リベリアの平和な?1日
翌日、宿屋の食堂に行くとエミールとミリアが席で話している
『おはようございます、マルス師匠』
『エミール、ミリア、おはよう』
『ライラさんの料理美味しいです』
『ライラさんの御飯が有るから、キリシアとリリシャはこの宿屋にするんだよね』
『解る気がします』
『どうぞ、マルス師匠』
アニーが御飯を持ってくる
『アニー、ありがとう』
キリシアとリリシャが食堂にくる
『おはよう』
『キリシアさん、リリシャ師匠、おはようございます』
ルメイルも食堂に来る
『みなさんおはようございます』
『ルメイル、おはよう』
アニーがみんなの御飯を次々と運んでくる
『アニー、ありがとう』
『今日は、まずはギルドに行きますよ』
みんな頷き同意する
ギルドに着いて中に入ると
『キリシアさん、リリシャさん、マルス君、エミールさん、ルメイルさん、おはようございます』
『ヘザーネ、おはよう』
『後ろの2人は?』
『はじめまして、ミリアです。よろしくお願いします』
『はじめまして、アニーです。よろしくお願いします』
『ご丁寧に、こちらこそ、ミリアさん、アニーさん』
ヘザーネは2人のギルドカードを確認して
『奥の部屋で話しましょう』
奥の応接室に通される。しばらくするとバイルとゼタルが入ってくる
『お久しぶりです』
『ギルドマスター、久しぶりです』
『帰る途中でグリーンベアを倒して頂き、ありがとうございます』
『襲ってきたから倒しただけ』
『討伐の成功として処理しますので、報酬はお支払します』
バイルの言葉にキリシアは
『私達の取り分は村に寄付してください。村が荒れていたので再建に使ってください』
キリシアの言葉にバイルは驚く
『村は喜ぶと思いますが、よろしいのですか?』
『お金は迷宮で稼ぎますから』
『わかりました。村には私から話しておきます』
『また、旅で寄ることもあるので、[その時はよろしくね]と伝えておいてくださいね』
バイルは頷き
『では、私はこれで失礼します』
バイルは立ち上がろうと
『ギルドマスター、アーメルドのギルドマスターから手紙を預かっています』
リリシャが手紙をバイルに渡す
『ありがとうございます』
バイルは手紙を読み始め
『揉め事に巻き込まれてしまった様で、手紙が役に立って良かったですが、アーメルドのギルドマスターと領主はかなり感謝しているようですね』
『ちょっとね』
キリシアが言うと
『後で顛末の報告が来たらお渡ししますね』
バイルはそう言って出ていく
『向こうでも何かしたのか?』
『襲ってきた愚か者を叩き潰しただけ。襲ってきた方が悪い』
『ワハハハ襲われたか、愚か者め、相手の実力も見ない方が悪い』
ゼタルは大笑いする
『北の領主の息子に会ってきたぞ』
『どうだった』
『楽しかったぞ!ちょっと闘気を教えたら、凄い喜び、また来て欲しいと言っていた。本当に気が合って良いやつだな!』
『体の調子はどうだった?』
『凄く元気で修行しまくっていたぞ』
『完全に元気になって良かった』
『魔石の買取価格が決定しました。19層が金貨3枚で、20層が金貨4枚です。ゴーレムの鉱石は金貨3枚に決定です。口座に預かっています。又、依頼の方も全て代行完了しています。宮廷魔術師に出した魔石は100個全部見た後で、必要な分だけでも良いですと言ったのですが、100個全部引き取ってくれました。やはり国の機関はお金持ちですね』
『ありがとう、ヘザーネ』
『質問があるのですが、口座って何ですか?』
ミリアは質問する
『口座は特定の冒険者がギルドにお金を預けることです。冒険者は金貨を持って迷宮を探索したりすると大変ですからね』
『解りました。師匠達はどのぐらい預けているのですか?』
『う~ん、知らない。魔法学院に入って3年は持つとは思うけどね』
キリシアの言葉にヘザーネとゼタルは苦笑いする
『知らないのですか?』
『口座出来たの最近だし、生活に困ってないから気にしてないよ』
『そうですね。素材買うのに金貨数十枚を持ち歩いていましたし・・・・』
『家買うからもう少し貯めないとね』
『家を買うのですか?リベリアの価格からしたら金貨1000枚で凄い家が買えますよ』
『そうなの?』
『キリシアさん達であれば、もう少し安く買えるかもしれません』
『それならば良いけどね』
キリシアは笑う
『貯めなくても、もう貯まっていますよ。物件が決まったら教えてくださいね』
『ヘザーネ、ありがとう』
ヘザーネの言葉にキリシアが返事すると、ミリアとアニーは驚いた顔で
『もう貯まっているのですか・・・・』
『そうみたいだね、20層の魔石200個ぐらい有ったからかな?』
『師匠達の凄さが解ってきました・・・師匠を敵に回したら大変な事になりますね』
ミリアは、リーベルやアーメルド領主やギルドマスターの言葉を思いだし、師匠達を見つめる
『依頼は溜まったのかな?』
『ボツボツ入ってきていますが、クレーム言ってきそうな人はしばらくはいないと思います』
『じゃあ修行優先かな?』
キリシアがいう
『よろしくお願いします』
ルメイルが言う
マルスはエミールとミリアとアニーを見て頷く
『ヘザーネ、またね』
『お待ちしています』
フローネの家に向かい
『フローネ先生、いますか?』
『おかえりなさい』
『フローネ先生、ただいま』
家の中に入り
『家の予算はどのぐらいにしますか?』
『ヘザーネと話していたら、1000枚で良いかなと思うけど』
『1000枚ですか・・・金銭感覚が狂っていますね』
フローネは呆れ返る
『金銭感覚?確かにこの頃、お金沢山持っていますからね』
『革を買うのに在庫全部要求するしね』
『え?在庫全部ですか?そんな買い方を・・・・』
『そんなに高そうで無かったからね。魔力の通る革はなかなか手に入らないし』
『そんなに何に使うのですか?』
『防具と鞄とか馬具にね』
『馬具に使うのですか?そんなに高価な物を・・・・』
『魔道具にすると凄いですよ』
『え?まさか試したのですか?』
『快調に帰ってこれましたよ』
『後で確認します・・・・付与はマルスですか?』
『そうです』
フローネは呆れる[とんでもない魔道具を作ってなければ良いのですがはぁー]
『エミールの魔法学院の願書、そろそろ出した方が良いですね』
『解りました』
『3ヶ月後、試験ですからね。勉強しましょうね』
『はい!』
『実技はこれ以上学ぶと大変な事になりますから、ほどほどにね』
『あっはい!』
『あのーフローネ様、エミールさんが魔法学院に行く必要があるのですか?』
ミリアの質問にフローネは
『ありません!有るとしたら魔法学院の秘書を読みに行くぐらいです!』
『そうですよね。宮廷魔術師より凄いですからね』
『もし止めてなければ、王国で3番目に凄い魔法使いになっていたと思いますよ』
フローネは苦笑いする
『やはりリリシャ師匠とマルス師匠の魔法は凄いのですか?まだ見たこと無いのですが・・・』
『常識外ですね』
『そんなに凄いのですか?』
『岩場で魔法練習する?』
マルスの言葉にミリアは目を輝かす
『今から準備して行きましょうか?』
『はい!』
エミールとミリアは喜んで声をあげる
岩場に着いて練習を始める
『最初は私が魔法を見せますね』
リリシャはそう言うと
『アクアカッター』
『フリーズストーム』
『ファイヤーボール』
ミリアとアニーは驚き尻もちをつき呆然とする
『2人とも大丈夫ですか?』
『今、詠唱をしていないぐらい早かったようですけど・・・・』
『凄すぎてなんて感想を言えば良いのか解りません』
ミリアとアニーはまだ戸惑っている
『ミリアさん、アニーさん、リリシャの魔法に詠唱は必要ありません。無詠唱ですから』
フローネの解説に
『無詠唱!!そんな・・・詠唱無しで魔法が使えるなんて・・・』
『全てマルスのお陰ですよ』
リリシャは微笑みながら言うと
『次はマルスね』
マルスは手に魔力を集中して炎の玉を作り、飛ばす
[ドカン]
『え?・・・・・』
ミリアとアニーは何が起きたのか理解不能になる
『解りましたか?師匠達の凄さが』
『何をしたのですか・・・』
『幻覚ですか?』
フローネは2人に向かって
『理解出来ないのも仕方ないですね。古代魔法の無詠唱と古代魔法以上の魔法を見てしまったら、この2人にはもう驚くのも理解するのも諦めて、マルスとリリシャだからと思って慣れてください』
『うっ、わかりました』
ミリアとアニーは呆然としながら2人を見る
『仕方ないから弟子にして貰うなんて言わない様にね、ミリア』
エミールは笑顔で言うと
『すいませんでした・・・こんな凄い方に両親にも見捨てられた私を拾って貰ったことを感謝致します』
マルスとリリシャはミリアを見て微笑んでいる
しばらく休憩後
『アニーは落ち着いたかな?落ち着いたら魔法を見せてくださいね』
『わかりました』
『・・・・・・ウインドカッター』
『・・・・・・ウインドボール』
『風魔法が得意なのですね』
『生活魔法が得意なのでそうなります』
『生活魔法ですか?自分も生活魔法を覚えようかな?』
『使えたら便利ですね。魔道書を探しましょうか?』
『そうだね』
『次はミリアだね』
『はい・・・・才能無いので・・・』
『・・・・・・・・・アクアボール』
『・・・・・・・・・ファイヤーアロー』
『魔力制御は出来てきたけど、発動方法の修正から始めようか?』
マルスの言葉にミリアは首を傾げる
『アニーさんは魔力制御だけでしばらくは大丈夫だと思いますし、魔力制御と魔力が上がったら火と氷の魔法を覚えましょうね』
『わかりました。頑張ります』
『ミリアは魔力制御と魔法の発動に慣れる事ですね。根本的に間違えていますから』
『才能が無いので、すいません』
『魔力制御は会った時よりも数段良くなっていますよ』
『私はエミールとアニーを見ていますね』
リリシャはそう言って2人と練習を始める
『ミリア、魔力制御から始めようか?』
『はい!』
『まずは手に魔力を集めて』
ミリアは手のひらに魔力を集中すると少し魔力の光が淡く輝く
『ほらね、前と違うでしょ』
『毎日やっているので違いが解らないです』
『逆の手に魔力を移動させて!』
もう片手に魔力を集める
『次は触った所に魔力を集めてね』
肩や手や足に魔力を動かして最後に喉に魔力を集める
『魔法を使ってみて』
『・・・・・・・・・アクアボール』
ミリアはいつも通りに魔法を発動する
『次は声に魔力をのせて発動して』
『声にですか?』
マルスは頷く
『どうすれば良いか解りません』
『魔力を集中して、声を出すときに魔力に念じるように詠唱してみて』
『わかりました』
『・・・・・・・アクアボール』
さっきよりも大きなアクアボールになり飛んで行く
『え?何故』
『詠唱は魔力を変質させる為に使われているから、魔力を込めれば発動した時の状態が正確に表されるんだよ』
『そうなのですか?じゃあ正確に魔力を込められれば、魔法は発動出来るのですか?』
『それが詠唱魔法だと思うよ。無詠唱は魔力を完全に制御して、その効果を別の方法で発動するから、難易度が高いんだよね』
『発声練習をすれば上手く出来る、と言われて練習していたのは無意味だったのですね』
『そう言うことだね』
『次は杖にも魔力を集中しながら魔法を発動してね』
『わかりました』
『・・・・・・アクアボール、
え?威力が上がった?』
『そう言うことだね』
ミリアは笑顔になる
『今の感じを忘れないように練習してね』
『はい!』
『疲れたら休憩ね』
ミリアは数発で疲れて休憩に入る
『マルスはたった2回で普通の魔法使いの魔法を使わせるなんて呆れるとしか言えないですね』
フローネはそう言って笑う
『凄いです・・・何時も怒鳴られたり叩かれたりしながら練習をしていたのに・・・マルス師匠は説明だけで修正してくれてありがとうございます』
『ひどい指導ですね』
『ミリアも魔力総量と魔力制御をしばらくすればエミールみたいになれるよ』
『本当ですか?』
『また、エミール級にするつもりですか?』
『魔法学院に入る前にリリシャに追い付いてもらうよ』
『ミリア、マルスは常識が全く無いので、下手したら本当に無詠唱まで教えるつもりの様ですから、常識だけは忘れない様にしてくださいね』
『え?えーーーー無詠唱までですか?』
『魔力制御が完全に出来るようになったらね』
『マルスの常識外れぶりが少しは解りましたか?』
フローネの言葉にミリアも頷く