シルトバス伯爵と愚か者
シルトバス伯爵が到着したと使いが来たので、領主の館に向かう
領主館に着き、案内された部屋に入ると、伯爵とギルドマスターとリーベルが既に集まっていた
『遅くなりました』
『冒険者殿』
伯爵はそう言うと睨んでくる
『シルトバス伯爵、話はリーベル殿と冒険者がシルトバス伯爵の兵士に襲われた。返り討ちにした所で捕えてある』
『え?なんですと!!』
捕えてある者達を連れてきて
『お前は!!何故だ!どう言うことだ!!!』
伯爵は怒りの言葉を男達に向ける
『伯爵の家臣で間違いないようだな』
『間違いないが、どうしてだ!!』
『我領内で襲い、返り討ちで捕えただけならば、こちらで処分するだけだが、今回は、シルトバス伯爵家の名誉のためとか色々良いながら、具体的な事を言わないのと、襲うように指示を出した者も同罪だから、それを突き止める必要がある』
『何だと!!シルトバス家の兵士だ直ぐに解放しろ!』
伯爵は言うと
『もし、解放しないならどうなるか解るだろう!』
『揉み消す事は今回は不可能だ!』
『何だと!!シルトバス家の言うことが聞けないのか?』
『ギルドマスター、説明をしてくれ』
『今回は襲った相手が悪かったと言うことですね。リベリアギルドマスター、リベリア領主とリベリア警備隊隊長と北の領主と騎士団に報告義務が生じています。又、今回の件で冒険者がギルドを通して流通させている中魔石もシルトバス家に渡らないように条件を付けて買い取りとなりますので・・・』
『何で騎士団や北の領主やリベリアが・・・』
『相手が悪すぎただけです。相手も調べずに襲った馬鹿を処分しないと、シルトバス家自体、危ないですよ』
『それがどうした!何とかなる!』
『さらに王国に献上する品の献上中止も国王に通達するそうです。シルトバス伯爵家の原因と言うことになり、今回の事は国王に報告も必要になるが、良いですか?更に宮廷魔術師にも中魔石や鉱石の件で報告がいくことになるので、立場が悪くなりますよ』
『え?国王に宮廷魔術師まで・・・』
『アーメルドも今回の件の事で交易を中止します』
『そんなこと・・・・』
伯爵は崩れ落ち、両手をつく
『伯爵が約束を守らせなかったのが悪い。国王に聞かれたら、言わざるを得ないです』
キリシアが言うと
『何者なのだ!お前達は?』
『リベリアの冒険者ですよ』
『冒険者が何で!』
『伯爵はギルドカードを確認しなかったから、知らなかっただけですよ』
リーベルが言うと
『リーベル殿、あなたは解っていたのか?』
『上級者だとは解っていましたが、ここまでとんでもないとは思いませんでした。』
『ギルドカードを見せてくれ』
キリシアがギルドカードをみせる
『シルバーのギルドカード!!階層主の証!!ジェネラルゴブリン討伐の称号!!ヴァンパイア討伐の称号!!こんな事が・・・』
『わかりましたかな?』
『北の領主と騎士団・・・ヴァンパイア・・・リベリアの英雄なのか?』
伯爵が言うと
『リベリアの中魔石、すべてこの者達が持って帰ったものだから、この者達が流通を止めたら、魔道具作成が出来なくなる事も理解出来たのだろう』
『噂は聞いている』
領主の言葉に伯爵は肯定しか出来ない
『最早、行動しか方法は無いのは解ったと思うが・・・』
『わかっている!愚かな息子を・・・・まずは愚かな家臣を捕えねば』
伯爵は意思を固め
『お前達は息子からの指示でやったのだな!!!』
『それは』
『はっきり言え!』
『次期当主の命令です』
男達が言うと
『何故、止めなかった』
『シルトバス家の為にございます』
『何故だ』
『次期当主ならばシルトバス家を繁栄できるからです。沢山の魔道具で王国最大勢力も夢では無いですから』
『愚かな』
『宮廷魔術師に劣らない付与魔術師が多くいますので可能です』
『魔石が無くてもか?』
『そ、それは・・・・』
『最早その夢は潰えた。証拠はどこかに残っているか?』
『うっ・・・ありません』
侍女が入ってきて、領主に困った様子で
『シルトバス家の伯子様がこられて通せと言っていますが・・・』
『私達は席を外しますか?』
『隣の部屋で待っていてくれ』
リーベルと一緒に移動して待機する事にする
『あやつはなんと言うかな?』
『愚か者で無ければ尻尾は出さないだろう』
『父上、これはどう言うことですか!私の兵士が捕らわれているのは!!』
『リーベル殿と冒険者を襲い、返り討ちになり捕まっただけだ!』
『アーメルド領主、こんなことをしてただですむと思っているのか!!?』
『盗賊には刑罰が必要ですからな』
『リーベルと冒険者が盗賊だろ!』
『何を言っている?』
『奴らが盗賊だから、俺の命令で捕えさせる為に送り込んだ!文句あるか!!』
『もう一度確認するが、お前の命令で襲わせたのだな!』
『そうだ!』
『アーメルド領内で襲わせたのだな!』
『そうだ!何か文句あるか!!』
『大問題ですね。領主に断り無く兵士を送ること自体が、シルトバス家は取り潰しですな』
『アーメルド領主が黙っていれば問題ない』
『今回の件は国王陛下や騎士団、宮廷魔術師、リベリアギルドに報告義務が生じています』
『は?何だと!!』
『まだわかりませんか?もうあなたは終わりです』
ギルドマスターが言うと
『何だと貴様!!』
『この愚か者を捕えろ!!』
アーメルド領主が言うと兵士が取り押さえる
『放せ!!こんなことをして、シルトバス家を敵に回してただで済むと思うなよ!!』
『愚か者!!お前は最早シルトバスの名を名乗ることは許さん!!』
『何だと!!俺様が居なければシルトバスは王国一の家にならんぞ!!!』
『愚か者が今回の相手が死んでいたら、シルトバスに中魔石も来ない事になっていたのもわからんのか!!!』
『何故だ!!』
『リベリアの中魔石を取ってきているのは、今回襲った冒険者達だ!!それ以外にいない!!』
『へ?』
『今回の件で、中魔石はシルトバスにもう来ない!!それどころか国王に報告したら間違いなくシルトバス伯爵家は取り潰しだ!!何をしたかわかったか馬鹿者が!!』
『何故だ!どうしてだ!しょせん冒険者だろ!!』
『冒険者だが英雄だ!!ヴァンパイアを倒した者達を相手に勝てると思っていたのか!!』
『馬鹿な・・・・・・』
『アーメルド領主、頼みがある。この愚か者の処刑を任せたい』
『わかりました・・・・辛いですな・・・』
『ここまで愚か者とは思いませんでした、わざわざ黒幕だと自分から言ってくるとは・・・・まだ余罪があるかもしれないので、そこも調べ尽くしてください』
『厳正に取り調べします』
愚か者達が牢屋に連行されて行く
『申し訳ありません。愚か者が・・・』
『この事はリベリアや騎士団にも報告しておきます』
『アーメルド領主がちゃんと処刑してくれたらそれで良いよね』
『え?それでは済まないのでは?』
『ギルドマスター、アーメルド領主が処刑をしたのを確実に確認してください。それまで通達は保留で!』
『わかりました』
『これでここにいる人以外は今回の件は知らないと言うことで』
キリシアの言葉に伯爵と領主は驚きながらギルドマスターを見る
『キリシア殿達の安全が確保されれば良いと言うことですな』
『そういうこと。伯爵、貸しだからね』
キリシアが言うと
『約束は守らせます』
伯爵は頭を下げて言う