国境の戦い
3日後、グゼリオンス軍の後始末を終わらせ、森を出て、グゼリオンス王国軍の駐屯地を目指して進み始める。獣人の戦士達も、アードラの後を歩いて進んでいる
『マルス師匠、ヘルゼレス王国騎士団も到着します』
カミラが前方を見ながら言う
『まだ開戦してないね』
マルスが笑顔で言うと、シルバーが疾走して、ヘルゼレス軍に近付く
騎士が気が付き、慌てて走ってくる
『英雄様!! セレスバイン様がお待ちです!!』
騎士が笑顔で言うと、マルス達は、狼から降りて会いに向かう
『マルス殿!! 獣人達はどうなっていましたか?』
セレスバインが真剣に聞く
『後少し遅かったら、ヴァルファーを助けられなかった』
マルスが笑顔で言う
『ヴァルファーでも撃退しきれなかったのか!!』
『獣人達も協力してくれるから、食料を用意して貰っても良いかな?』
マルスが真剣に聞く
『獣人達の援軍は、ありがたい!! 実際、ヘルゼレス王国軍だけでは、厳しい戦いになる』
セレスバインが真剣に言う
『よろしくね』
マルスが笑顔で言うと、セレスバインからグゼリオンス王国の戦力を聞く
マルスは翌朝、グゼリオンス軍の方に歩いていく
『何者だ!! 食い殺してやれ!!』
男が怒鳴ると、ベアが3匹、マルス目掛けて突進してくる
『ハイウエイト』
『パンシーフィールド』
マルスが魔法を使うと、ベア達は、地面に倒れ苦しみ、麻痺している
『あの小僧を殺せ!!』
男が怒鳴ると、従魔が一斉に突進してくる
『ファイヤーノヴァ』
マルスが魔法を放つと、巨大な炎の玉が従魔の先頭付近に当たり、大爆発する。衝撃波と熱風と土煙が吹き荒れる
土煙が晴れると、大きな穴があき、従魔が吹き飛ばされている。グゼリオンス王国兵士達は、穴を唖然と見ていると、ベアーズ号が近付き、エミールとエレーヌが魔法で次々と眠らせていく
『主様、壊滅です』
シルバーが近付き言う
『手加減したのに、簡単すぎたね』
マルスが笑顔で言う
『勝てる気が全くしません。爆風に耐えた従魔達は、怯えて動けないようです』
シルバーが周囲を見て言う
『じゃあ降伏するか、アードラと戦うか、逃げるか聞いてね』
マルスが笑顔で言うと、シルバーが上機嫌で、森から現れるアードラを見てから、従魔達に近付く
マルスは、騎士達の方に戻ってくると、セレスバインが苦笑いして出迎える
『後始末よろしくね』
マルスが笑顔で言う
『あの魔獣は?』
セレスバインがアードラを見ている
『獣人達を襲いに来たけど、友達になったよ! アードラと呼んでね』
マルスが笑顔で言う
『森の主・・・アースドラゴンが友達』
セレスバインが苦笑いしている
『戦いたいかな?』
『戦ったら、瞬殺で全滅します』
セレスバインが真剣になり言う
『それなら良いけど、仲良くしてね』
マルスが笑顔で言うと、西の空を見ている
『どうかしましたか?』
セレスバインがマルスに聞く
『みんな、やっと到着だね』
マルスが笑顔で言うと、視線の先にシルフィード号が飛んでいる
シルフィード号が着陸するのを待っている
『マルス、どうなっているのですか?』
リリシャが真剣に聞くと、みんなシルフィード号から降りてくる
『グゼリオンス軍を片付けたよ』
マルスが笑顔で言う
『あの大きな狼です!!』
リリシャが、シルバーを見ていると、セレスバインが苦笑いする
(そっちが最初に気になるのですか?)
『シルバーだよ! 仲間になっちゃった』
マルスが笑顔で言う
『後で触らせて下さいね』
リリシャが、微笑みながら言うと、セレスバインが苦笑いしている
『マルス師匠!! 勝手にグゼリオンス軍を倒さないで下さい!! 勇姿を見られなかったです!!』
メトリシアが詰め寄り言う
『強敵がいなくて、簡単だったよ』
マルスが笑顔で言う
『当たり前です!! マルス師匠からしたら、全部雑魚です』
メトリシアが大声で言う
『マルス!! あの大きいトカゲは何?』
キリシアがアードラを見ている
『アードラだよ!友達になっちゃった』
マルスが笑顔で言う
『背中乗せてくれるの?』
キリシアが笑顔で言う
『後で乗せて貰ってね』
マルスが笑顔で言うと、キリシアが嬉しそうに笑い、エビリアとクレスタが微笑んでいる
『あ! セレスバインお兄様!』
メーレスが、笑顔で降りてきて言うと、ジエルが緊張しながら、歩いている
『メーレス、元気だったか?』
『はい! こちらが、婚約者のジエル様です』
メーレスがジエルを紹介する
『ジエルです』
ジエルが頭を下げると、セレスバインが値踏みするように見ている
『ジエル様は、リリシャ様のお兄様です』
メーレスが笑顔で言う
『リリシャ殿の!! リベリアの英雄の家族なら、問題ない!! メーレス、幸せになりなさい!!』
セレスバインが満面の笑顔で言う
『はい! クライドルト王国のカーレスト諸島の太守様で、次期子爵となります』
『爵位など気にする必要は無い!! リベリアの英雄様の家族なら、ヘルゼレス王国から公爵でも何でも用意させる』
セレスバインが笑顔で言う
『え? こここここ公爵!! 恐れ多いです!! 子爵でも大変な事になっています』
ジエルが青ざめて叫ぶ
『わっはっはっは!! リベリアの英雄様が受け取らない、褒美を全部与えるぞ!!』
セレスバインが笑いながら言う
『ジエルお兄様、良かったですね』
リリシャが笑顔で言う
『ちょっと待ってください!! 申し訳無いのですが、お断りします! これ以上、色々言われても、困ります』
ジエルが慌てて言う
『メーレス、誠実で良い男だな!! 後でゆっくり話そう』
セレスバインが上機嫌で言う
『はい! セレスバインお兄様』
メーレスが微笑みながら言うと、ジエルがリリシャを見ている
(リリシャ、なんとかしてくれーーー! リリシャの家族と言うだけで、全部勝手に話が進む!! 相手は、ヘルゼレス王太子殿下だぞ!!)




