オルセント出発とドワーフ達
数日間、調味料や食料を買い、町中を観光して過ごして、出発する日になる
『メトリシア様、これが今回の出来事をまとめた内容と親書です』
国王が微笑みながら言うと、王太子が本と親書を差し出して、ヒストリアが受け取る
『ありがとうございます。 これで御父様に怒られなくて済みます』
メトリシアが嬉しそうに言う
『今回は事が事なので、セクラとルーセントを外交の使者として同行させる・・・エクラーゼ殿とサーシャリア王女様も、クライドルト王国を見て貰った方が良いとは思う』
国王がセクラを見てから言う
『メトリシア様、楽しみです』
セクラがメトリシアを見て言うと、マルスを見て嬉しそうにしている
『英雄様、出来れば、ドワーグニの町に寄って貰いたいが良いか?』
エクラーゼが考えながら言う
『良いですよ、ドワーグニに食料も届けた方が良いかな?』
マルスが考えて言う
『食料は大丈夫だろう・・・オルセント号に畑で使う種を乗せて貰った』
『種? あ!! 畑で育てる作物!! 考えが回らなくて、ごめんなさい』
マルスが考えてから言う
『一言で理解してくれて良いが・・・王になってくれないか?』
エクラーゼが真剣に言う
『面倒です! やりたい人がやれば良いです』
マルスが笑顔で言う
『仕方無い、クライドルト王国を見学して、今後を考える事にする』
エクラーゼが考えている
『エクラーゼ殿、正式にドワーグニ地方に対して、友好関係を築く事を宣言します。』
国王が微笑みながら言う
『有り難いが、従属させたくないのか?』
エクラーゼが真剣に聞く
『ドワーフ族は、野心を抱かないので信用します。英雄殿を怒らせたら、どうなるか解ると思うから』
国王が笑顔で言う
『そう言うことか・・・我らとしたら、良い事だな、不安が1つ取り除かれる』
エクラーゼが笑顔で言う
マルス達はシルフィード号に乗り込み始めると、キャス号とクーレセス号が飛んでくる
『え! あれはキャス号』
国王がキャス号を見て驚いている
『まだ修理途中ですが、帰ったら残りを修理します』
マルスがキャス号を見ながら言う
『空を飛んで、まだ修理終わってないか・・・今まで修理をしていた者達に聞かせたい言葉だな』
国王が見上げながら言うと、マルスもシルフィード号に乗り込み、上昇していき、北に向かって飛んでいく
ドワーグニの町に到着して着陸すると、オルセント号から物資を下ろしている
エクラーゼがドワーフ達を連れてくる
『英雄様、この2組の家族なのですが、英雄様に仕えたいそうです』
エクラーゼが2組の家族を紹介する
『え? 何故ですか?』
『命を助けられ、恩を返したいそうです。 本当の事を言うと、英雄殿に仕えさせる事で、我らとの繋がりを保つ為と思ってください。 この者達が自分から言った事です』
エクラーゼが説明をしていると、ドワーフ達が希望に満ちた目をしている
『どうして、仕えたいの?』
『勿論ものつくりの為だ!! 鍛冶も彫金も好きだからな! こいつは家具職人だ! 妻達は革職人だ! 人間の町なら、流通も有るから、良い物を作れる!! 勿論大工も出きるぞ!!』
ドワーフの男が大声で言うと、エクラーゼが頭を押さえている
『移住したいの?』
マルスが考えてから言う
『あ!! しまった!! 門番でも何でもするぞ!!』
ドワーフが慌てて言うと、エクラーゼが溜め息をしている
『マルス、なんか利用されていますね』
リリシャが笑顔で言う
『そうだけど、リベリアに連れて帰ると、ギレリムが怒りそう』
『鍛冶職人は足りていますね』
リリシャが微笑みながら言う
『何!! どっちが腕が良いか比べてくれ!!』
男が慌てて言う
『武器と防具は全部ギレリムが作っているから』
マルスが言うと、男がマルスの鎧と剣の束を真剣に見ている
『なっなっなっ何だと!! こんな魔力信じられない!!』
ドワーフの男が大声をあげながら、真剣に見ている
『マルス、どうしたの?』
キリシアが気になってやってくる
『あ! キリシアの槍、この鍛冶職人に見せてあげて』
マルスが思い付いたように言うと、キリシアが槍を見せる
『信じられない・・・白い金属・・・伝説のホワイトミスリルなのか? それにこの完成度・・・完璧すぎる・・・負けていられない!!』
ドワーフの男が興奮しながら槍を見ている
『マルスどうしたの? この人?』
キリシアが不思議そうに見ている
『雇って欲しいだって、どうする?』
『雇うの? 土地まだ用意してないよ! 帰ったら即用意しないと!! シュルトを呼びつけるよ』
キリシアが大声で言うと、後ろで聞いていた、フローネが苦笑いする
(キリシア、雇うと言ってないでしょ・・・簡単に決めなくても)
『まだ、決めてないよ!! それにギレリムの仕事が減って可哀想だよ』
マルスが慌てて言う
『え? マルスが相談するのだから、決定で良いよ! 秘密さえ守ってくれたら、それで良いよね?』
キリシアが笑顔で言う
『キリシアだから、職人には豪胆でしたね』
リリシャが微笑みながら言う
『連れて帰って、土地が用意出来るまで、発着場使って貰えば良いか』
マルスが考えてから言う
『あ!! やっと使うのですね』
リリシャが笑顔で言う
『じゃあ、秘密は守れるか!!』
キリシアが笑顔でドワーフに聞く
『職人だ!! 約束は守る』
『一生守れるか!!』
『勿論だ!! 約束は守る!!』
ドワーフ達が大声で言う
『良い物を妥協無く作るか!!』
『勿論だ!!』
ドワーフ達が大声で言う
『贅沢な暮らしはしたいか?』
『贅沢な・・・は? そんなのどうでも良い!!』
ドワーフが慌てて言うと、フローネが笑い始める
『わかった!!もし約束を守れなかったら、王家が地の果てまで追い詰めるからな!!』
キリシアが大声で言う
『わかった!!』
ドワーフ達が笑顔で言う
『ははは・・・豪快な約束だな・・・』
エクラーゼが満足そうに笑い始める
『キリシアだからですね・・・マルスに関わる怖さを思い知るでしょう・・・一生に1度の経験を、一年に何度も体験させられるのですから』
フローネが微笑みながら言う
『一生に1度の経験を? 今回の事は数百年に1度の災いだったが・・・それ以外にも?』
『クライドルト国王に聞いてくださいね』
フローネが微笑みながら言うと、ドワーフ達をシルフィード号に乗せていく
 




