オベリストリア王国決戦 後編
『なんだ!!あのデカブツ!!』
オルガーが近付く巨大な従魔を見て叫ぶ
『あれは・・・ベビーモス!!』
エミールが大声をあげると、視線の先に2本の角を持つ巨大な牛顔の魔獣が近付いてくる
『グゼリオンス王国に逆らう者よ! 最強の魔獣の力を思いしるが良い!!』
キマイラに乗る男が大声で言う
『グォーーーーーーーーーーー!』
ベビーモスが咆哮をすると、エミール達に突進してくる
『バリアフィールド』
エミールがバリアを張ると、ベビーモスが体当たりして、バリアが歪み弾けそうになる
『バリアフィールド』
エレーヌが慌ててバリアを張り、ベビーモスが止まる
『グォーーーーーーーーーーー!』
ベビーモスが、咆哮あげながら暴れ始め、近くの従魔の死体を弾き飛ばしている
『キリが無い!! 吹き飛べ!!』
『ファイヤーバースト』
エミールが、魔力を集めて魔法を放ち、ベビーモスの頭に当たり、ベビーモスの頭が魔法で吹き飛び、ベビーモスは力無く倒れる
『何が・・・』
従魔使いの男が呆然とベビーモスを見ている
『お仕置きの時間ですよ』
『ファイヤーボール』
エレーヌの魔法が、キマイラの頭をふきとばして、爆風で従魔使いが地面に転がる
『誰がエサですか?』
エミールが微笑みながら見ている
『うううう嘘だーーー! ばっばっばっ化物!!』
従魔使いが大声で叫ぶ
『誰が化物ですか?』
エレーヌが睨みながら言う
『来るな!! 化物!!』
従魔使いが、エミールを見て後退りしている
『ポイズン』
『ギャーーーーーー!!』
エミールの魔法で、従魔使いが苦しみのたうち回り、兵士達が見て逃げ始める
『エレーヌ、逃げられますよ』
エミールが兵士を見て言うと、急に倒れ始める
『逃がしません』
エレーヌが微笑みながら魔法を使っている。オルガーとイースが顔を見合わせて周囲を警戒している
(近付かせないように、警戒しないと・・・)
マルスはシルバーから降りて、オベリストリア王国軍に近付く
『アーゼラストリア将軍はいますか?』
『へ? アーゼラストリア将軍? 何?』
オベリストリア王国の兵士は呆気に取られて聞き返す
『リオンド・ベクラードの騎士達は?』
マルスが真剣に聞く
『あっちにいたと思います・・・』
兵士が唖然と言うと、マルスはシルバーに乗って、走っていき、兵士達は呆然とマルスを見ている
『アーゼラストリア将軍は?』
マルスがリオンド・ベクラード王国騎士に聞く
『何者だ!!』
騎士が我に返ったように叫ぶ
『どこにいますか? あ! 騎士を連れてきてなかった!!』
マルスが思い出して、大声で言う
『何用だ!! 従魔使い!!』
アーゼラストリアが睨みながら怒鳴る
『アーゼラストリア将軍? ちょっと待っていてください』
マルスが慌てて言うと、シルバーが疾走する
『は? 何が・・・』
アーゼラストリアが唖然と、マルスの後ろ姿を見送る
『将軍何が・・・・』
騎士達が呟く
『それは・・・知りたいが・・・従魔使いが何用? そもそも何故味方を?』
アーゼラストリアが唖然と呟く
(味方なのか? それとも・・・どこから来た?)
マルスが戻ってくると、数騎の騎馬が後ろを付いてくる
『アーゼラストリア将軍!!』
騎士が笑顔で叫ぶ
『何故宮中騎士が!!』
アーゼラストリアが騎士の鎧を見て叫ぶ
『よくぞ無事で!! イーケル王子様よりの指示です!! すぐに外交担当を呼んでください!!』
『え! イーケル王子様は無事なのか!! 本当に!』
アーゼラストリアが笑顔になり叫ぶ
『時間が有りません!! 1つ言える事は、クライドルト王国の援軍が着陣して、王都は奪還しました!』
騎士が大声で言うと、聞いていた騎士達が歓声をあげる
『クライドルト王国!! 何故!!』
アーゼラストリアが驚き叫ぶ
『後始末任せた!!』
マルスが笑顔で言う
『畏まりました、英雄様!!』
騎士が明るい顔つきで真剣に言う
『は? 後始末?』
アーゼラストリアがマルスを見て言うと、マルスはグゼリオンス王国軍の方に向かっていく
『アーゼラストリア将軍、すぐに外交担当を呼んでください・・・後は、リベリアの英雄様の事を秘密にするように約束してください』
騎士が真剣に言うと、アーゼラストリアに説明を始め、騎士が外交担当を呼びに走る
『あの青年が・・・噂のリベリアの英雄様・・・』
アーゼラストリアが呟く
アーゼラストリアと外交担当にイーケルの手紙を手渡して、騎士は詳しく説明とイーケルの伝言を伝える
『良かった・・・王族が生き残っていて・・・クライドルト王国に感謝しなくては』
アーゼラストリアが涙を流しながら言う
『すぐにオベリストリア王家に伝えます・・・それに勝利宣言も』
外交担当が、グゼリオンス王国の軍勢を見て苦笑いする
『報告よりも・・・説明か・・・』
アーゼラストリアが真剣に言う
『それよりも・・・後始末です! あれだけの捕虜を逃がす訳にいきません』
騎士が真剣に説明をする
『これは・・・大変だな』
『もしかして、任せたら帰ってしまうのですか?』
アーゼラストリアと外交担当が苦笑いしている
『もう帰る準備をしていると思います。』
騎士が真剣に言うと、王都に向かって移動する
王城の国王の私室に向かう
『アーゼラストリア将軍、緊急事態に何用だ?』
国王が真剣に外交担当とアーゼラストリアを見据えて聞く
『イーケル王子様より指示で帰国する必要があります。詳細はこの宮中騎士に聞いてください』
アーゼラストリアが騎士を紹介する
『クライドルト王国騎士団とリベリアの英雄様が援軍に到着し、リオンド・ベクラード王国王都は奪還。グゼリオンス王国軍を次々と駆逐しています。国境を超えて進軍しているのを知り、グゼリオンス王国軍を駆逐する為、ここまで侵入してしまった事を許して欲しい』
宮中騎士が真剣に説明とお詫びをする
『グゼリオンス王国軍を駆逐・・・クライドルト王国とリベリアの英雄様?噂のリザードを退けた英雄殿か?』
国王が真剣に聞く
『はい、ただし、秘密にして欲しいそうです。こちらにイーケル王子様とクライドルト国王陛下がリオンド・ベクラード国王宛の手紙も有ります。又、ベルゼレス王国からの親書も預かっています』
騎士が手紙を差し出すと、真剣に読み始めて、頭を押さえ始め、考え込む
『これだけの事を秘密とは・・・伝承か何かの神の名前か・・・こんな事を重臣達に言ったら、荒れるな』
国王が苦笑いしている
『褒美も名誉も名声も地位も領地もいらない英雄様です・・・王都も奪還して、一言後始末よろしくで、イーケル様が頑張って後始末しています』
騎士が真剣に言う
『民が救われたのは、事実だろうが・・・納得出来る説明を考えなくては・・・リベリアの英雄様に会うことは出来ないか?』
『あの英雄様ですから・・・来ないと思います』
『解った・・・』
国王が諦めたように言う
『国王陛下、会いに行ってきます』
国王の隣で見ていた、王太子ゼラストが真剣に言う
『ゼラスト、任せる。代理で会って判断して欲しい』
国王が真剣に言う
『どれ程の実力か見て決めます。驚異なら・・・相討ち覚悟で・・・・』
ゼラストが決意を固めた顔付きで言う
『最後まで護衛します』
アーゼラストリアが真剣に頭を下げて言う




