オルセントの窮地
セクラは飛空艇に乗り込む
『北のオーガの状況を確認してきます』
セクラが考えてから言う
『え? セクラ様、指示はクライドルト王国に向かうようにと・・・』
ルーセントが驚いている
『ルーセント師、ごめんなさい・・・やっぱり民を見捨てて逃げれません・・・判断は間違っているかも知れないけど、正確な情報を集めます』
セクラが真剣に、ルーセントを見据えて言う。兵士達は顔を見合わせてから、セクラを見ている
『セクラ様、高度を保ちながら状況を確認しましょう・・・北側を通って西に向かう事にしましょう』
ルーセントが真剣に言う
『ルーセント師・・・ごめんなさい! 我が儘で・・・』
セクラが真剣に言うと、飛空艇は北に向かって飛んでいく
セクラが下を見ながら青ざめている
『そんな・・・町が・・・村も』
『セクラ様、時間が有りません、クライドルト王国に・・・リベリアの英雄様に助けを求める以外に、国を救う手立ては有りません』
ルーセントが真剣に言う
『どうして・・・こんな酷い事に・・・オーガは何処から現れたの? 何故?・・・・』
セクラが大粒の涙を流し始める
衝撃と振動と物が当たる音がする。
『きゃーーーーーー!』
セクラとルーセントは、衝撃に倒れ込み周囲の兵士達も倒れている。飛空艇は降下していき、再び振動と物音がする
『オーガ・・・』
セクラが外を見ると、大きなオーガが飛び付いて顔が見える
『はははっ早く振り落とせ』
ルーセントが大声をあげると、兵士が立ち上がり慌てて操作を始め、飛空艇が振り落とそうと飛び始める。大きなオーガは、落とされないようにしながら、飛空艇を殴っている
大きな岩が見えると、衝撃と物凄い音がする
『セクラ様ーーーー! 墜ちます!! 何処かに捕まってください』
兵士が叫び、飛空艇が急降下して、セクラは体が浮き上がり、次の瞬間、床に叩き付けられる
『オルセント様・・・助けて・・・』
セクラが呟き、気を失う
『セクラ・・・最後の力で家に帰そう・・・シリウス、頼む助けてくれ・・・我が主様に助けを求めたい・・・』
オルセントが現れて、飛空艇は、急旋回しながら飛び王都に向かって翔んでいくと、王城の裏に墜落する
『・・・うっ』
セクラが目を覚ますと、視界に王太子が入る
『セクラ、何故北に向かった』
王太子が真剣に聞く
『ごめんなさい・・・民を見捨てられなかった』
セクラが涙目で言う
『準備が出来たら、脱出しなさい・・・バラバラに逃げれば、誰か1人逃げ切れる可能性も有る。飛空艇は、稼働しない・・・頼む今度は必ず逃げてくれ』
王太子が真剣にセクラをみている
『御兄様・・・ごめんなさい』
セクラが涙目で言う
ベアーズ号は最高速で魔法王国に向かって飛んでいく
『マルス師匠、もう少しで王都が見えてきます』
エミールが真剣に進む先を見ながら言う
『状況が解らないけど、戦闘準備をするよ』
マルスが真剣に言う
『リリシャ師匠は、間に合わないですか?』
ミリアが少し不安そうに聞く
『リベリアを飛び立ったけど、明日になるかな? ミリアはメトリシアと一緒に行動してね』
マルスが真剣に言うと、みんなの顔を1人ずつ見ている
『マルス師匠!! うそ・・・あれが全部ゴブリン? 大きい・・・オーガ?』
エミールが驚いて見ている
『門が破られている? あれまだ戦っている? エミールここは任せた! 門に近付いたら飛び降りるから、王城に近付くオーガを的にして』
マルスが真剣に言いながら、外に向かう
ベアーズ号は高速で飛びながら、破られた門に向かい、門の上でマルスが飛び降りる。
マルスが飛び降りながら、周囲を見ている
中にもかなり・・・まだ住民も・・・外は殲滅して中を倒し回らないと、時間も惜しい・・・
マルスは周囲を見ながら降り立つ
『ファイヤーノヴァ』
マルスが魔法を外に向けて放ち、炎の玉が地面に当たると、大爆発と共に高熱と爆風でゴブリンとオーガを吹き飛ばす
『このーーー!』
マルスが剣を抜き、周囲のゴブリンとオーガを次々と斬り始める
大きな瓦礫がマルス目掛けて飛んでくる
『ハイバリアフィールド』
マルスが咄嗟にバリアを張ると、マルス目掛けてキングオーガが突進してくる
『デカイ!! あれが門を破壊したのか!!』
マルスが大声をあげ、キングオーガに接近しながら闘気の刃を作り、剣を振り抜く
『グォーーーーーーーーーーーーーー!!』
キングオーガの片腕が、マルスの剣から伸びた闘気の刃に当たり、両断され地面に落ちる
『ファイヤーボール』
マルスが魔法を放ち、キングオーガの頭に当たり、大爆発と共に頭が無くなり、力無く倒れる
『ガァーーーーー!!』
オーガ達がマルス目掛けて突進してくる。マルスは剣の闘気を伸ばして、オーガを一気に凪払い、オーガ達が両断され地面に転がっていく
『面倒!! このーーー!!』
マルスが大声をあげると、王城に向かって走りながら、次々とオーガを斬り飛ばして進んでいく




