公爵領
2日間、町中の散策や美味しい料理を食べながら過ごし、シルフィード号に乗って出発の準備をする
『英雄殿、本当に乗せてもらって良いのか?』
セレスバインがシルフィード号の前に来て聞く
『帰りは、交易船団に乗せてもらってくださいね』
マルスが笑顔で言う
『交易船団か・・・噂の魔導船団か?』
セレスバインが少し嬉しそうに言う
『カーレスト諸島も確認できて良いですわ』
王妃が笑顔で言うと、シルフィード号に乗り込み、シルフィード号が上昇をして、セレスバインが食堂に入る
『は!!・・・・』
セレスバインが天井を見て固まっている
『セレスバイン様、どうかしましたか?』
王妃が微笑みながら聞く
『魔法のランプ・・・こんなに』
セレスバインが驚きながら見上げている
『マルス殿の力作の飛空艇ですから、何気に多くの王族が乗ってますね』
王妃が微笑みながら言うと、セレスバインも椅子に座り、外を見ている
翌朝、公爵領が見えてくると、シルフィード号は降下して領主の館に近付き、騎士の指示で着陸する
『リベリアの英雄様、何か御用ですか?』
外交担当が慌てて出迎えてくれる
『領地の視察ですわ』
王妃が笑顔でシルフィード号を降りて言う
『おおおおおおお王妃様!!』
外交担当が慌てて片膝をつき、頭を下げて大声で言うと、兵士達も慌てている
『案内してください』
王妃が笑顔で言うと、部屋に案内してくれる。王妃は、メリアとエリスナと共に報告を受けている
キリシア達は、町中に向かい、港まで来る
『女神ヴァルキリー様!!!!』
海兵達がキリシアを見て叫び、頭を地面に付けると、セレスバインが驚いている
(女神ヴァルキリー様? 噂の海戦の女神様か? やっぱり英雄殿達か? 王妃様が港を覗けば、この領地の領主が居なくても、反乱の可能性が無いと言うのは・・・)
『もう恥ずかしい』
キリシアが耳を真っ赤にして、黙り込むと、次々と海兵や船乗りや商人達が集まり、頭を下げている
『キリシア、一言言ってね』
マルスが耳打ちする
『町の平和を守りなさい!! 人を不幸にしたら、天罰を与えます!』
キリシアが大声で言う
『女神ヴァルキリー様!!!! 町の平和は必ず守ります!!』
海兵達が大声で叫び、キリシア達が町中に戻っていく
『もう恥ずかしい!! マルス、何とかしてよ!!』
キリシアが大声でマルスに言うと、みんな微笑んでいる
『この町に来なければ、大丈夫』
マルスが笑顔で言う
『2度と来ないよ!!』
キリシアが大声で言うと、セレスバインが苦笑いしている
(キリシア殿が、女神ヴァルキリー様なのか? もしキリシア殿が一言命令をしたら、あの海兵達は、必死に戦うのか? リベリアの英雄殿に喧嘩売る馬鹿は、もう居ないだろうが・・・・)
町中を歩きながら、色々見て、領主の館に戻り、部屋に入る
『帰ってきましたね。マルス殿』
王妃が笑顔で言うと、メリアが睨んでいる
『どうかしましたか? 御母様』
メトリシアが視線に驚きながら聞く
『問題があります。 公爵や一族は処分されていますが・・・孫娘2人が公爵が降伏する際、降伏条件に入れられていて、処分未定になっています』
王妃が言うと、メリアが説明している。セレスバインが苦笑いしている
『解放で良いですよね?』
マルスが慌てて言う
『解放も生きていけないですね・・・この町で恨みの的になりますね』
『それなら・・・王妃様にあげます』
マルスが考えてから言う
『マルス殿、王家が養うと、この地の領主となりますが、恨みの象徴ですから、不可能です』
王妃が考えながら言う
『あ!! セレスバインさんにあげます』
マルスが笑顔で言うと、みんなセレスバインを見る
『は? ・・・何を言われるのですか? クライドルト王国の問題ですが・・・』
セレスバインが慌てて言う
『消去法でマルス殿が貰うのが1番ですね』
王妃が笑顔で言うと、みんな王妃を睨んでいる
『あ!! メリアにあげます』
マルスが思い付いたように言う
『え! マルス様に養って貰っている状態です!! 無理です』
メリアが慌てて言う
『その手が・・・メリアがマルス殿の子を産めば、この地の国王に出来ますね・・・公爵令嬢等、召し使いに出来ますね』
王妃が呟く
『え! 今なんて!! マルス様の子を!!』
メリアが真っ赤になって叫ぶ
『御母様!! なんて事を!!』
メトリシアが大声で叫び、全員が殺気の籠った目で見ている
『メリアは、マルス殿の正妻が良いのですか? 側室や妾で良いのですか?』
王妃が微笑みながら聞く
『マルス様の役にたてるなら・・・妾でも構いません!! あ!! あぁぁぁぁぁーーーーー!!』
メリアが声をあげると、悲鳴をあげて真っ赤になっている
『大胆ですね、マルス殿の1番の妾ですね、公爵令嬢を手足のように使いなさいね』
王妃が笑顔で言う
『え! えーと・・・良いのですか?』
メリアが真っ赤になって呟き、マルスを見ている
『決定ですね』
王妃が笑顔で言う
『自分に拒否権は無いのですか?』
マルスが苦笑いして言う
『メトリシア、一人ライバルが減って良かったですね』
王妃が無視して、メトリシアに言う
『え? 正妻のライバル・・・はい!』
メトリシアが笑顔で言うと、みんなメトリシアを見ている
『メトリシアも早く側室で良いと言いなさいね』
王妃が笑顔で言う
『御母様!! 何を言うのですか!!』
メトリシアが真っ赤になって言う
『拒否権は、無いの?』
マルスが苦笑いして言う
『決定したの? メリアは妹だね!!』
キリシアが笑いながら言う
『キリシア殿は、マルス殿の正妻になるのですか?』
王妃が笑顔で聞く
『ん? マルスは弟だよ!』
キリシアが笑顔で言う
『弟ですか・・・メリア、キリシア殿に認めて貰いなさいね』
王妃が笑顔で言う
『はい、キリシア御姉様、よろしくお願いします』
メリアが頭を下げると、セレスバインが苦笑いしている
(これはマルス殿でも拒否権は無いのか? あの殺気をかわすとは、クライドルト王国の王妃だな・・・真似は出来ない)
2人の侍女服を着た公爵令嬢が入ってくる
『一生、英雄様の為に仕えます。 どうか御慈悲頂けますようお願い申し上げます』
2人が震える手で言う
『レセリオーナ、セリカ、裏切ったら、全員からお仕置きです。良いですね』
メリアが微笑みながら言う
『お仕置き・・・』
レセリオーナとセリカが、青ざめて震え涙を流し始める
『裏切らないと約束できますか?』
『どうか!! お仕置きだけは、御勘弁ください!! どんな事でもしますので!! お願いします!!』
レセリオーナが泣きながら頭を下げる
『レセリオーナ、セリカは、メリア預かりの奴隷です。しっかり働きなさい』
王妃が笑顔で言う
(お仕置きの怖さ、知っているのですね・・・従順な召し使いの完成かしら)




