6人の魔法使いの馬鹿者
翌朝、フローネの家に向かうと、家の前でエミールが待っていた
『エミール、おはよう』
『師匠、おはようございます』
家の中に入るとフローネが待っていた
『エミールから事情は聞きました。しかし、全力の回復魔法を見せるとは・・・ハイヒールですよね』
『はい、それしか無いと思いましたので』
『腕輪も使った様ですね。もうあなた達しか助けられない状態だったとしか言えないですね』
ギルドに向かい
『ヘザーネ、おはよう』
『おはようございます。奥にどうぞ』
ヘザーネは応接室に通してくれ、バイルとゼタルが入ってくる
『昨日はありがとうございました。2人は今朝、目を覚ましました』
『後遺症は有りますか?』
『身体中が痛いそうです。それと精神的に暗い所の恐怖症が有るみたいです』
『そうですか・・・』
『フローネ殿、リリシャさんとマルス君は、既にあなたを超えた魔法使いですか?』
『会ったときには既に魔力と技術は私を超えていました。そして今は、知識も私に近付いています。間違いなく歴代最高の魔法使いですね』
『やはり凄いのですね。この事は誰にも言いません』
『マルスが魔法学院で大暴れするまでは他言しないでくださいね』
『魔法学院で大暴れですか・・・学院が崩壊しますかね』
『王国の魔法の歴史が変わりますね。学院に行っても誰も魔法を教えられないのですから、それどころか全員がマルスの弟子になるでしょうね』
『そう予想しますか・・・確かにレベルが低すぎますからね、学院のレベルが!』
バイルもフローネの本音を聞いて考えるのを辞めて
『2年後ですね。それまではマルスだからで済ます事にしましょう』
バイルは笑う
『マルスだからで良いですな』
ゼタルも笑う
『魔法使い達は処置室に集めてあります。朝、ゼタルに絞られて泣きべそかいていましたがね。後で会ってあげてくださいね』
『わかりました』
『私達はこのぐらいで失礼します』
処置室に入ると魔法使い達がこっちを見て、頭を下げて
『本当にお世話になりました。このご恩は忘れません』
『もう無理しないでくださいね』
『わかりました。心掛けます』
まだ横たわっている2人に
『痛みは大丈夫ですか?』
『全身が痛いです・・・』
マルスは魔力視を使い見ると魔力が乱れまくっている
『魔法使いを目指すなら修行、沢山してくださいね』
『わかりました。修行します』
『そろそろ帰りますので、いつかまた会いましょうね』
部屋を出て帰る事にする
6人の魔法使い達は・・・
『あの人達、リベリア最強と言われていたけど、気さくだよね』
『だけど、強いのは間違いない・・・』
『クリケト・・・余裕で倒しまくっていた』
『あの魔法使いの人に助けて貰ったんだよね』
『思い出しても凄い回復魔法だった。あれは上級の回復魔法だよ』
『凄いのはわかるけど、所詮冒険者だ』
『中魔石取りに行くの無理なのかな?』
『前衛が必要だよ』
『失敗したら死ぬ・・・だよ』
『誰が簡単だなんて・・・』
『やっぱり買った方が良くない?』
『・・・・・』
『・・・・・・・・・そうだよ』
6人の魔法使いは翌日、馬車で魔法学院に帰っていった
後日、6人は魔力の乱れの為、上手く付与魔法が使えなくなり、魔法研究院や魔法師団に墜ちて、人生を台無しにしてしまった。一度の無茶が全てを失う結果に、魔法学院の責任問題もくすぶる事になる
ギルドを出た後、フローネの知り合いの所に寄り、家の良い物件が無いか確認に行く
『フローネ様、今日は物件の件でしょうか?』
『そうです。この子達が物件を探している子です』
『見た目は普通の若い娘と若い男のグループですが・・・』
『冒険者だから年齢は関係ないでしょ』
『いかにもその通りです。ギルドカードを確認させて貰えますか?』
全員のギルドカードを見て
『まさか本当に・・・噂では聞いたことありましたが・・・』
『噂?』
『申し訳ありません。若い3人の冒険者が中魔石を沢山持って帰ってくるとか、階層主を倒したとかですね』
『本当だよ。ギルドカードに証あったでしょ』
『確かに間違い無く噂通りです。いくつかの物件を見てみますか?』
『よろしくお願いします』
4件の物件を見て回り、最後の一件でフローネは驚く
『この物件も売りに?』
『主が亡くなり、息子は王都で住んでいるので、この物件の処分をしたいとしばらく前から打診がありましたが、これだけの物件ですから、買い手がなかなかいないのです』
『そうでしょうね。周りも周りですから滅多な人には売れませんよね』
『ちょっと中を確認して良いかな?』
『良いですよ』
みんなで中を確認しに行くと部屋の数も、馬車用の倉庫に別建屋があり、広かった
『この物件良いですね。別建屋は工房に向いていますし』
『地下室の倉庫と馬車用の倉庫も良いよね』
『門もしっかりしています』
『広いけど掃除が大変そうですね』
後ろで話を聞いていた何でも屋が
『掃除などは下女や奴隷を使えば良いと思います。紹介も致します』
『そうだね。どうする?』
キリシアがみんなを見ている
『金額的には金貨1300枚と言っていましたが、1000枚で交渉しますが、手数料も少しかかりますが、いかがでしょうか?』
『わかりました。お願いします。手数料はどのぐらいですか?』
キリシアは、リリシャとマルスを見てから返事をする
『金貨5枚で大丈夫です』
キリシアは財布から金貨を取り出して渡すと、何でも屋は驚き、フローネを見る
『この子達は買うと決めたようなので頑張ってくださいね』
フローネは笑顔で言うと
『支払いは最初に纏まった金額が必要ですが、どのぐらいを用意して、どのぐらいの期間で支払いますか?』
『ん?金貨1000枚なら全部一括で払います』
『え?持っているのですか?』
『ギルドに預けてある』
何でも屋はフローネを見る
『この子達は常識がありませんので、本来は数年かけて支払う約束をする事も解っていませんが、資金は用意出来ていると思いますよ』
『そうですか。一括でというのは良いですね。交渉材料になります。ギルドから支払い能力の保証をして貰えればさらに良いですね』
『ヘザーネかバイルに聞いてくれれば解るよ』
『直ぐに交渉に向かいます』
『ついでだから、ギルドで話もする?』
『そうして頂けたらありがたいです』
ギルドに向かい
『ヘザーネ、ちょっと良いかな?家の件で』
『わかりました。奥にどうぞ』
応接室に、キリシアとリリシャとマルスとフローネと何でも屋が入り
『良い物件が有ったので買おうと思っているけど、価格交渉して貰うんだよね』
『マスターも呼んできます』
ヘザーネは直ぐにバイルを連れてくる
『良い物件が見つかった様で何よりです。どの辺りの家ですか?』
バイルの言葉に何でも屋は物件の事を伝えるとバイルは笑う
『あそこですか、ちょうど良いですね。治安も良いですし、魔法使いにとっても、工房を作る必要が無いですからね』
『支払能力の確認をしたいのですが、よろしいですか?』
『どのぐらいですか?』
『金貨1000枚で交渉するつもりです』
『問題ありません。今日必要ならば、直ぐに用意します』
『1000枚も持って交渉に行くのは怖いので、支払能力が有ることを書いて頂ければ有り難いです』
『直ぐに用意します』
『ありがとうございます』
『ギルドマスター、ヘザーネ、またね』
用事が終わりギルドを出ると
『まさか本当に直ぐに用意して貰えるとは・・・急ぎ王都で交渉をしてきます』
何でも屋は翌朝王都に向かった