後始末
マルス達は、数日間ゆっくり城壁の残骸を集めながら、モデリングで形を変えて積み上げている
『マルス様、サリオット王子様が相談が有るそうです』
セクラが笑顔でやって来て言う
『何の用だろう?』
マルスが呟く
『町中の片付けをしているそうですが・・・復興が難しいそうです』
セクラが真剣に説明をしている
『面倒ですね・・・メトリシア、どうする?』
マルスが思い付いたようにメトリシアに聞く
『え? 知りません!! 早く帰りたいです』
メトリシアが考えてから言う
『早く帰って、魔法学院に通わないとね』
マルスが笑顔で言う
『マルス様、1度お会いして下さい』
セクラがマルスを見つめて言う
『マルス、同行しますので、会いましょう』
フローネが仕方無さそうに言う
マルスとフローネが、セクラと共のにサリオットの待つ部屋に向かう
『英雄様、町を奪還出来ましたが、思ったより壊れた所が多く、オーガに襲われたら大変と思っています。どうしたら・・・守ってくれますか?』
サリオットが説明をしている
『サリオット様、町の復興や防衛は、国王が決めて、実行する事です。 人に決断や人に守って貰う事を求めるのですか?』
マルスが考えてから聞くと、セクラとフローネが少し慌てている
(マルス、怒りましたか?)
『それは・・・』
サリオットが驚いて言葉を詰まらせている
(え? もしかして、守ってくれないの?)
『この町を放棄して伯爵領や子爵領に移すなら、移しても良いとは思いますが、この地は他国に譲りますか? 王都を奪還するには、この町を通らないと出来ません』
マルスが、サリオットを見ながら言う
『それは・・・この地を他国に渡したら、国は存亡の危機に・・・』
『サリオット様は約束しましたよね? 忘れましたか? 問題を目の前に王道を辞めるなら、辞めれば良いです』
マルスが言うと、フローネが驚いている
『それは・・・忘れてないですが、どうしたら良いか解りません・・・』
サリオットが少しガッカリして泣きそうになっている
『英雄様に全部して貰うつもりなんて・・・許さないです!! 英雄様に助けて貰って、後始末も出来ないのですね!!』
セクラが睨みながら言う
『伯爵様に相談して、良い案が見つかる事を祈ります』
マルスが考えてから言うと、部屋を出ていく
『英雄様・・・』
サリオットが、マルスが出ていった扉を見ている
『マルスが突き放しましたね・・・成長して良いことです』
フローネがルーセントを見て言う
『成長した?』
ルーセントがフローネを見ながら聞く
『ルーセント、あの子達に、この町を守って欲しいなんて、断るに決まっています。面倒事持ち込んだら、王族相手でも容赦しないのは、解ってますか?下手したら、すぐに帰ると言って出ていきます。一言面倒事持ち込むなって言われます』
フローネが微笑みながら説明をしている
『師匠、約束を破ったら、どうなりますか?』
『無視されますね・・・相手が滅びようと、同情しないでしょうね・・・意味は解りますね』
フローネが微笑みながら説明をする
『はい・・・セクラ様がマルス殿を優先するから、オルセント王国が救われたと、今解りました』
ルーセントが真剣な顔付きで頭を下げながら言うと、サリオットが青ざめている
(もしかして、言ったらいけない事を言ってしまったのか? もう助けてくれないのか?・・・大変な事に)
マルスがみんなの所に戻る
『マルス、どうでしたか?』
リリシャが微笑みながら聞く
『早く帰ろうか?』
『穴だけ塞ぎますか?』
『適当に塞ぐだけで良いかな? 壊せないようにする気も無くなったよ』
マルスが興味無さそうに言う
『あ!! マルス師匠がやる気無くなりました!!』
メトリシアが笑顔で言う
『面倒になったなら、すぐに塞いで帰りますか?』
エミールがマルスを見つめて言う
『マルスがやる気無いなら、適当に塞ぎましょう』
リリシャが微笑みながら言うと、みんなリリシャを見てから同意している
マルス達は、モデリングで城壁の穴を塞ぎ、マルスはマテリアルコンバージョンを使い、魔力の通らない石に戻している
『マルス師匠、何でマテリアルコンバージョンを使っているのですか?』
エミールが気になって聞く
『魔力の通る石だと、悪用されそうだからね・・・魔力の通らない状態に戻しているよ』
マルスが城壁を見ながら言うと、エミールが魔力を流そうとしている
『全く通らないです・・・マルス師匠、ズルいですが、これなら悪用されないです』
エミールが微笑みながら言う
『マルス、ここで全部終わりましたよ』
リリシャが城壁の上から大声で言う
『オーガの大群に魔法を撃ち込んだら、オルセント王国に向かうよ』
マルスが大声で言う
『大穴は任せてください』
メトリシアが満面の笑顔で言う
『サリオット様に、帰る事を言いに行くよ』
マルスが大声で言うと、マルスは領主の館に向かって歩いていく
マルスとエミールとエレーヌが部屋に入ると、サリオットとセクラとルーセントが待っている
『マルス様、どうかしましたか?』
セクラが少し嬉しそうに聞く
『オルセントに寄ってから、帰ることにしました』
マルスが真剣な顔で言うと、サリオットが慌てている
『もう帰るのですか?』
セクラが驚きながら聞き返す
『色々放置して来たから、早く帰らないと、面倒事になるからね』
マルスが笑顔で言う
『はい! 解りました! すぐに出発しますか?』
セクラが笑顔で聞くと、ルーセントが苦笑いしている
『明日の朝、出発しましょう』
『ラーゼリア王国とオルセント王国の話し合いも先程決定しましたので、大丈夫です』
セクラが笑顔で言う
『そうなのですか? サリオット様、これで失礼します』
マルスが笑顔で言う
『マルス様、気にならないのですか? 話し合いの結果を』
『関係ないので、どうでも良いです』
マルスが興味無さそうに言うと、サリオットが泣きそうな顔でマルスを見ている
(本当に帰ってしまうのですか・・・どうしたら、引き留められる? もう無理なのか?)




