帰宅とドワーフ達
屋敷の前まで来る
『マルス様、お帰りなさい』
ケーレスとレーゼンが笑顔で出迎えてくれると、後ろにレーリスが微笑んでいる
『何か有ったかな?』
『レセナ様が、厨房を占領中です。 焼き菓子の差し入れを持ってきました』
レーリスが袋を見せ、袋には焼き菓子が沢山詰まっている
『いつも通り、楽しんでいるんだね』
マルスが笑顔で言う
『レセナ様もクレシアみたいになりそうだな・・・』
ヘルトが呟く
『クレシア様の弟子ですから』
マルスが笑顔で言うと、みんな微笑んでいる
『全部クレシアの所為か・・・』
ヘルトが溜め息をする
『ケーレス、レーゼン、剣を作るから、後で剣の長さや形を教えてね』
マルスが言う
『え? 剣を? えーと、マルス様の剣は凄すぎるので・・・』
ケーレスが青ざめて答える
『魔剣ですよね?』
レーゼンが青ざめながら聞く
『剣が折れたら大変だから、持つように!!』
マルスが笑顔で言う
『はい、マルス様』
ケーレスとレーゼンが震えながら言うと、みんな微笑みながら見ている
(いらないと言えない!! マルス様が付与魔法使うのだけは、やめて欲しい!!)
納屋の前に来ると、ドワーフ達がキョロキョロしている
『これが納屋だけど、ここで大丈夫かな?』
マルスが納屋の扉を開けて、中を見せる
『え!! これが納屋!! 家の間違いじゃないのか?』
ドワーフが大声をあげる
『納屋です! 2階は部屋にしてますけど、馬車を出せば、結構な広さも有りますよね?』
マルスが笑顔で言うと、中に入り、ランプをつける
『はぁーーーーーーーーーーー!!』
ドワーフが驚きの余り大声をあげて、立ち尽くしている
『マルス殿の恐ろしさ、解ったか?』
ヘルトが苦笑いしながら、ドワーフの肩に手を置く
『は? これが納屋なのか? どう見ても凄い豪邸に見える・・・魔法のランプ付きなんて・・・』
ドワーフが青ざめながら言う
『無駄だ!! これが英雄殿の普通だ!! 英雄殿に仕えるなら、これになれることだ!!』
ヘルトが言うと、ドワーフ達がマルスを見ている
(飛空艇も凄かったが・・・どれだけ凄いか解らん)
『部屋空いていたかな?』
マルスが呟く
『クエリスさんに聞いた方が良いですけど、数部屋空いていたような』
エミールが考えながら言う
『クエリスさんに聞きに行くか』
マルスが呟く
『宿屋から、通わせて欲しい!! こんな豪邸落ち着かない!!』
ドワーフが大声で言う
『この納屋でも、故郷にいる人を考えると・・・凄い豪華です!! 部屋なんて無理です!!』
女性のドワーフが慌てて言う
『え? どうしよう?』
マルスがエミールを見る
『宿屋から通って貰いましょう、送り迎えすれば良いです』
エミールが微笑みながら言う
『送り迎えは・・・英雄騎士隊に任せるか』
マルスが考えながら呟き、ヘルトを見ている
『それで良いな・・・襲われたら大変な事になるから、デストラ隊に宿屋の護衛もさせる』
ヘルトが苦笑いしながら言う
『あ! ヘルト御兄様、騎士団の精鋭を雑用なんて』
メトリシアが笑顔で言うと、ドワーフ達が驚いている
『来年、入れ替えになる・・・今年の騎士のレベルが高い! 誰かの影響で傲りが無く、ひたすら鍛練をしている!! これならリベリア警備隊に並ぶぞ!』
ヘルトが嬉しそうに言う
『キリシアに伝えておくね』
マルスが笑顔で言うと、みんな笑い出す
『ケーレスとレーゼンに勝ってからにしてくれ! キリシア殿の実力を見たら、立ち直れない』
ヘルトが慌てて言う
『え? 鍛えないとね!! 卒業前に、ヒストリア対全員の訓練を始めようかな?』
マルスが笑顔で言う
『はい!! 任せてください!! 全力で訓練します』
ヒストリアが嬉しそうに言う
『ほどほどに・・・その前に騎士団長と訓練してくれ』
ヘルトが笑いながら言う
『え! 御父様は、この頃会ってません・・・訓練に付き合って欲しくても、1人前だからと言って、してくれません』
ヒストリアが残念そうに言う
『騎士団長も大変だな・・・デストラでも相手して貰うか?』
『デストラさんも訓練に誘っても、すぐに用が有ると、帰ってしまいます・・・嫌われているのですか?』
『デストラもか・・・英雄騎士隊で我慢してくれ』
ヘルトが諦めて言う
『はい! 毎日訓練してます。 5人相手でやっとなので、いつか30人相手でも勝てるように頑張ります』
ヒストリアが笑顔で言う
『キリシア殿の真似か・・・目標が高過ぎる・・・』
ヘルトが苦笑いすると、みんな笑っている
(ちょっと待て!! 今5人相手でやっと? 5人相手で勝つのか? ヒストリア、どこまで強くなっている!!)
マルスは、素材庫に向かい、アースタートルの鉱石をモデリングで剣の形にしていき、ケーレスとレーゼンを呼び出す
『ケーレス、剣の柄はこのぐらいの太さ?』
マルスがケーレスに剣を渡すと、ケーレスが剣を振って、柄の太さを調節していき
『レーゼンもこのぐらいかな?』
マルスがレーゼンに剣を渡すと、レーゼンも剣を振って、柄の太さを調節していく
『次は、長さは、どうかな?』
マルスがケーレスとレーゼンに聞くと、鞘から抜く動作をしている
『長さも大丈夫です』
ケーレスとレーゼンが笑顔で言う
『ランドレールに渡して、仕上げて貰うね』
マルスが笑顔で言う
『マルス師匠、誰に付与魔法して貰いますか?』
エミールが聞くと、ケーレスとレーゼンが顔を見合わせてから、マルスを見ている
『初めての剣だから・・・エレーヌやってみる?』
マルスがエレーヌを見て聞く
『はい!! 任せてください!!』
エレーヌが嬉しそうに言う
『マルス師匠・・・エレーヌを指名するなんて・・・文句が言えない・・・作りたかったな』
エミールが呟き、エレーヌを見ている。ケーレスとレーゼンは、安心したような顔をしている
『エミール、エレーヌの付与魔法の練習を手伝ってあげてね』
『はい! マルス師匠、徹底的に教え込みます! 付加内容は・・・ふふふ』
エミールが不適に微笑んでいると、ケーレスとレーゼンが不安そうにしている
(え? これって、凄い物を作ろうと・・・どうしたら良いの??)
マルスがドワーフ達の所に向かう
『ランドレール、この剣を頼んだよ』
マルスがケーレスとレーゼンの剣を差し出す
『解った・・・はぁぁぁーーー? ななななななな何だ!! 』
ランドレールが剣をじっくり見て驚いている
『刃無しの剣・・・柄も完璧に出来ている・・・刃を作れば終わりか? そもそも、どうやって作った?』
ランドレールが大声でマルスを怒鳴る
『魔法で加工したよ! 刃は作れないから、作ってね』
マルスが笑顔で言う
『魔法で・・・ふざけるな!! 何故魔法なんかで作れる!! あり得ない!!』
ランドレールが大声で叫び、ドワーフ達が驚いている
『建物を作ったのと同じだよ! 内緒にしてね』
マルスが笑顔で言うと、屋敷に戻っていき、ランドレールは、剣を見ながら考え込んでいる
(ちょっと待て!! 剣を簡単に作るのか? それも何だ!! この金属普通じゃない!! それも刃が有れば、完全に終わりか? 俺の仕事は・・・ 装飾? 誰でも出来るぞ!!)




