家を購入
数日後、何でも屋が1人の男と帰ってきた。交渉が纏まったとのことだった
『金貨1000枚で交渉が纏まりました。こちらの書類にサインをお願いします』
みんなで確認して、キリシアがサインをする
『金貨の件ですが、本当に一括で良いのですか?』
『大丈夫です。今から冒険者ギルドに行って出してきますね』
キリシアの言葉に男は笑い、一緒にギルドに向かう
『ヘザーネ』
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君、エミールさん、ルメイルさん、ミリアさん、アニーさん、フローネ様、こんにちは』
何でも屋と男を見て
『家の件ですね。応接室にどうぞ』
応接室に入るとバイルとヘザーネが入って、ヘザーネが金貨の袋を次々のテーブルに並べていく。バイルは男と何か話し始める
『これで金貨1000枚です。確認をお願いします』
『わかった。確認するね』
100枚ずつ10袋有るのを確認する
『確かに1000枚確認しました』
そして何でも屋が1枚の紙を渡し、サインをしてもらう。そして男は鞄に金貨の袋をしまい持って、ギルドを出て別れる
『後は下女か侍女ですね。既に何人か候補を用意してあります』
『アニーに選んで貰おうかな?』
キリシアが言うと
『私がですか?よろしいのですか?』
『アニーと仲良く出来る人の方が良いでしょ』
『わかりました。一緒に選びます』
何でも屋の店に向かう。エミールとルメイルは家具を搬入の為に、家具商人に言伝てを言いに市場に向かってもらう
侍女候補の6人の中から1人を選ぶ
『本当に即断即決だから、冒険者として一流なのですね』
『アニーとの意見が一致したからだよ』
『良ろしければ、近くに孤児院が有るのですが、下女をもらって頂けないでしょうか?勿論、成人するまで賃金は掛かりません。服と食事だけは保証して貰えれば大丈夫ですので・・・』
『わかりました』
孤児院で1人の少女を選ぶ。少女はイリア、10歳で家事の事は何でも出来るが、少し人見知りをする様だった
『イリア、よろしくね』
『よろしくお願いします。冒険者様』
イリアは頭を下げて言う
自己紹介をしてから家に向かう。そして家の前で先程の侍女が待っていた
『待たせちゃったかな?』
『いえ、とんでもありません。勝手に早く来ただけですから』
『まだ、中は家具が無いので、住める状態になっていないので、掃除しながら家具の到着を待つことにしましょう』
中に入ると、既に中は綺麗に掃除されていた
『購入の交渉を始める前に、掃除と修繕の方はしておきました』
何でも屋がそう言ってみんなを見る
『ありがとうございます』
キリシアは鍵を受け取り、金貨を渡す
『良い取引をさせて頂きました。何かあれば何なりと依頼してください』
何でも屋は頭を下げて帰っていく
侍女はステラ。前の職は、若い侍女が増えて一番年上だったステラがクビになり追い出され、職を探していたとのことだった
『キリシア様、私達にこんな良い部屋を使わせてもらって良いのですか?』
『玄関に近いし、厨房に近いし、良いところだよね。もう一部屋用意した方が良いかな?』
『滅相も有りません。この広さならば、4人は寝れますので広すぎるぐらいです』
『なら良いね』
エミールとルメイルが馬車で入ってきた
『おかえりなさい、エミール、ルメイル』
『ただいま、師匠』
リリシャはエミールと笑い合っている
馬車から掃除道具と、鍋や食器類の入った箱を出して運び入れ、馬車は倉庫にしまい、馬房に馬を入れる
家具を積んだ馬車が、次々と到着して家具を運び入れる
アニーとステラは厨房で整理をして、キリシアとルメイルとイリアは家の中と庭を見て回っている、リリシャ達はフローネの家と宿屋に荷物を取りに行ってくる
馬車の音を聞いてイリアが玄関に出てきて、馬車から荷物を下ろすのを手伝う
『このランプは何処にしまいますか?』
『取り敢えずはリビングに置いておいてね』
リリシャ達は自分達の部屋に荷物を運び、整理をする
キリシアとルメイルとアニーは、荷物を取りに宿屋に向かう
リリシャ達はリビングで休憩をとる
『ステラ、イリアもこっちで一緒に話をしませんか?』
『とんでもありません。厨房で待機していますので、何かありましたら声をかけてください』
『2人の話を聞きたいのだけど・・・一緒に暮らすのだから、2人の事知っておきたいのだけど』
リリシャの言葉に2人はリビングに入り、座る
『ステラさんは家族は?』
『孤児だったのでいません。前に仕えていた家に15年仕えて、人が増えたのでクビにされてしまい、今回雇って頂いて本当に感謝しています』
『イリアは?』
『兄弟はいないので、身寄りはいません。今回引きとって頂いて本当に感謝しています。こんな大きな屋敷だなんて思ってもいなかったです』
『私達は冒険者なので留守にすることがあると思いますので、その際は、家の事頼みますね』
『承知いたしました』
『お伺いしてもよろしいですか?』
ステラが申し訳なさそうに言う
『何ですか?』
『冒険者でこんな屋敷を買えるようになるのでしょうか?』
『師匠達はリベリア最強パーティーです。3人で20層に行けるぐらいの強さが有るので、常識では計れませんと、みんな言っています』
エミールはそう言うとリリシャを見る
『え?20層?10層ではなくて?人が入れるのは15層がやっとだと聞いたこと有りますが・・・・』
ステラは困惑しながら言う
『2年前迄は、それが常識で、今は20層が最奥です』
『わかりました。知らない事でしたので、申し訳ありません』
ステラは頭を下げる
『気にしないでいいよ。イリアは、何か夢は無いのかな?』
『夢ですか?・・・綺麗な服を着て、美味しいご飯を食べたいです』
『え?綺麗な服を着てご飯を』
『はい、孤児院育ちなので』
ステラはイリアの肩に手を置いて首を振る
『リリシャ、2人の服を用意してなかったね』
マルスの言葉にリリシャは苦笑いする
『明日、2人のメイド服を作りに行きましょう』
『よろしいのですか?催促したみたいですいません』
『バタバタして気がつかなかったのが悪いので、後、足りない物も買わないといけないですから』
『キリシアが居たら、今から行くと言うよね』
『オルクスに依頼するって言うと思う』
マルスの言葉にリリシャが答え、エミールとミリアも同意して笑い出す
『オルクス様と言うのは?どちら様でしょうか?』
『アーメルドの生地屋さんです』
『生地屋さん・・・仕立てると言うことですか?』
『キリシアが居たら言うと思うよ』
『そんな贅沢な物を着るのは・・・』
『市場で数着買いましょうね』
『わかりました』
[ガシャッ]
イリアは喜んでテーブルの端に有ったランプを落としてしまう
『申し訳ありません』
『怪我はないですか?』
『大丈夫ですが、ランプは大丈夫ですか?』
イリアからランプをリリシャが受け取り、「点灯」と言うと光が付く「消灯」で光が消える
『壊れていないですね』
リリシャがそう言うが、ステラとイリアは目を見開いて固まっている
『どうしたのですか?大丈夫ですか?』
リリシャの言葉にステラは
『まさか、噂に聞いたことは有りましたが、魔法のランプを見ることが出来るなんて、壊してしまったら弁償も出来ないので・・・』
『すすすいませんでした』
イリアはガクガク震えながら言う
『気にしないで良いですよ。どうせ2人にも夜使って貰いますから』
『え?・・・・こんな高価なもの、壊したら大変です』
『壊れたら直せば良いだけ』
『しかし費用が物凄い事になります・・・・』
『自分達で直せるから気にしない。エミールの練習台になるしね』
『いくらでも練習します』
リリシャの言葉にエミールは笑顔で言う
『もしかして、作成も出来るのですか?』
『これは全部、私達で作った物ですから』
部屋に置いてあるランプを見たステラは
『これ全部、魔法のランプですか・・・金貨数百枚分の財産ですよね・・・・』
ステラは青ざめる。言葉を聞いたイリアも青ざめて意識を失う
『イリア、大丈夫ですか?』
エミールはイリアを揺すって、イリアは目を覚ます
『すいませんでした・・・』
『このぐらいは序の口ですよ。元気を出してくださいね』
『え?序の口・・・・』
『魔法のランプなんて、いくらでも師匠は作れるので、遠慮無く家の中で使ってください』
エミールは言う
『持ち逃げしてしまうかも知れないですよ』
『持ち逃げしても、盗品だと直ぐにバレるから無理。町を出るときに捕まるだろうし』
『そうですね。こんな高価なもの、中古でも買い取る方が少ないですよね』
『だから夜は使ってね。魔力補充はミリアに任せるね』
『はい!わかりました』