エミールの杖と階層主
『2つのランプは何をしているの?』
リリシャがフローネとマルスに聞くと
『魔方陣を変えたから効果を確認しているところ!』
『え?魔方陣を改変?』
『マルスは、とうとう改変までしてしまいました』
フローネが言うとリリシャは
『か、改変って何年もかかる事ですよね?』
『充填型を充填貯蔵型にしただけだよ。構造強化には失敗したからまだまだだよ』
『マルスだからで済ましましょう』
フローネは苦笑いしながらリリシャに言う
『私も一度、書き込みの練習しても良いかな?』
『誰が出来るか知っておくのも良いですね』
リリシャは魔方陣を見せてもらって変わった所を理解するが、大分細かくなっていた
『大分細かく書かないといけないですね』
リリシャは中魔石を持って魔方陣を発動して魔石に魔方陣を書き込むが、何回か失敗し、やっと一個書き込み終わり、魔力を流して成功した
『やっと成功しました。結構難しいですね』
『リリシャも成功するなんて・・・』
フローネは驚きながら言う
『あなた達はもう凄いとしか言えないですね』
『私もランプにして、一緒に効果を確認をしますね』
リリシャはランプ用の準備が終わった魔石に魔方陣を書き込み、ランプに組み込んでランプを点灯させる
その後、フローネとエミールは魔石に魔方陣を書き込むが、失敗し続ける
『師匠2人は、凄い事をしたのですか?』
ミリアの問いにフローネは
『この魔方陣は2人しか成功しないと思いますよ。それにこの魔方陣は汎用性が高いので、改変がもう出来ないとされていましたので、発表したら魔法歴史に追加されます』
『え?えーーーー!!』
ミリアは驚き
『歴史的な改変!!』
『そういうことですが、書き込むのが大変難しいので付与魔法使いを育てないと無理ですね』
フローネの言葉に
『私、頑張ります』
エミールが言うとミリアとアニーも同意する
『魔力制御を徹底的にやってね』
マルスの言葉にエミールとミリアとアニーは頷く
フローネはエミールを魔法学院なんかに行かせるのが勿体無いと思い、溜め息を吐く
『エミールは、魔力増幅の魔方陣、もう書き込めるかな?』
『はい!師匠』
『ちょっとやってみて』
『解りました』
エミールは中魔石に魔方陣を書き込み、後ろでマルスは見ている
『もう少し細く書いてみようか?』
『細くですか?』
『小魔石で輝きの魔方陣を書いてみようか?魔力制御で細く書いていく感じだよ』
『解りました。やってみます』
エミールは少しずつ細く書いていく
『こんな感じで良いね。中魔石に魔力増幅書いてみようか?』
『はい!師匠』
中魔石に魔方陣を書き込み、2つの魔石を比べて見る
『ここがくっきりしたでしょ』
『はい!師匠、全体的にハッキリしました』
『じゃあこの杖に付与魔法してみようか?』
『え?杖にですか?』
エミールは驚き目を丸くしている
『失敗したらまた直ぐに作ってもらうしね。気を軽くしてやってみて』
『解りました』
エミールは深呼吸しても魔方陣を発動して、杖の魔石に魔方陣を書き込む
『終わりました、師匠』
杖の魔方陣を確認して
『先生、リリシャ、見てみる?』
『そうですね』
フローネとリリシャは魔方陣を見て嬉しそうに微笑む
『魔力を通して確認してみましょう』
フローネはそういって杖に魔力を通して発動してみる
『成功ですよね?』
『おめでとう、エミール』
『やりました。初めて杖に付与魔法が成功しました!』
『エミールの杖の完成だね』
『私の杖?』
『そうだよ。魔法学院行く前に完成してよかった』
『私の杖・・・・・』
エミールは涙を浮かべている
『明日は12層で杖の使い勝手を確かめてみようね』
『はい!師匠』
『エミールまで宮廷魔術師を越えさせるなんて・・・エミール、決して今の書き込み方を誰にも教えたらダメですよ』
『解りました、フローネ先生!』
翌日、アニーとミリアは留守番してもらい、迷宮に向かい12層に最短距離で向かう
『エミール、1部屋ずつ焼き尽くして行きますよ。エミールとルメイルは、焼き尽くしたら魔力と闘気の確認をしますからね』
リリシャはそう言う
『・・・・・ファイヤーストーム!』
炎は部屋全体を焼き尽くす
『威力がありすぎました』
『杖の性能だね。慣れるしかないよ』
『はい!師匠』
エミールは嬉しそうにマルスを見る
その後、エミールは魔力を制御して丁度良い威力を見つける
そうして大部屋まで行くと
『まさか、大きい繭!!』
キリシアが言うと繭から光が漏れて孵化し始める
『リリシャ、エミール全力で部屋を焼き尽くして!ルメイルは後ろから来るモンスターを警戒!!』
リリシャとエミールの魔法が放たれる
『・・・・・ファイヤーストーム!!!』
大部屋全体に炎は行き渡り焼き尽くしていくが、大きな繭があった場所だけは炎が吹き飛ばされる
『嘘・・・炎が』
エミールが呟くが、マルスはファイヤーボールを次々と放ち、残ったバタフライとキャタピーを倒す。キリシアは大きなバタフライに突撃して槍で突くが、かわされる。しかし、リリシャのフリーズアローが次々と放たれ、数発は命中する
『キィーーイーーー』
奇怪な音を上げる
『エミール、ルメイルは通路から来るバタフライとキャタピーを任せた』
マルスの声に2人は通路を警戒すると、キャタピーが大量に向かってくる。大きなバタフライは鱗粉を撒き散らすが、マルスはアクアストームですべて水で流す。キリシアは追い回しながら追い詰める。一瞬の隙にマルスがバタフライの羽を斬り裂き、動きが鈍った所でキリシアの槍の突きが次々と命中する。そして傷口から黒い煙をあげ、マルスの一撃で胴体を真っ二つに切り裂く。そして大きなバタフライは地面に落ちて黒い霧になり、結晶を残して消えていく
『倒したね』
『まだ余裕が有るから、結構強くなったよね』
キリシアの言葉にマルスが答えると
『前はギリギリだったからね』
キリシアは笑顔で言う
通路も、既にリリシャの魔法も加わり一掃していた
『エミール、ルメイルは大丈夫?』
『はい!マルス師匠!!』
エミールは元気に返事をしてルメイルは頷いている
『魔石と糸を拾い集めようか?』
魔石と糸を集めて、エミールとルメイルの魔力と闘気の確認をすると2人ともかなり乱れていた
『エミール、ルメイル、体重たいよね』
『はい、少し重たいです』
『自分も重たいです』
『すぐに帰りましょう』
キリシアはすぐに上を目指して、迷宮を出る。そしてギルドに向かう
『ヘザーネ』
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君、エミールさん、ルメイルさん、お帰りなさい』
『今日は少しだけ買い取りをね』
エミールとルメイルが魔石の袋をおいて、ヘザーネが確認を始める
『キャタピーですか?』
『そうだよ。材料とりに行った』
『え?これは・・・また階層主ですか?』
『大きなバタフライだよ』
『ギルドマスターに伝えてきます。今回は、エミールさんとルメイルさんも一緒に討伐ですよね』
『そうだよ!』
ヘザーネは奥に向かいバイルを連れてくる
『階層主討伐おめでとうございます。エミールさんとルメイルさんには階層主討伐の証を与えます。あと、キリシアさんとリリシャさんとマルス君にも証を加えるのと警備隊から称号を与えるとの事で、付け加えます』
『称号?』
『見たら笑います。私はこれで失礼します』
バイルはそう言って奥に戻っていく
『ギルドカードを預かりますね』
『わかった』
ギルドカードを受け取ったヘザーネは職員に渡して
『魔石ですが、124個ですので、金貨24枚と銀貨8枚です』
硬貨を受け取り
『ヘザーネ、またね』




