リーベルとリーネ
魔法練習場に戻り、リーネが魔法の試し撃ちを始めると、生徒達がリーネの魔法を見て驚いている
『完全に制御できてますね』
クレスタが嬉しそうに言う
『追い抜かれそう』
ルキアが少し嬉しそうに言う
『ルキア、嬉しそうですよ』
メトリシアが微笑みながら言う
『え? 嬉しそう? 少し嬉しいですけど・・・ミリアも嬉しそうに見えます』
ルキアがミリアを見て言う
『はい! 嬉しいです!! 私も頑張って1人前になります』
ミリアが笑顔で言うと、ルキアが少し呆れている
(突っ込んだら、泣きそう)
『マルス、何故? リーネの魔法の威力が』
リーベルがやってきて呟く
『あ!! リーネ、リーベル様が来たから、見せてあげて』
マルスがリーネを呼ぶと、リーネがやってくる
『リーベル様、リーネの卒業研究の杖です』
マルスが笑顔で言うと、リーネが杖を見せると、リーベルが恐る恐る鑑定を始める
『は? 何故? 3つなんて・・・マルス、手加減しましたか?』
リーベルが苦笑いして言う
『リーネが初めて自分で作った杖です』
マルスが笑顔で言う
『良かった・・・3つぐらいに手加減してくれて・・・マルスなら5つを教えそうで怖かったですが・・・リーネ、頑張りましたね! 良い杖です』
リーベルが笑顔で言う
『あれ? リーベル様が驚かない? 何故?』
メトリシアが呟く
『当たり前です!! ミリアのローブに比べたら、もう驚くことなんて無いです!!』
リーベルが笑顔で言う
『リーベル様、国宝級の杖ですけど』
『伝説級をポンポン作っている人が目の前に居ますから、このぐらい当たり前です』
『リーベル様が常識を無くした』
マルスが呟くと、みんなリーベルを見ている
『は? 常識は有ります。驚かなかったぐらいで常識外なんて言いませんよ』
リーベルが微笑みながら言うと、レズオスがやってくる
『レズオス、リーネの卒業研究の杖完成したよ』
マルスが笑顔で言うと、リーネが杖を見せる
『良い杖だな! 魔力制御と魔力増幅と構造強化だな・・・デキも良いな! リーネ、良く頑張ったぞ』
レズオスが笑顔で褒めている
『ありがとうございます』
リーネが嬉しそうに言う
『リーベル、この杖は、発表出来ないが、どうするつもりだ?』
レズオスがリーベルを見ている
『え? そうでしたか・・・あ!! マルス達の所為で、忘れてましたが・・・発表は出来ません・・・3つぐらいではもう驚きませんけど』
『リーベル、もしかして、マルスの所為で基準が狂ったか?』
レズオスが少し心配そうに言う
『え! ・・・あ!! レズオス兄さんどうしましょう・・・このローブの所為で、魔道具の価値が狂ってます・・・』
リーベルが泣きそうになっている
『お母様も完全に狂ったが、リーベルも気を付けよう・・・』
レズオスがため息をしている
『あの・・・そのローブは、凄い魔力が感じられますが』
ルキアがリーベルを見ながら聞く
『卒業研究のローブです!! リーベル様にプレゼントしました』
ミリアが嬉しそうに言う
『え!ミリアの卒業研究!! 鑑定して良いですか?』
ルキアが真剣にローブを見ていると、青ざめている
『うそ・・・本当にミリアが作ったの?』
ルキアがぎこちなくミリアを見る
『沢山努力しました!! 何回も失敗してやっと完成しました』
ミリアが笑顔で言う
『確かにローブと比べたら・・・』
ルキアが呟くと、リーネが鑑定している
『えーーーーーーー!! 何この付与魔法・・・12個何て有るのですか!!』
リーネが大声で言う
『マルス師匠の普通です!!』
ミリアが笑顔で言う
『このローブを毎日使っていたら、リーネの杖が普通の杖に見えた理由が・・・』
リーベルが苦笑いする
『半人前の私が出来たのですから、誰でも出来ます』
リーネが笑顔で言うと、クレスタが笑っている
『リーネ、半人前では無いですね・・・フローネ師に並ぶ付与魔法使いです。 この王国で3つの付与魔法を成功させたのは、マルス達以外にいません』
リーベルがリーネを見詰めながら言う
『え? クレスタ御姉様も・・・』
『クレスタは、王国名誉賢者の1人で有り、リリシャの弟子です。 直々に教えて貰えるのは、大変名誉な事ですよ』
リーベルが笑顔で言う
『そんなに持ち上げても、私は半人前ですから!!』
クレスタが笑顔で言うと、リーベルが苦笑いする
『師匠、もう誰でも良いですから!! 1人前って宣言してください!!』
リーベルが大声で言うと、みんな笑っている
屋敷に帰ると、ケーレスとレーゼンが出迎えてくれる
『マルス様、キルエス様が木材を持ってきてくれました』
『ドワーフ達が、納屋で木材の加工をしてます』
ケーレスとレーゼンが言う
『どうやって作っているか、見せて貰おうか?』
マルスがクレスタに聞く
『はい! 一流の職人の作業を見たいです』
クレスタが笑顔で言うと、納屋を覗き込み、ドワーフ達が一生懸命、木の皮を剥いている
『英雄殿帰ったか? 良い木材だぞ!!』
ドワーフが嬉しそうに言う
『少し見学させてくださいね、皮を剥いたらどうするの?』
『板を作るかそのまま彫刻するぞ』
ドワーフが笑顔で言う
『板か・・・挑戦してみようかな?』
マルスが笑みを浮かべると、剣を取りに向かう
マルスが剣を持ってくると、剣で皮を斬っていく
『凄い技だ!!』
ドワーフが興奮していると、マルスは木材を立てて闘気をまとい縦に斬り始める
板になった木材が床に倒れていく
『こんな感じで良いかな?』
『は!! 凄い・・・これだけの木材をあっさり板に変えるとは・・・剣の切れ味ではなく、剣技か・・・流石英雄様!!』
ドワーフが板を見ながら言うと、マルスは次の木材を板に変えていく
『マルス師匠、何をしているのですか?』
ヒストリアが帰ってくると、マルスの姿を見て聞く
『ちょっと手伝い』
マルスが笑顔で言う
『手伝いですか? マルス師匠の遊びです』
メトリシアが笑顔で言うと、マルスが板を作り始め、ヒストリアがやりたそうに見ている
『あの・・・やりたいです』
ヒストリアが意を決して言う
『剣を持ってきて、準備をしてね』
マルスが笑顔で言うと、ヒストリアが走っていく
『闘気を鋭くまとってね』
マルスが笑顔で言うと、ヒストリアが闘気をまとい、木材を両断すると、次々と板に変えていく
『板はこれで終わりかな?』
マルスがドワーフを見て聞く
『これなら早く作れるぞ』
ドワーフが笑顔で言うと、板に切れ込みを入れて彫刻刀で削り始めている
『マルス師匠、余り驚かなくてつまらなかったです』
ミリアが残念そうに言う
『英雄殿のやることは、何でも有りと考え直した!! そう簡単に驚かないぞ!!』
ドワーフが笑顔で言う
『残念・・・何か驚かす物を・・・あ!! 馬車作ってなかった!! リリシャと相談してすぐに作ろう』
マルスが笑顔で言うと、納屋を出ていく
『あ!! マルス師匠がやる気を出しました!!』
メトリシアが嬉しそうに言うと、マルスを追いかけていく




