工房完成と新しいランプ
翌日、エミールとリリシャはフローネの家で勉強にして、迷宮にミリアとアニーを連れて向かい、9層に最短距離で向かう
『ミリアとアニーは遠くに見えたら、魔法を使う様にしてね』
『はい!師匠』
クリケトを見つけ次第、ルメイルは確実に一匹ずつ仕留めていく為、なかなかミリアとアニーは魔法を使えないが、複数と遭遇した時は、2人の魔法で一匹倒すこともある。9層を回りながら、時々、魔力視で魔力制御を確認している
『ここが最後の大部屋だね』
『2人の魔力もまだ大丈夫そうだから、魔法で一気に殲滅する?』
『マルスに任せるよ』
マルスは全魔力を片手に集めて
『ファイヤーストーム!』
部屋全体を一気に焼き尽くし、殲滅を確認する
『師匠!凄すぎます』
『今日は1回目の魔法だから、本気で撃っただけ』
黒い霧が晴れてから魔石を拾い集めて、2人の魔力制御を確認すると、アニーの魔力制御が少し乱れている
『まだ大丈夫そうだけど、無理せず帰ろうか?』
『そうだね、9層はこれで終わりだから』
キリシアは上に向かう階段の方に向かう、そして迷宮を出た後
『ギルドに向かう?』
『ランプの材料と練習台にしよ』
マルスの言葉に、キリシアは微笑みながら家に向かい、歩きだす
家の前でリリシャ達が帰ってくるのが見えたので、待っていると
『リリシャ、エミール、お帰りなさい』
『キリシア、マルス、ミリア、アニー、お帰りなさい』
一緒に門に入ると
『お帰りなさい』
ラーザが出迎える
『問題は無かったかな?』
『何も問題は無いです』
イリアがこっちに来る
『イリア、ただいま』
『お帰りなさいませ』
イリアは袋を持っていた
『買い物?』
『すいません、食材が足りなそうで、少し買い出しに行った方が良さそうなので・・・』
『1人じゃ危ないので私も一緒に行きますね』
アニーが言うと
『イリア、袋を後2つ持ってきてくれる?自分も一緒に行くから』
『あ!はい!マルス様』
家に入りイリアは袋を持ってきて一緒に買い物に行く
『行ってきます!』
市場で野菜と芋等と肉を買い
『イリアは何か食べたいものは無いのかな?』
『いつも美味しい物を食べさせて頂いているので大丈夫です』
イリアはニッコリ笑いながら言う
市場の中で喧嘩する声が聞こえる
『喧嘩ですね』
『そうだね。イリア離れないようにしてね』
『はい!』
『アニー、近付かない方が良さそうだから、もう買うもの無いかな?』
『大丈夫です』
『イリア、アニーの手を離さない様にして帰るよ』
『はい!』
家に着いて
『ありがとうございます。アニーさんの手を握っていたら、全然怖くなかったです』
アニーは微笑んで
『町の雰囲気が何だか悪くなっているように思いますね』
『そうだね。いつも迷宮に潜っていたから、あまり気づかなかったけど確かにそうだね』
『しばらくは1人で出歩くのは危険ですね』
『そうだね。誰かが護衛した方が良いかもね』
『マルス、明日工房の内装が終わるって言っていたよ』
『本当に?明日は家にいた方が良いのかな?』
『たまには家でいろいろやった方が良いね』
翌日、作業中の工房を見て回りながら状態を確認する
『リリシャ、3階は倉庫かな?』
『魔道具の保管に良いね』
『2階に付与魔法の魔方陣作ると、1階はポーションかな?』
『そうなるよね』
『いろいろ研究しないとね』
マルスの言葉にリリシャは微笑み
『ここが私達の工房・・・・私なんかが工房持てるなんて夢のようです』
『努力したからだよ』
『もっともっと努力して色んな魔道具を作ります』
『負けないで自分も作るね』
マルスとリリシャは笑いあう
フローネが来て
『リリシャ、マルス、早速魔方陣を作りますよ』
『はい!先生』
フローネの指示の下、魔方陣を作成していく
『これで完成ですね。最後に魔方陣を発動してみてください』
『はい!先生』
リリシャは魔方陣を発動して確認する
『大丈夫かな?』
『リリシャ、これで試してみよ』
ランプ用の魔石を渡し、リリシャは魔方陣を発動して魔石に魔方陣を書き込む
『書けたよ。完成』
リリシャは魔方陣を停止して魔石に魔力を流し、点灯するのを確認する
『先生、出来ました』
『リリシャ、マルス、おめでとう。あなた達の新しい工房です』
フローネは笑顔で言う
『ありがとうございます』
『早速、アニーの剣とミリアの杖を作ろうかな?』
『マルス、2人のはまだ国宝級は禁止です』
『ミリアの杖は魔力増幅と構造強化にしたらダメかな?』
『そのぐらいは良いと思う』
リリシャは言ってフローネを見る
『長く使う為ですね。良いと思いますよ』
フローネの許しも出たので、早速杖に魔力増幅と硬化構造強化を付与魔法で魔方陣を書き込み、アニーの剣には中級構造強化を書き込む。そして魔力を流して確認する
『2個とも成功だね』
『マルスはこのぐらいでは失敗しないですね』
フローネは微笑みながら言うと
『マルスだから!』
リリシャが笑いながら言う
『2人に渡そうか?』
『そうだね』
外に出るとみんな待っていた
『待っていた?』
『どうだった?』
『付与魔法も問題ないよ』
『アニー、ミリア、これを使ってね』
『ありがとうございます』
『これにはどんな付加があるのですか?』
アニーが聞いてくる
『細身の剣は構造強化だけだよ』
『ありがとうございます』
『ミリアの杖は魔力増幅と構造強化だよ』
『え?2つですか!こんな凄い杖、使って良いのですか?』
ミリアは驚きながら言うと
『マルス、自重したんだ』
キリシアが言う
『3つはダメって言われたから』
マルスが言うとみんな笑いだす
『言われなかったら5個付与するつもりだったでしょ?』
『そうだよ!』
マルスの言葉にフローネは苦笑いをして
『あまりとんでもない魔道具は作らないでくださいね』
フローネの言葉にリリシャとキリシアが笑う
『馬具、見せてなかったね』
キリシアが言うと
『アーメルドで作った馬具ですか?』
フローネは嫌な予感がする。ルメイルが馬具をとりに行き持ってくる
『これです。凄い馬具です』
『え?・・・・はぁ』
『先生どうしました?』
『リーベルはこれを見て何て言ってました?』『フローネ師匠の気持ちが解ると言ってました。これは誰にも言えないとかも』
リリシャが言うと
『リーベルの自信を砕いたのですね・・・・こんなとんでもない魔道具を平気で試作するなんて・・・効果はありましたか?』
『朝から夜まで馬は疲れないで走ってくれました』
『そうですか・・・しかし考えようによっては凄い事です。マルスは付与魔法を失敗しないので、馬具を売りに出したら数百注文が来るでしょう』
『え?そんなに』
『1つの馬具に1つの付加にすれば売り物になります』
『ラーケン、仕事沢山出来るね』
キリシアが笑いだす
『ラーケン?革細工職人の?』
『ブーツを作ろうとカセティに紹介して貰った』
『ラーケンまで巻き込みましたか』
『今度ギレリムと来るから作ってもらう様に頼みましょう』
リリシャも微笑みながら言う
『馬具の効果は、警備隊で試してもらえば良いよね。上手くいったら、警備隊にランプ同様貸し出せば色々な所に宣伝してくれるしね』
マルスが言うと
『マルスは・・・商人より怖いですね。商会の規模が大きくなりますね・・・・』
フローネは苦笑いしている
『時間あるからランプを作らない?』
『そうだね。材料あるからね』
『ミリア、アニー、エミールも手伝ってね』
『解りました、師匠』
ミリアは糸を束ねて、エミールとキリシアとアニーは魔石に穴を空けて糸で繋ぐ作業を始める。終わったものをリリシャが魔力制御で確認をする
『フローネ先生、魔方陣ですけど、魔力制御充填型を改変しても良いですか?』
『どのようにするのですか?』
『ここを充填貯蔵にして、外に構造強化を付け足したらどうなりますか?』
『理論は出来ています。魔力制御充填貯蔵構造強化型?書き込めるかですね』
フローネは考えながら、マルスならやりそうと思う
『一度やってみますね』
『出来るか確認は必要ですね』
マルスは中魔石を持って、魔方陣を起動して付与魔法を書き込み始めるが失敗する
『もう少し、バランスを考えてやらないとダメかな?』
『そこが一番難しいです!多重魔方陣はこれだから出来ないとされています』
フローネは説明する。マルスはバランスを変えて何回か書き込むが失敗する。魔力を流す前に魔力視で魔方陣を見ていると、外側の魔方陣が壊れて、そこから全体的に壊れるのが見える
『構造強化の付け足しがダメなんだね』
マルスの呟きにフローネは微笑んでいる
マルスはもう一度魔方陣を書き込み、魔力を流して確認する
『これなら成功できるか・・・』
『魔力制御充填貯蔵型ですか?』
『そうです・・・構造強化が上手くいかないだけだから・・・』
『これでもとんでもない事になりますよ』
フローネは溜め息を吐き
『私の師匠や多くの研究者が作って完成した魔方陣を改変してしまうのだから・・・数十年ぶりの進化です』
『どのぐらい効果が有るか調べないと・・・』
『1つ作って比べるのが良いでしょう。どのぐらい光り続けられるか』
『作ってみます』
マルスは早速準備出来た魔石に魔方陣を書き込み、魔力を流して確認後、ランプに組み込む
『出来ました』
『2つのランプに魔力を充填し終わったら、点灯して比べましょう』
『はい!先生』
マルスは点灯させて置いておく事にする