王都のキングオーガ
シルフィード号は、ラーゼリア王国の東側まで最高速で飛んでいくと、魔法を放ち、オーガとゴブリンを吹き飛ばしてから、王都の方に飛んでいき、オルセント号を見付ける。オルセント号にマルスが飛び移る
『マルス様、待っていました』
セクラが微笑みながら出迎えてくれる
『セクラ様、予定通り、東側と西側の国境付近のオーガは吹き飛ばしてきました』
マルスが笑顔で言う
『王都のゴブリンとオーガは、本当に放置するのですか?』
『倒しても良いけど、サリオット様には、自分で努力して討伐して欲しいですね・・・人に頼りすぎて、後が面倒になりそうだし』
マルスが考えてから言う
『マルス様が言われるのなら、良いです。 このままドワーグニの町に向かいますか?』
セクラが笑顔で言う
『渓谷を探索しながら向かい、オーガがいたら、消し飛ばします』
マルスが真剣な顔付きに代わる
『あの・・・王都少し見たいのですが・・・』
サーシャリアが涙目で言う
『セクラ様、王都の上空と王城の付近を飛んでから、ドワーグニに向かいましょう』
マルスがサーシャリアの顔を見てから、セクラを見て言う
『はい、マルス様、現状を見ておくのも必要です』
セクラが微笑みながらサーシャリアを見ている
王都上空を飛ぶと、王都内に多くのオーガとゴブリンがいるのを見付ける
『城にも・・・御父様御母様・・・』
サーシャリアが涙目で祈りを捧げている。マルスとセクラは、サーシャリアの後ろ姿を見ている
『ありがとうございます』
サーシャリアが涙目で頭を下げていると、キングオーガが大きな岩を持ち上げ、投げ付けてくる。岩は、オルセント号に当たり、衝撃でサーシャリアが転ぶ
『サーシャリア様、大丈夫ですか?』
マルスが手を差し出すと、別の岩が飛んでくる
『きゃーー!』
サーシャリアが衝撃に悲鳴をあげて震えている
『ちょっと黙らせてくる!!やる気なら叩き潰す!!
少し上昇してください』
マルスがセクラを見て言い、甲板に出ていくと、サーシャリアが不安そうにマルスの背中を見ている。ルーセントが呆れたように、キングオーガを見ている
(攻撃しなければ、見逃してくれたものを・・・)
マルスが甲板に出ると、岩を投げようとしているキングオーガ6匹を見る
『折角見逃してあげたのに・・・戦う気なら、反撃するよ』
マルスが呟き
『ファイヤーアローズ』
マルスが炎の矢を6つ作り上げ、キングオーガ目掛けて放つ。炎の矢はキングオーガの頭に当たり、頭が吹き飛び、力無く倒れていく
『他にいないかな?』
マルスが周囲を見ていると、シルフィード号が近付いてくる
『マルス、殲滅しますか?』
リリシャが飛び移って来て、嬉しそうに聞く
『オーガ殲滅したら、ラーゼリア王国が隣国に滅ぼされるから、残しておこう』
マルスが物陰に逃げ込んでいるオーガを見下ろし、言う
『的に出来ないのか・・・』
リリシャがつまらなそうにオーガ達を見ていると、サーシャリアとセクラが出てくる
『マルス様、そちらの女性は?』
サーシャリアがリリシャを見ながら聞く
『リリシャ様です。リベリアの英雄様の1人です』
セクラが笑顔で紹介をする
『広大な土地を焼き尽くしたのは、リリシャ様ですか?』
サーシャリアが驚きながら聞く
『弟子達と焼き払いました』
リリシャが微笑みながら言う
『国を救ってくれて、ありがとうございます。 御兄様に代わり御礼を言わせて貰います。』
サーシャリアが頭を下げながら言う
『王女様が頭を簡単に下げたらダメですよ』
リリシャが微笑みながら見ている
(良い子ですね・・・)
『私には、このぐらいしか出来ないので・・・王都を逃れる時も、町を脱出する時も・・・騎士達が必死にオーガに挑み、逃がしてくれました・・・今回人質として、始めて役にたてる事を嬉しく思ってます』
サーシャリアが笑顔で言う
『マルス、良い子ですね・・・ですが可哀想です・・・セクラ様、妹のように気をかけて下さいね』
リリシャが少し心配そうに言う
『はい! リリシャ様』
セクラが少し嬉しそうに言うと、リリシャがサーシャリアの膝から血が出ている事に気が付く
『動かないで下さいね、ヒール』
リリシャが、怪我している膝に回復魔法を使い、傷口が塞がり、サーシャリアが驚いている
『あの・・・詠唱が早すぎます』
サーシャリアが目を丸くして言う
『内緒です。セクラ御姉さんに教えて貰ってくださいね』
リリシャが微笑みながら言うと、サーシャリアが驚きながら見つめている
『え? セクラ御姉さん・・・少し嬉しいです』
セクラが少し照れながら呟くと、サーシャリアを見ている
『セクラ御姉様、教えてくださいますか?』
サーシャリアがセクラを見て聞く
『ふふふ、無詠唱魔法です。絶対に秘密にしてください。英雄様しか使えない魔法です』
セクラが嬉しそうに言う
『無詠唱魔法・・・伝説に出てくる魔法・・・凄すぎます』
『英雄様ですからです! 良いですか、理解する必要は有りません! 英雄様がやる事で、不可能な事や理解不能な事は、全部英雄様だからで納得して下さいね! 英雄様の名前や素性は、各国が国家機密に指定しています』
セクラが説明を始めると、サーシャリアが真剣な顔になって、聞いて約束をしている
渓谷をゆっくり、オーガを探しながら進み、ドワーグニの町が近付いてくる




