山脈地帯
シルフィード号は、魔法王国の北部を低空飛行しながら、見付けたゴブリンとオーガを次々と殲滅し、王都に戻ってくる
『英雄殿、国を救って頂き本当に感謝します』
王太子が頭を下げて言う
『あ！！ お兄様、戻って来ていたのですか？』
セクラがオルセント号から降りてくる
『オルセント号が、低空飛行で町の上空を飛んで王都に戻って行ったら、誰でも想像が出来る・・・あの状態のオルセント号を直せる人は、英雄殿以外に居ないから・・・』
『早く戻って来てくれて助かりました！ オーガの処分を任せます！！』
セクラが満面の笑顔で言うと、周囲の騎士達が苦笑いしている
『解ったが・・・どのぐらいの範囲なのか？』
『北部全域です！！ 次は山脈に乗り込みます』
セクラが笑顔で伝えていると、王太子が頭を押さえながら、苦笑いしている
『西部の兵力も呼び寄せたが、完全に死体処理係りか・・・』
『頑張ってください！ オルセント号も凄く安定して飛べて嬉しいです』
セクラが、オルセント号を見て言う
『頑張るのは、兵士達だ・・・英雄殿から離れず、無礼が無いようにしてくれ』
王太子が真剣にセクラを見て言うと、マルスを見る
『はい！ マルス様の勇姿、残さず見ます』
セクラが笑顔でマルスを見ている。王太子が溜め息をしてから、セクラの横顔を見ている
（もう、マルス殿の戦う姿しか考えてないのか？ 国を救われて、文句は言えない）
食料等を積み込むと、シルフィード号は上昇を始め、北に向かって進み、オルセント号も後を追ってくる
『マルス師匠、目視だと限界が有ります』
エビリアが双眼鏡で見ながら言う
『サーチで調べながら、双眼鏡で調べよう』
マルスが言うと、シルフィード号は低空飛行で調べながら山岳地帯を飛んでいる
『主様ーー前方にオーガ見付けたよ』
エスカからの念話が聴こえると、、マルスは双眼鏡で前方を見ている
『２００ぐらいかな？ 着陸するのも面倒だから、焼き払おうか？』
『任せてください』
リリシャが笑顔で言うと、歩いていく
『あ！！ リリシャ師匠、一緒にやりたいです』
エミールが笑顔で言い、リリシャを追いかけて出ていき、エレーヌも付いていく
『先越されました・・・次を探します』
エビリアが真剣に言い、双眼鏡で監視している
『あ！ デカイオーガが岩を持ち上げています』
クレスタが双眼鏡で見ながら言う
『あ！！ 炎が・・・セイントファイヤーストームです』
ミリアが真剣に見ながら言うと、炎の柱が３つ出来上がり、オーガとゴブリンを次々と飲み込み黒焦げに変えている
『相変わらず、容赦ないですね』
フローネが呟く
『次は私もやりたい』
リシリアが見ながら呟く
『本当に的としか、見てないのですね』
フローネがリシリアを見て言う
『はい！ 的です！！』
『本当なら、あのオーガの大群で、１国を脅かすだけの戦力ですよ・・・』
フローネがリシリアに真剣に言っている
山岳地帯に捜索しながら、殲滅して進む
『マルス、暇だよーー 何とかして！！』
キリシアが、つまらなそうにしながら、マルスに言う
『楽しいですよ！ 魔法沢山放てますから』
リリシャが微笑みながら言う
『マルス、着陸して！！ 私の獲物探して！！』
『ここじゃ、着陸する場所が無いよ』
『リリシャ達ばかりズルい！！』
キリシアが不機嫌そうに言う
『キリシア師匠ごめんなさい、私なんかが沢山楽しんで・・・本当にごめんなさい』
ミリアが涙目で言うと、みんな見ている
『マルス師匠、大群です！！』
エビリアが大声で叫び、みんな見ると、そこにはゴブリンとオーガが行列を作り進んできている
『キリシア、全部倒す？』
マルスがキリシアを見て言う
『多すぎる！！ 数千の雑魚は面倒！！』
キリシアが見ながら言う
『魔法で焼き払いながら進むよ・・・地形は余り変えないようにね』
マルスが真剣に言う
『えーーーー！ 最大威力で魔法放ったらダメですか？』
ミリアが慌てて聞くと、みんなマルスを見ている
『ストーム系だけ使うように』
『それなら最大威力で焼き払いますよ！ 手加減抜きです』
リリシャが微笑みながら言うと、みんな笑みを浮かべている
みんなで甲板に出て、準備を始める
『セイントファイヤーストーム！！』
リリシャとエミールが魔法を放つと、白い炎の柱が出来上がり、ゴブリンとオーガを次々と飲み込みながら進んでいく
『セイントファイヤーストーム！！』
クレスタとエビリアが魔法を放ち、次々とゴブリンとオーガを焼き払っている
列が途切れるまで、焼き払い続けながら進む
『マルス師匠、やっと焼き払い終わりました』
メトリシアが笑顔で言う
『いったい、どのぐらい居たのかな？』
マルスが焼き払った跡を見て聞く
『１万は居たかも知れないですね・・・楽しかったから良いですけど』
リリシャが微笑みながら言うと、みんな顔を見合わせている
『オルセント王国を襲った数と同じぐらいかな？ それにこの先は、ラーゼリア王国の王都に続く道だから、大変な事だよね？』
マルスが山を見ながら言う
『情報が必要ですね』
エミールが真剣に山を見ている
『東の盆地の町に、向かうしか無いかな？』
マルスが真剣に言うと、シルフィード号が旋回して分岐点に向かうと、マルスはオルセント号に跳び移る
『マルス様、凄かったです！！』
セクラがマルスを見て笑顔で言う
『やっぱり、ラーゼリア王国からオーガが来ていると考えた方が良いかな？』
マルスが真剣に言うと、ルーセントが頷いている
『残念ですが、早く対応を考えないと・・・』
セクラが考え始める
『東の盆地に町が有ったよね？』
『はい！ 迷宮も有ります。ドワーグニの町です』
『町の様子を確認して、どうするか決めたいと思うけど、良いですか？』
『はい！ マルス様が行かれるなら、お供します』
セクラが満面の笑顔で言うと、騎士達が苦笑いしている
（完全に英雄様しか眼中に無いのか？ ここは、隣国国内ですが・・・）
