閑話 テシウス君
テシウスが試験を受けに向かい、午前中の筆記試験を終わらせる
『ヘルト、騎士団長は?』
マルスが笑みを浮かべて聞く
『もう少しで来るが・・・全員で見に来るのか?』
ヘルトがマルス達を見て苦笑いしている
『警備隊隊長の息子だからね!』
マルスが笑顔で言う
『ラーザの教え子だから、最後まで見るよ』
キリシアが笑顔で言う
『完全に遊びか・・・騎士団長負けられないのに』
ヘルトが笑みを浮かべている
『ヘルト御兄様も楽しそうですよ』
メトリシアが笑顔で言う
『騎士団長、鍛練を怠っているからな』
ヘルトが笑みを浮かべて言う
『逃げそうだけど』
マルスが笑顔で言う
『逃がさない!! 騎士学院の試験で騎士団長が逃げたら、終わりだ!!』
ヘルトが笑顔で言う
『やっぱり楽しんでいますね』
メトリシア言うと、みんな笑い出す
『これから実技試験を行う!! 負けても良い戦いをするように』
試験官が言うと、テシウス達が移動して、修練場に向かい、1人ずつ試験官と一騎討ちしている
『良い試験だな』
騎士団長が満足そうに見ている
『最後は、テシウス前に』
試験官が言うと、テシウスが緊張しながら訓練用の剣を持って出ていく
『開・・・え? 試験官交代? 騎士団長?』
試験官が苦笑いして言うと、騎士団長が苦笑いする。受験生達は驚いてザワザワしている
『何故だ? 聞いてないぞ』
騎士団長が苦笑いしながら言う
『これを』
試験官が手紙を差し出すと、騎士団長が読み始める
『は? 実力者だから、直に実力を確認するように? ・・・国王陛下から?』
騎士団長が苦笑いして、テシウスを見ている
『テシウス、師匠はいるのか?』
騎士団長が警戒しながら聞く
『ラーザお兄さんとライオスお兄さんに習ってます』
『ラーザ? ライオス? 聞いたことが有るような・・・かかってこい!! 手加減は抜きだ!!』
騎士団長が剣を構えると、テシウスが闘気をまとう
『ちょっと待て!! 闘気をまとえるのか!!』
『はい! ラーザお兄さんに習いました』
テシウスが笑顔で言うと、騎士団長が慌てて闘気をまとい、テシウスの打ち込みを全て弾いている
(速い!! それも一撃が重い!! 隙が無い・・・既に達人のレベルだぞ!!)
テシウスが次々と剣を振り、騎士団長はかわしながら剣で牽制をする
『速い!! 手加減抜きだ!! 覚悟しろ!!』
騎士団長が大声をあげる
『よろしくお願いします』
テシウスが笑顔で言うと、闘気を完全にまといながら、騎士団長の剣を見切って、かわしている
(当たらない!! これ程の実力者が・・・嵌められた!!)
騎士団長の剣をかわし続けたテシウスが笑みを浮かべている
『そろそろ本気で反撃します』
テシウスが笑顔で言うと、騎士団長の一撃をかわしながら、一気に踏み込み剣を振り抜くと、騎士団長の鎧に当たり、そのまま弾き飛ばし、騎士団長が壁に当たり壁にクモの巣状のヒビが入り、騎士団長の鎧が砕けている
試験官が唖然と口を空けている
『大丈夫ですか? 威力が強すぎました!! 申し訳ありません』
テシウスが慌てて頭を下げている
『・・・』
騎士団長が気絶している。テシウスはどうしたら良いか解らず、キョロキョロしている
『騎士団長・・・テシウス君は本当にキリシア殿の弟子でないのか?』
ヘルトが苦笑いしている
『ラーザの生徒!! 警備隊隊員全員の生徒かな?』
キリシアが笑みを浮かべている
『騎士団長が弱いより・・・テシウスが強いな・・・油断しすぎだな』
ヘルトが騎士団長を見て言う
『闘気をまとったから、油断してないね・・・回復魔法使える人は?』
マルスが倒れている、騎士団長を見ている
『は? えーと、居ないのか?』
試験官達が慌てて右往左往しているのをヘルトが見ている
『油断しているね・・・ハルドとアーセルに任せるかな?』
マルスが考えながら反対側にいる、ハルドとアーセルを見ている
『仕方無いな・・・』
ヘルトが手を振って合図をすると、ハルドとアーセルが近付き、回復魔法を使っている
騎士団長が目を覚ますと、ハルドとアーセルを見て呆然としている
『試験官が怪我するなら解りますが・・・騎士団長が完全に負けてしまうなんて・・・』
アーセルが呟く
『あの生徒は何者だ!! あり得ないだろ!! あの年で闘気をまとうなんて!!』
騎士団長が慌てて叫ぶ
『試験中ですよ』
ハルドが苦笑いしている。騎士団長が周囲を見て苦笑いする
『向こうに行きましょう』
ハルドが言うと、ヘルト達がいるのを見て苦笑いする
『ヘルト殿下・・・何故ここに』
騎士団長が苦笑いしている
『騎士団長が負ける所を見に来た』
ヘルトが笑顔で言う
『は? まさか!! キリシア殿が鍛えたのか!!』
騎士団長が叫ぶ
『ん? 鍛えてないよ!! ラーザの生徒だよ』
キリシアが笑顔で言う
『は? じゃあ何故あの強さ!! あり得ない!!』
騎士団長が大声で言う
『テシウスは、前警備隊隊長の息子だよ! リベリア警備隊隊員の鍛練に参加しているから、当たり前!』
キリシアが笑顔で言う
『リベリア警備隊隊長の息子・・・』
騎士団長が呟き、考え込んでいる
『親子に負けた騎士団長は弱いと解った?』
キリシアが笑顔で言う
『テシウス強いな・・・』
ヘルトが呟き、考え込んでいる
『ラーザは何者だ!』
『2番弟子!! 前に負けたでしょ』
キリシアが笑顔で言う
『・・・あ!! あの剣士か・・・戦い方も似ているな・・・鍛えすぎだ!!』
騎士団長が思い出して呟く
『情けない・・・お父様がそんな言い方をするなんて・・・』
ヒストリアが騎士団長を悲しそうに見て言う
『ヒヒヒヒヒっヒストリア!! これはその・・・』
騎士団長が慌てていると、みんな笑い出す
『お父様が負けないように、鍛練に付き合いますね』
ヒストリアが嬉しそうにいうと、騎士団長が慌ててヒストリアと話し合っている
(まさかヒストリア、鍛えるなんて言わないでくれ!! もうキリシア殿達の鍛えた人に、挑まれるのは勘弁して欲しい!!!)




