アニー
『オルクス、居ますか?』
『お待ちください』
店員はそう言って奥にいくと、奥からオルクスがやってくる
『お待ちしていました』
箱を開けてローブを出す
『こちらが仕上がったローブです』
『綺麗』
リリシャはそう言って手に取ると
『着てみていいですか?』
『サイズを確認してください』
リリシャとエミールは奥に行き、着替えてくる
『魔石が大きいけど、大丈夫ですね』
リリシャはぐるっと回って
『どう?』
『気品があって似合っているよ』
『ありがとう』
続いてエミールも戻ってくる
『どうでしょうか?』
『似合っているよ』
エミールは笑顔になる
『エミール様のローブは少し大きめに作ってあります』
『素晴らしい出来ですね』
『これ程贅沢に水蜘蛛の生地を使ったローブでしたので、気合い入りました。それに魔石と鉱石も初めての大きさでしたので、職人としてうれしいばかりでした』
『後は付与魔法ですよね』
『成功するまで何回でも作り直しますので頑張ってください』
『マルス、このローブは大丈夫そうかな?』
ローブを触って確認しているマルスに聞くと
『多分大丈夫だと思う』
『この町で付与魔法出来るのは、リーベルさんの所かな?貸してくれるかな?』
『私の方から頼んでみますね』
オルクスが微笑みながら言う
『明日か明後日、準備が出来たら行こう』
マルスが言うと
『そんな早く準備出来るのですか?』
『マルスだから!』
キリシアが笑みを浮かべて言う
宿に帰って準備をする事にして宿屋に向かう
『ミリア様』
1人の女性が宿屋の前で待っていた
『え?アニーどうしているの?』
『お暇を頂き、追いかけて来ました』
『どうして・・・・』
『リリシャ様、お願いがあります。私も弟子にしてください。魔法は不得意ですが、家事や掃除等は何でも出来ます。お願いします』
深々と頭を下げて頼み込む
リリシャはマルスとキリシアを見て
『アニーさん、事情があるのですか?』
周りを見て
『言いにくいのですが・・・』
『部屋で話はお伺いしますね』
『ありがとうございます』
アニーを連れて部屋に入る
『今回の件で伯爵家にいることが嫌になり、奥様に暇を頂きたいと言ったのですが、ミリア様の面倒をみてほしいと頼み込まれてしまい、私もミリア様を妹のように可愛がっていたので、こちらまで来ました』
手紙を出してリリシャに渡す
リリシャ様、申し訳ありません
アニーはミリアの世話をしていた者です。今回のミリアの追放で、伯爵家にいることが嫌になってしまいました。そして恐らくミリアの後を追うと思い、私からミリアの事を頼み、このような干渉はしてはならないと解ってはいますが、どうかお願いします。一生、ミリアとアニーに会うことも連絡を取ることも無いと約束致します。又、この事は夫には内緒にしています
リリシャは読み終えキリシアとマルスを見て
『どうしようか?』
『帰ったら家を買わないといけないから、アニーに家事をしてもらう?』
キリシアが答える
『家買うの?』
『弟子が増えたからね』
『良い物件見つけられるかな?』
『頑張ろう』
『資金も集めないとね』
『迷宮に本気で潜らないとね』
『アニーさんには魔法と剣術教える?』
『それが良いね』
『決定だね』
『アニーさん、剣と魔法、両方覚えて貰いますが、いいですか?』
『はい!わかりましたが、何故両方?』
『家に強盗が入ったら接近戦になるから覚えておいた方が良いかなと思った』
『成る程わかりました』
『あと1つ解ってほしい事があります。ミリアと一緒にいられるのは2年になると思います。魔法学院卒業するまで会えなくなります』
『ミリア様は魔法学院に行けるのですか?』
『マルスと一緒に入学させます。よろしいですか?』
『勿論です。卒業までリリシャ様とお待ちします』
笑顔になりリリシャに頭を下げる
マルスとリリシャは魔力制御を使いながらローブの付与の準備を始める
『この町で訓練できる場所無いかな?』
『ギルドで聞いてみますか?』
『リリシャ、ちょっとギルドに行ってくる』
キリシアとルメイルが出て行こうとする
『エミール、ミリアとアニーを連れてキリシアと一緒に魔法の練習出来る場所が有ったら一緒にしてきてください』
『はい!師匠』
『行くよ』
キリシアが言って出ていく
ギルドで聞いて、町を出て荒れ地に行き、訓練を始める
キリシアとルメイルは剣と槍で打ち合い
エミールはミリアとアニーの前で魔法を次々放つ
『・・・・・ウインドカッター』
『・・・・・アクアカッター』
『・・・・・ファイヤーアロー』
『・・・・・フリーズアロー』
『・・・・・ファイヤーボール』
撃ち終わり、ミリアとアニーを見ると
『凄いです・・・・初めて見せて頂きましたが、こんなに連続で魔法を撃てるなんて・・・』
『エミールさんは本当にリリシャ様の弟子なのですか?』
『リリシャ師匠とマルス師匠の弟子です』
エミールは自慢げに言うと
『師匠達はもっと凄いのですか?』
『凄すぎてもう常識が通用しません』
『リーベル様も凄いと言っていましたが、まだ魔法を見たこと無いので楽しみにしておきます』
『次はミリアの番ね』
『わかりました・・・』
『・・・・・・・・・アクアボール』
『・・・・・・・・・ファイヤーアロー』
ミリアは恥ずかしそうにエミールを見る
『リリシャ師匠に弟子入りする前の私みたいです』
『エミールさんと同じなのですか?』
エミールは頷く
『リリシャ様の指導は凄いのですね』
『リリシャ師匠もですが、マルス師匠が居なかったら、私は魔法を諦めていました』
『マルス様ですか?』
『すぐに凄さが解ると思います』
エミール微笑みながら言う
『楽しみにしておきます』
『次はアニーさんの番ね』
『わかりました』
『・・・・・・・ウインドボール』
『・・・・・・・ウインドショット』
『・・・・・・・ウインドカッター』
『アニーさんは風魔法が得意なのですか?』
『生活魔法が得意なのです。侍女でしたので』
『私も生活魔法覚えたいですね』
『生活魔法よりも攻撃魔法が得意なのであれば生活魔法等覚えなくても・・・・』
『全ての魔法を覚えたいですよ』
『え?全部ですか?』
『師匠の役に立ちたいから、全部覚えたいですね』
『凄いです。エミールさんは』
[ドン]
振り返るとルメイルが弾き飛ばされていた
『エミール、回復魔法お願い』
『わかりました』
エミールはルメイルに回復魔法を使い回復させる
『え?回復魔法・・・』
『そんなことが・・・・』
ミリアとアニーは見合わせる
『攻撃魔法だけでなくて回復魔法も使えるなんて・・・』
『エミールさんも魔法学院卒業しているのですか?』
『今年入学試験受けるけど』
『え?えーーーー』
『そっそんな・・・・』
ミリアとアニーは固まる
『ミリア、アニーどうしたの?』
『エミールさんは15歳なのですか?』
『そうだよ?』
エミールは首を傾げる
『宮廷魔術師の試験受けるレベルと思いますが・・・・』
『フローネ先生も同じ事を言っていたけど、まだまだ半人前だよ。師匠達は凄いですから』
『リリシャ様とマルス様』
『リリシャ師匠とマルス師匠と言わないとダメですよ。アニーさん』
アニーは頷く
夕方になり宿屋に帰る