ドワーグニの町と宿屋
食事が終わると、マルス達は、一気に建物を作り始め、柱から壁や床を作り、3階建ての大きな建物が出来上がり、マルスとリリシャが紋様魔法と紋章魔法を書き込んでいる
翌朝、朝日が昇ると、ドワーフ達が建物を見て唖然と見ている
『これは・・・一夜で建ったのか』
エクラーゼが呆然と呟き、セクラとサーシャリアがやってくる
『え? 何故? 建物が・・・』
サーシャリアが呆然と呟く
『マルス様です!!』
セクラが笑顔で言うと、マルスを探している
『見ましたね』
フローネが微笑みながら言うと、エクラーゼとサーシャリアとセクラがフローネを見ている
『フローネ様、マルス様達は?』
セクラがフローネを見つめながら聞く
『まだ作業してますね・・・一気に完成させるつもりですね』
『あの建物は、何の為の建物ですか?』
エクラーゼが興奮気味に聞く
『古代魔法で建てていますが、何を作るかは聞いてませんが、この町には必要な物になるでしょう』
フローネが微笑みながら、建物に向かって歩いていく
建物に入ってマルスを探している
『マルス様!!』
セクラがマルスを見付けて、大声をあげる
『セクラ様、何か用ですか?』
マルスがセクラを見て聞く
『マルス様、この建物、何ですか?』
『宿屋です』
マルスが笑顔で言う
『やややっ宿屋!!・・・旅人など来ないのにか?』
エクラーゼが驚きながら聞く
『そのうち必要ですよね? それまでは、子供達でも寝かせておけば良いですよね? 運営は任せます』
マルスが笑顔でエクラーゼを見て言う
『運営は任せる? 何故?』
『家に帰るから、面倒だよ』
マルスが笑顔で言う
『家に帰るから・・・倉庫は?』
『必要だったから作っただけです。要らなかったですか?』
『マルスですから、何を言っても無駄ですね・・・マルスは作るのは好きですが、後は人任せです。子供なら、1部屋数人寝れますね・・・厨房も食堂スペースも完成しているのですから、人々が個別に食事を作るよりは、まとめて作った方が節約になりますね』
フローネがエクラーゼを見て言う
『そうだが・・・ここまでして貰って言うのはなんだが・・・英雄様の目的は?』
エクラーゼが考えてから申し訳なさそうに聞く
『目的? ただ困っていそうだったから、助けただけです』
マルスが真剣な顔で言う
『は?・・・ただ助けただけ? 英雄様に利益は無いのにか?』
『困って無かったの?』
マルスが真剣な顔で聞くと、サーシャリアが唖然としている
『困っているが・・・建物の対価も、食料の支援の対価も、オーガ討伐の対価も・・・助けて貰った対価も何も出せないのにか? 今後も返せる宛は無いぞ!』
エクラーゼが驚きながら大声で言う
『困ってないから、どうでも良いかな?』
マルスが素っ気なく言う
『は?・・・どうでも良い・・・』
エクラーゼが口を開けて目を見開いている
『マルスに何を言っても無駄ですよ! 対価の事など、言っても困ってないからどうでも良いと、リベリアの英雄は、何時も言ってますね』
フローネが微笑みながら言う
『はい! リベリアの英雄様は、国王になって欲しいと領地を差し出しても、面倒だからやらない!! 更に冒険者の方が良いと言います』
セクラが笑顔で言うと、エクラーゼがセクラを見ている
『怒らせたら、1国相手でも、容赦無く叩き潰しますね・・・叩き潰したら、後は、誰かに後始末頼んで終わりですね』
フローネが微笑みながら言う
『ちょちょちょちょっちょっと待ってください!! 1国相手に戦うのですか!!』
エクラーゼが驚き叫ぶ
『オルフェスタ・ガゼルド王国を叩き潰しました! 後始末は御父様に丸投げです!!』
セクラが笑顔で言うと、エクラーゼが頭を抱えている
『じゃあ、続きをしますので』
マルスが笑顔で言うと、紋様魔法と紋章魔法の書き込みを始める
『あれは・・・何をしているのですか?』
サーシャリアがマルスを見つめながら聞く
『あれは、古代魔法の紋様魔法と紋章魔法ですね・・・完全に失われた魔法です。 マルス達にしか理解できません。内緒にしてくださいね』
フローネが微笑みながら言う
『古代魔法・・・理解できませんが、内緒にします』
サーシャリアが驚きながら答える
『師匠、見せて良いのですか?』
ルーセントが苦笑いしながら聞く
『ルーセント、見ても何しているか解りますか? 解ったなら、真似してくださいね』
『無理です・・・マルス殿が飛ぶのは人前でしないで欲しいのですが・・・口止めも面倒なので』
ルーセントが意を決して言う
『後で注意はしますが・・・マルスに言っても無駄ですね』
フローネが考えながら呟く
『師匠も常識が薄れています。リベリアの英雄の常識を常識として見ています』
『え? そうですか? 真実は曲げられませんね・・・全てマルスが証明していますから』
フローネが微笑みながら言う
『師匠・・・』
ルーセントが落胆している
『セクラ御姉様・・・申し訳無いのですが・・・あの方は、どなたでしょうか?』
サーシャリアが、申し訳なさそうにセクラに小声で聞く
『え? フローネ師ですが・・・あーーーーーーー!! フローネ様!! 自己紹介してないです!! ラーゼリア王国でも1度も紹介してないです!!』
セクラが大声をあげると、フローネがセクラを見ている
『フローネ師・・・あ!魔法のランプのフローネ様ですか!!』
サーシャリアが驚いてフローネを見る
『リベリアのフローネです。 ただの隠居ですよ』
フローネが微笑みながら言うと、エクラーゼが口を開けて呆然としている
『幼い時より、光輝く魔法のランプを見ていました。まさか、お会い出来るなんて、光栄です』
サーシャリアが頭を下げながら言う
『あの子達に比べたら、名前だけの隠居ですよ』
フローネが微笑みながらマルスを見ている
『そんな事は有りません!! フローネ師の付与魔法を真似ようと、多くの魔法使いが挑戦して、誰も再現できませんでした!!』
サーシャリアが興奮気味に言う
『そうですか? マルスとリリシャは、数ヵ月で再現して、更に1年後には、改変もしていますね』
『え!! マルス様凄すぎます・・・え? かかかかーーーー改変!! そんなの不可能と教えて貰いました!!』
サーシャリアが驚きのあまり、目を見開いている
『サーシャリア様、マルス様に不可能は有りません! 飛空艇を直して、シルフィード号を作り上げ、多くの魔導具を作り上げています。マルス様の屋敷を訪問した時、別世界でした』
セクラが嬉しそうに言う
『想像も出来ませんが・・・そんなに凄い魔法使いだったのですね・・・マルス様に見捨てられた御兄様は・・・王国を建て直せるのでしょうか?』
サーシャリアが驚きと、落胆に複雑な表情をしていると、エクラーゼが考え込んでいる
(見捨てられたのか? 我らも見捨てられたら、町はどうなる? 子供達の未来は・・・何としても英雄様との繋がりを保たないと・・・)
『良いですか! マルス様は見捨ててません! 王都のオーガを殲滅しなかったのは、ラーゼリア王国の為です。 殲滅したら、隣国各国が弱体化したラーゼリア王国を攻めますが、オーガの脅威が有る国を占領して、自らオーガ討伐をしたくないですよね?』
セクラが真剣に説明をしていると、サーシャリアが考え込んでいる
(予想も出来ない・・・)
 




