナが嬉しそうに言う
『護衛役が離れて良いのでしょうか?』
ウェンナーセが慌てて言う
『レーリス、この人達を拘束して』
マルスがレーリスに言うと、レーリスが驚いている
『レーリス、訓練ですよ』
クエリスが厨房から見ながら言うと、レーリスがウェンナーセに近付き、投げ飛ばして腕をきめている。エリーセが驚いて後退りしている
『レーリスもう良いよ』
マルスが言うと、レーリスが離れる
『まさか・・・こんな少女に取り押さえられるなんて・・・』
ウェンナーセが落ち込みながら呟く
『あ!! マルス様が鍛えるなら、クレオル様も喜びます。 良い護衛候補が居なくて申し訳無いと、手紙に書いてありました』
レセナが嬉しそうに言う
『カミラが暇潰しにするだけだよ』
マルスが笑顔で言うと、みんな笑いだす
『暇潰しですか・・・レセナ様の護衛が・・・この少女が近くに居てくれれば、安全なのですか?』
ウェンナーセが唖然としている
『マルス師匠、畏まりました。礼儀作法から、剣術まで徹底的に叩き込みます』
カミラが嬉しそうに言う
『カミラさん、よろしくお願いしますね。毎日お菓子作りますね』
レセナが微笑みながら言う
『こっちは魔法使いだから、魔力制御からやらせて、魔力補充係かな?』
マルスがエリーセを見て言う
『あ!! 魔道具!! 嬉しいです!』
レセナが嬉しそうにしている
『魔力制御と格闘訓練を徹底的に叩き込みます』
カミラが微笑みながら言う
『カミラ、クエリス、頼んだよ』
マルスが笑顔で言うと、エリーセが唖然と見ている
『カミラさんが出掛けている時は、体力作りと躾はしますね』
クエリスが微笑みながら言う
『これで安心して、お菓子作りに来れます』
レセナが嬉しそうに言うと、厨房に歩いていく
カミラがウェンナーセとエリーセを連れて、鍛練場に連れていく
夕方になり、レセナと鍛練場を覗きに行く
『カミラ、どうかな?』
マルスがウェンナーセとエリーセの姿を探している
『2人なら、2階で寝ています』
カミラが微笑みながら言う
『どうなった?』
『全く体力がありません。半年は基礎訓練ですね』
カミラが微笑みながら、説明して2階にあがると、ウェンナーセとエリーセが床で寝ている
『大丈夫なのですか?』
レセナが心配そうに聞く
『体力回復中です。 そろそろ起こしましょう』
カミラが言うと、ウェンナーセとエリーセを起こす
『レセナ様、申し訳ありません』
ウェンナーセとエリーセが慌てて頭を下げている
『疲れたなら、甘いものを食べてくださいね』
レセナが焼き菓子を出して差し出している
『恐れ多いです』
ウェンナーセが戸惑いながら言う
『え! 何故? 美味しいですよ』
レセナが驚いている
『ウェンナーセ、受け取りなさい!! レセナ様が困ってます。 護衛役が受け取りたく無いのは解りますが、レセナ様の趣味を知るのも護衛役の役目です』
カミラが大声で言うと、ウェンナーセとエリーセが顔を見合せて、相談している
『レセナ様、恐れ多いですが、頂きます』
ウェンナーセが申し訳なさそうに言うと、焼き菓子を受け取り、食べ始める
『え! 美味し!!』
ウェンナーセが驚きながら言う
『こんなに美味しい焼き菓子なんて、食べた事無いです・・・』
エリーセが言うと、一生懸命食べている
『沢山運動して、沢山食べてくださいね』
レセナが嬉しそうに言う
『え! しかし、護衛役がそんな事をしたら・・・』
ウェンナーセが戸惑っている
『ウェンナーセさん堅くならないで、レセナ様と仲良くしてくださいね。レセナ様は一人でクライドルト王国に来て、国元から忘れられて、一人で寂しかったのですから・・・常に一緒に居て、何でも相談できる人が必要です』
マルスが笑顔で言う
『マルス様が色々気遣ってくれて、本当に感謝してます。お陰でクレシア様から料理を習えました。感謝してます』
レセナがマルスを見つめながら言う
『レセナ様、もしかして、マルス様の事を思ってましたか? あ!! 申し訳ありません』
エリーセが声をあげると、頭を下げる
『はい、マルス様は命の恩人です。 素晴らしい人ですが・・・競えないと解ってますので、諦めてます。 リベリアの英雄様は、私の心からの友達になりたいと思ってます』
レセナが嬉しそうに微笑みながら言う
『レセナの涙を見たくないから、キリシアが1国降伏させたからね』
マルスが笑顔で言うと、レセナが説明している。ウェンナーセとエリーセが青ざめている
(涙が見たくないから、1万の軍隊を捕らえた・・・もし怒らせたら・・・レセナ様は何が有っても守らないと・・・護衛が出来なかったら、国が滅ぶの?)




