ローブの生地
宿屋に向かい
『4人部屋と2人部屋、空いているかな?』
『はい、空いております』
『後、馬車も預けたいのだが、大丈夫かな?大事なものもあるのですが』
『わかりました。警備を着けます。費用が1日昼夜で銀貨2枚になります』
『それで良いです』
食堂で食事をしながら今後の予定を話し合う
『リーベル様がシルトバス家に使いを出してくれたから、遅くても10日後にはシルトバス家に向けて出発出来ると思う』
リリシャが言うと
『じゃあ、明日は生地探しに歩き回ろう』
『そうだね。目的を先に済まそう』
『時間空くから、冒険者ギルドにも顔出す?』
『短時間で依頼出来ると良いよね』
翌朝、港町を歩きながら店を物色していく
『良いローブの生地ですか?』
『付加付きのローブを作りたいので』
『高級品は向こうの店に行くと良いですよ』
『ありがとうございます』
高級店に入り
『何かお探しですか?』
『付与魔法で付加するためのローブを探しています』
『付加ですか・・・』
『かなり高額ですが、よろしいのですか?』
『大丈夫だ』
店員は怪しむように見ながら奥のローブを見せる
『当店自慢のローブです、魔法防御の付加されているうえに、素材が良いので水属性を持っています』
『まあまあだけど、付与魔法は自分でするので、生地で仕立ててもらえる方が良い』
『何処かの貴族でも無いのに高望みするのは良くないですよ』
『高望みでは無いです』
店員は嫌嫌そうに
『この辺りの生地はどうですか?』
『魔力通さないですよね』
マルスは触り言う
『あなた達位ならこの生地で十分でしょ?』
店員は笑いながら言う
『この程度の生地しか無いと言うことですね』
『若造が買える生地はな!』
『この店は良いものが無いと言うことですね』
キリシアは大声で言って店を出ようとする
『何の騒ぎですか?』
『おかみさん、ただの嫌がらせです』
『付与魔法で付加する生地と仕立てを頼みたかったけど、この店には良い物が無いと言われただけです。魔力も通さない生地を出してね』
『本当ですか?』
『いや・・・ただの嫌がらせです』
『すいません、まだ時間があるので有れば、奥の生地を見ますか?』
『わかりました』
おかみさんは3枚の生地を出して
『この中でどれか良い物は有りますか?』
マルスは魔力視を使いながら魔力の流れを見る
『左が一番良いですが・・・真ん中は使えないですね』
おかみさんは驚き、店員に
『あなたはとんでもないお客様を追い払う所でしたよ』
『え?』
『触って、良い生地を見分けられる人はほとんどいません。もう下がってください』
『わかりました』
店員は入口付近に移動してこっちを見ている
『失礼しました。どの様に仕立てが必要ですか?』
『2人のローブを作りたいです。付与魔法はこちらで出来ます』
リリシャとエミールの分と言うと
『わかりました。ご予算はどのぐらいで考えていますか?』
金貨の袋を2つ置く
『このぐらいで足りますか?必要ならばギルドで引き出してきます』
袋の中を見て青ざめる
『冒険者ギルドカードを見せて頂いてもよろしいですか?』
キリシアがギルドカードを出す
『シッ!シルバー!!シルバークラス』
店員を睨みつけてから
『奥でお話をお伺いしてもよろしいですか?』
『良いですよ』
奥の応接室で待っていると
『失礼します。当店にお越し頂き、ありがとうございます。オルクスと申します』
『よろしくお願いします』
『その若さでシルバークラスの冒険者とは素晴らしいです』
『ありがとう』
『生地の件ですがどの様な付与をしますか?』
『かなり高位の付与になります。国宝級になるとは思います』
『こっ国宝級ですか?わかりました』
オルクスは苦笑いしながら
『水属性が付いている水蜘蛛の糸生地はいかがですか?』
『下で飾ってあったローブの?』
『そうです。この町で最高級品の1つです。この上はドラゴンとかを倒さないと不可能です』
『それで良いかな?』
『後はどんなものがあるのですか?』
店主は色々な生地の見本を出してくる
マルスは1つずつ確認していくと
『この4つが良いですね』
『まさかその4つを選ぶとは、どれも付与魔法で最高級品ですが水蜘蛛以外は今、在庫がありません』
『わかりました。水蜘蛛でお願いします』
『一反金貨50枚になります。仕立てが中綿や裏地や魔石の加工等を合わせて金貨10枚ですが、よろしいですか?魔石は用途によって変わるので後で選んで買ってくれれば良いですよ』
『一反って何着出来るのですか?』
『約10着です』
『取り敢えずは2着で良いですけど、魔石はこれを加工してください』
魔石を4つと鉱石を置く
『この魔石・・・大きいですね』
オルクスは手にもって固まる
『失礼しました。この魔石は迷宮ですか?』
『リベリアの迷宮です』
『この鉱石は?』
『魔力を通すので、魔石との接合部等に使ってください』
『魔力を通す鉱石?魔石と鉱石と生地で魔力を通すと良いものが出来ますね』
[コンコン]扉が開きリーベルが入ってきた
『あなた達でしたか』
『リーベル殿、知り合いですか?』
『昨日知り合いになりました』
オルクスはリーベルに説明をしている
『自分達の付与魔法で付与ですか』
『そうです。出来ると思いますか?』
『確実にやるでしょうね』
『え?そうなんですか?』
『リリシャの付与したランプは見事でした』
『国宝級って言っているのですよ』
『複数ですか・・・・』
『出来るのですか?』
リーベルはリリシャに聞く
『私はまだ出来ませんがマルスは余裕で出来ますね』
『余裕で・・・』
『リリシャの魔道の天杖見せてあげて』
『フローネ先生が人には見せないようにって言っていたよね』
『そうだった・・・』
『師匠の言ったことですか。他言は一切しません。約束します』
『わかりましたどうぞ』
杖を見せると
『これは・・・・まさか本当に』
リーベルは鑑定して青ざめる
『構造強化に魔力強化に魔力制御が完璧に付与されています』
『え?そんなこと出来るはずは無いのでは・・・』
『古代魔道具と同じレベルです・・・』
『本当に・・・国宝級を作るつもりで仕立てさせて頂きます』
『この事は他言しないでください』
『約束します』
オルクスは頭を下げて言う
『ミリアの件ですが、今朝使いが来たので伝えました。直ぐに会ってもらえると思いますので、来訪してほしいと言っていましたので、明日には出発しませんか?』
『わかりました。もう使者が?』
『ミリアが着いたか確認のために来たようです』
『わかりました。宿に帰り、ミリアに伝えます』
『明日出発でよろしいですね』