警備隊訓練と旅立ち準備
『明日は警備隊の訓練所にしようか』
キリシアが言うとみんなで頷く
翌日は馬車の手配をしてから、警備隊の訓練所に向かう
『こんにちは、隊長は訓練所にいますか?』
『キリシア殿、訓練ですか?』
『邪魔ならまた出直します』
『全員キリシア殿がこられるのを楽しみにしていますから、喜びます』
訓練所に入ると隊長が笑みを浮かべながら、待っていた
『キリシア殿、よろしく頼みます』
『楽しませて貰います』
キリシアは準備をして始める
『ルメイル、体が重いのでしょ』
マルスが言うとルメイルは目を背ける
『正直に言いなさい』
『重たいです』
『闘気を全身に動かして制御を始めなさい』
マルスの言葉に従いルメイルは目をつむり闘気を練る
『ゆっくり全身の闘気を動かして、焦らないで大丈夫だから』
『わかりました』
キリシアは次々と隊員を叩きのめして、全員を叩きのめす
リリシャとエミールが回復魔法で回復して回り、再びキリシアに向かっていく
『ルメイルは元気にしているのか?』
『昨日迷宮で沢山戦ったから、闘気が乱れていますが大丈夫です』
『闘気が乱れている?大丈夫では無いはず・・・』
『何時もの事ですから』
『そうなのか・・・ガリシオの膝もか・・』
『頼みがあるのだが』
『何でしょうか?』
『四肢に闘気を伝えると痛みが出て治らない・・・治ると思うか?』
『わかりました』
隊長は、マルスの言う通りに闘気を制御する
『闘気を完全に制御出来ています。流石は隊長です』
『毎日練っているからな。しかし痛みだけはどうにも出来ない』
マルスも考え始める。そして魔力視で見る
『隊長は魔法を使ったことは無いですか?』
『いや、無いな。魔法使いでは無いので』
『魔法を使う気も無いと言うことで良いですか?』
『使う気も無い』
隊長は笑う
『ちょっと無理な方法を使いますので、もしかしたら痛みが増す可能性もありますが、良いですか?』
『構わん。可能性があるのであれば!』
『わかりました。試してみます』
マルスは隊長の腕の魔力溜まりを魔力操作で少しずつ解消していく
『腕の動きに違和感はありませんか?』
隊長は腕をまわして確認するが
『問題ない。軽いぐらいだ』
『一度、闘気を纏ってみてください』
『痛みが無くなった』
『ほかの所もやりますか?』
『頼む治してくれ』
マルスはもう片腕と両足と背中から身体中の魔力を操作していく
『終わりました』
『軽く体を動かしてみてください』
『わかりました』
隊長は体を動かして状態を確認し始める、そして闘気を纏い動き始める。その様子を魔力視で確認し続ける
『まさか痛みが無くなるとは・・・・』
『異常はありませんか?』
『痛みが無くなった事が異常だな』
隊長は笑う
『もう少し激しく動いてみます?』
『そうだな』
隊長はニヤリと笑みを浮かべると訓練用の剣を持ってキリシアの前に行く
『少し邪魔するぞ』
『こちらこそ、よろしくお願いします』
キリシアの言葉に頷きながら剣を振るう
キリシアはかわして槍で払う。隊長もかわして次々と剣で斬り込むが、キリシアもかわしながら槍で次々と突きをだす
キリシアの渾身の払いを受け損ない、体勢を崩した所を槍で剣を弾き飛ばす
『負けたか』
隊長は嬉しそうに笑いだす
『隊長、大丈夫ですか?』
『楽しい痛みの無い戦いなんて十年ぶりだ!!』
『治ったのか?』
ガリシオが隊長に聞くと
『もっと早く、マルスに見て貰えば良かった。ワハハハ』
『良かったです。無理はしないように』
『ありがとうございます』
その後もキリシアが次々と隊員を叩きのめしていく。リリシャとエミールの回復魔法で回復されたら直ぐにキリシアに向かっていく
『しかし、キリシア殿はどんどん強くなっていないか?』
『まだ本気を出して無いから、どうだろう?』
『え?本気を出してない?まさか・・・』
隊長の顔色が変わる
『ゴーレムを一刀両断出来るから』
『冗談に聞こえるが、キリシア殿の実力ならあり得る』
『動きがどんどん良くなっているけど』
『全て見きっているから無理な動きをしないようになって、体力が続くようになっているのか』
隊長はキリシアを見ながら頷く
馬車と必要な物を買いに市場に行く
『この屋根の馬車はどう?』
『雨漏りしないのかな?』
キリシアとリリシャは店主を見る
『大丈夫です』
『本当に?試してみて良いですか?』
『もちろん大丈夫ですよ』
『アクアボール』
水が馬車の上で弾けて馬車に水が降りかかる
『雨漏りしているね』
店主はひきつった顔で固まっている
『修理しないと使えないね』
『店主、雨漏りしないように直せるの?』
『直ぐに直しますが、数日かかります』
『じゃあやめようかしら』
『安くしますので・・・』
『今日中に直して』
『それは・・・』
馬車に乗ってきた人が
『主人、客か?』
『親方、実は雨漏りしていて・・・』
馬車の中を見て
『これはダメだな』
『おっ親方!』
『こんな馬車、買う方が悪いと言うより、売る方が悪い』
『う!』
『屋根がある馬車が良いのか?』
『その方が旅しやすいから』
『あの馬車はどうだ!』
『いくら?』
『金貨12枚でどうだ!』
『わかった。雨漏りだけ確認して良い?』
『もちろんだ。雨漏りしたら直ぐに直す』
『アクアボール』
水の玉を作り馬車の上で破裂させる
『大丈夫だね』
『ワハハハ!これは良い。嘘はつけないな!あっちに良い馬がいる。買うか?』
『買う』
『即答か!良し、行こう!』
馬を選びに行くと
『親方・・・』
『あの馬いくらだ?』
『二頭で金貨16枚で』
『12枚だろ?』
『はっはい、12枚です』
『買うか?』
『もちろん買う』
早速馬車を馬に引いてもらう
『良いですね』
『当たり前だ。しかし即決即断気に入った』
『キリシアは何時もそうだよね』
『旅をするならそういう所が大切だ。何か困ったことあったら言ってくれ』
『ありがとう親方』
親方は帰っていく。そして主人が
『親方が人を気に入るとは』
『そうなの?』
『馬車を作る腕はいいですが、性格が性格で、誰の言うことも聞かない』
『職人だね』
キリシアの言葉に店主は苦笑いをしている
旅に必要な物を買い集めて馬車に載せる
『結構、載るね』
『広いですね』
『後は食料と水だよね』
『私物もちゃんと置けるね』
『後は歩いて小物を集めて、明日出発にしようか?』
『宿屋に預けましょう』
『馬を世話しておきます』
ルメイルはそう言うと
『任せた』
ルメイルに馬車を預けてギレリムの鍛冶屋に向かう
『ギレリム、いる?』
奥からギレリムが出てきて
『ちょうど良かった』
奥に行くと腕輪が出来上がっていた
ボムの鉱石と魔石で作った物だった
『3つは高級感があるね。2つは少し劣る様な作りだね』
『丁度良いだろ?3人に2人の弟子』
『ありがとう、ギレリム』
『後はマルスの付与魔法次第だな』
マルスは腕輪を手に持ち魔力を操作し始める
『通りが中々良いね。時間かからないで付与魔法を使える』
『明日、出発前にやる?』
マルスは頷く
『何処かに行くのか?』
『交易都市までローブを買いに行こうと思っています』
『リリシャとエミールのローブだな』
『はい、そうです』
『気を付けて行ってこい』