マルスと魔法玉
『マルス、飛空艇発着場に引っ越しか?』
ガシリオがやってきて聞く
『手狭だから、建て替えするから、中の荷物を片付けしてます』
マルスが笑顔で言う
『この山はなんだ?』
ガシリオが袋を見て中を覗く
『キリシアが溜め込んだ魔石だよ』
『大魔石より大きくないか?』
ガシリオが真剣に言う
『キリシアの殲滅するモンスターの魔石だからね』
『価値も相当な物だな・・・警備隊が警備してやる』
ガシリオが考えて言う
『馬車で運ぶのと、警備よろしく』
マルスが笑顔で言うと、警備隊隊員が走って呼びに行く
マルスは、古代書を読みながら色々探し始める
『シリウス、これは? 魔力玉?』
『魔力玉だ! 魔道具や魔力が必要な物に魔力を供給する物だ! 魔導炉が完成する前まで主流だった』
シリウスが淡々と説明を始める
『これを作れば、魔導炉無しの魔導車や魔導船作れるね』
『我が主には必要ないだろう! 魔導炉作れるのだから!』
『魔石が消費できる!! それにこれって飛行石と同じような感じだけど』
『飛行石は、魔法玉から進化して作られたぞ』
『そうなんだね! じゃあ練習台に魔法玉作ろう』
マルスが笑顔で言う
『言ったらダメだったか?』
シリウスが不安そうに呟く
マルスは、倉庫から魔石の袋を持ってくると、クリスタルコンバージョンとフュージョンを使い、形を変え始める
『あれ? こんなに小さくなった』
マルスが拾いじっくり見ている
『魔法玉だ・・・最初から完璧とは』
『沢山作ろう! これなら運ぶ手間が無くなるね』
マルスが笑顔で言う
『やっぱり・・・魔法玉より運ぶ大きさか・・・』
シリウスががっかりしている
『あれ?これは?』
『それは魔法玉により魔力が失われた結晶だ!付与魔法に良く使われていた』
シリウスが真剣に言う
『今度使ってみよ』
マルスが笑顔で拾い、真剣に見ている
『マルス師匠、運び出し終わりました』
エミールが呼びに来ると、中を確認する
『壊すの勿体無いですね』
リリシャが寂しそうに言う
『そうだね。だけど建て替えないとね』
マルスが真剣に言う
『どうやって壊すの?』
キリシアが真剣に聞くと、みんなマルスを見る
『勿論、キリシアの本気の攻撃だよ! 頑張ってね』
マルスが笑顔で言うと、みんなキリシアを見る
『仕方無いなー、どのぐらいで壊れるか楽しみー!』
キリシアが嬉しそうに言う
キリシアが本気で宝物庫の扉を槍で攻撃を始め、みんな見ている
『はぁはぁはぁ』
キリシアが疲れ初める
『マルス!! どうやって壊すの!!』
キリシアが大声で叫ぶ
『やっぱり・・・簡単に壊れないね』
マルスが笑顔で言う
『凄いです!! 壊そうとして、中々壊れないなんて!!』
メトリシアが嬉しそうにしている
『ふふふ、どうやって壊すか楽しみですね』
リリシャが微笑んでいる
『キリシア、半日で壊せるんだよね? 頑張ってね』
マルスが笑顔で言うと、キリシアが闘気をまとい、次々と槍で突き始める
『何をしているのですか?』
フローネが苦笑いして歩いてくる
『キリシアに壊して貰っています! 強度の確認です』
マルスが笑顔で言うと、キリシアが本気で次々と攻撃している
『あははは・・・・これを壊すの、可能なのですか?』
フローネがキリシアの後ろ姿を見て聞く
『いつかは破壊出来ます。』
マルスが笑顔で言う
『マルス、そう言えば、前回来た時、強化するって何かしてませんでしたか?』
リリシャが思い出して聞く
『したよ! 魔晶石使って、魔力補充と紋章魔法と紋様魔法追加したね』
マルスが笑顔で言う
『マルス!! 早く言え!! 1人で壊せない!!』
キリシアが真剣に怒鳴る
『ルメイルとケニスとヒストリアも手伝ってね』
マルスが笑顔で言う
『あ! マルス師匠の壊せるなら、壊してみろです』
メトリシアが笑顔で大声で言う
『絶対に壊す!!』
キリシアが大声で叫ぶと、ルメイルとケニスとヒストリアが闘気をまとい攻撃を始める
『はぁはぁはぁ』
キリシアが疲れたように肩で息をしている
『マルス師匠、未熟でごめんなさい』
ヒストリアが苦笑いして言う
『マルス、壊せないけど、どうします?』
リリシャが真剣に聞くと、フローネが苦笑いしている
『本気で壊そうかな?』
マルスが笑顔で言うと、魔晶石の方に行き、魔晶石の魔力回路を切断してから、取り外し始める
『マルス師匠、これは?』
エミールが受け取り聞く
『この宝物庫に魔力を供給する魔力供給魔道具だよ! これが有る限り、半端な攻撃で壊せないからね』
マルスが微笑みながら言う
『マルス・・・壊せないの解っていたの?』
キリシアが苦笑いして言う
『キリシアなら壊せるかも知れないと、思っていたよ』
マルスが笑顔で言うと、扉の脇の魔力回路を紋様魔法で切断をして、扉の紋章魔法を無力化していく
『これで壊せるかな?』
マルスが笑顔で言うと、剣を抜いて闘気をまとい、次々と攻撃して、扉が砕ける
『うそ・・・やっぱりマルスはズル!!』
キリシアが真剣にマルスを見て言う
『順番に壊さないとね』
マルスが笑顔で言うと、ヒストリアが崩れ去った扉を見ている
『魔力が有る限り、壊せない扉なのですね』
フローネが真剣に見て言う
『壁を壊した方が、早く中に入れます』
マルスが笑顔で言う
『お父様に伝えておきます。キリシア師匠でも壊せない宝物庫の扉を、マルス師匠なら宝物庫を壊せますと』
メトリシアが笑顔で言う
『それは言わないで!! 壊せないと思われるから!!』
キリシアが真剣に怒鳴る
『キリシアも数日間で壊せるからね』
『そう!! いつかは壊せる!!』
キリシアが真剣に言うと、リリシャが笑い出す
『いつかはですか・・・騎士団だったらどのぐらいかかりますか?』
ケニスが微笑みながら言う
『数年? 無理かな?』
『騎士団長にやらせます』
メトリシアが笑いながら言う
『お父様の情けない顔が思い浮かびます』
ヒストリアが呟くと、全員が笑い始める