アーメルドの事態
ルキア達は、兵士達の案内で町の怪我人を次々と回復魔法で治療していき、日が暮れる頃、治療が終わり、歩いて領主の館に向かおうとする
『ありがとうございました! この御恩忘れません』
治療を受けた人達が、真剣に頭を下げている
『良かったです。沢山の人を救えて! もう怪我人はいませんか?』
ルキアが人々を見て言う
『あの~お名前を聞いてもよろしいですか? 』
『気にしないでください!』
ルキアが笑顔で言うと、歩き出すと、ルキア達の後ろ姿が見えなくなるまで、見送っている
マルス達は、魔導船に向かう
『英雄様お帰りなさい』
レスリアが微笑みながら言う
『怪我人は出たかな?』
マルスが真剣に聞く
『元気ですが、怪我した者もいます。』
レスリアが考えてから、苦笑いして言う
『全員手当しますので、案内してください』
マルスが真剣に言うと、案内して貰う
『マルス様、この程度かすり傷です。キリシア様の訓練に比べたら! イタ!』
ゼオンが腕を回すと痛みに苦笑いする
『無理はしないで、回復魔法を受けてください!』
マルスが真剣に言うと、エミール達が次々と回復魔法を使っていく
『詳しく聞きたいんだけど』
マルスがゼオンに真剣に聞くと、ゼオンが詳細に説明を始める
キマイラが現れ、住民達が逃げ惑い、アーメルド兵は武器を持ち立ち向かう
『ゼオン様、魔物が町中で暴れています』
海兵が真剣に言う
『兵士で対応出来てないのか? それとも強い魔物か?』
ゼオンは考えながら呟き
『援護するぞ!』
ゼオンが言う
『しかし、任務は魔導船の警備です!! 町を救うために、魔導船に何か有ったら、何て言われるか・・・』
『英雄殿なら、見殺しにしたら、どんなことを言われるか、考えてみろ』
ゼオンが苦笑いして言う
『それは・・・根性叩き直しですか?』
海兵が苦笑いして言う
『どっちが良いか解るな!』
ゼオンが真剣に言うと、海兵達は慌てて準備をする
『魔導船を襲っても、鍵が無くては、動かないものを・・・』
ゼオンは呟き、鍵を掛けて小型船に乗り込み、港に向かう
魔物の暴れている方角に走っていくと、キマイラが兵士達を凪払い迫っている
『キマイラ!! 全員気合い入れろ!!』
ゼオンが叫び、突撃して闘気をまとった剣で斬り付け、海兵達も次々と武器を片手に突撃して、キマイラに斬りつけていく
『トドメだ!!』
ゼオンが剣を振りかぶり、キマイラの首目掛けて振り下ろし、首を切り落とすと、キマイラが動かなくなる
『何故キマイラが・・・他にもいるのか?』
ゼオンが呟き、キマイラを見ている
『よくも!! 可愛い従魔を!!』
キマイラに乗った男が怒鳴り、2体のキマイラが現れる
『キマイラが!! もしかして・・・』
ゼオンは呟き、剣を構える。2体のキマイラがゼオン達に襲いかかる。ゼオンは、キマイラをかわしながら剣を振り、斬り付け、海兵達も必死に迎撃をしている
『うわぁぁぁーーー』
ゼオンが男の乗ったキマイラの攻撃をかわしきれず、壁まで吹き飛ばされる
『ゼオン様!! どうしたら!!』
海兵達が困惑気味に防戦をしている
『ゼオン様、ここは1度引いて、立て直しを!! 』
海兵がゼオンに言う
『お前達の覚悟は、その程度か!! キリシア殿に知られたら、どうなるか考えてみよ!! この程度の魔物に逃げたなんて言ったら、どうなる!!』
ゼオンが大声で言う
『こんな奴!! 訓練より怖くない!! 逃げたら、数倍の恐怖が待っているぞ!!』
海兵が叫び、海兵達の目付きが変わるのを、ゼオンが見て苦笑いする
(やっぱり怖いか・・・キマイラごとき、訓練に比べたら、恐怖に感じない!!)
ゼオンは、キマイラに闘気をまとった一撃を与えると、海兵達は容赦なく武器を突き立てる
『よくも!! 許さん!! 真の恐怖を味わえ!!』
キマイラに乗った男が怒鳴り、キマイラが咆哮をあげる
『その程度、怖くない!! 』
ゼオンが叫び、剣を突き立て、海兵達が次々と斬り付ける。
『嘘だ!! 何故恐れない!! 化け物か!!』
男が後退りしながら叫ぶ
『貴様、グゼリオンス王国の者だな!! 何故ここに』
ゼオンが睨みながら言う
『グゼリオンス王国従魔団相手に勝てるか? 今見逃してくれたら、必ず登用する!!』
男は周囲を見てから言う
『こんな侵略行為して、ただで済むと思っているか!!』
『エサの分際で!! 貴様らを皆殺しにするのは簡単だ!! 追ってくるなよ!!』
男は怒鳴り、逃げ出すと、ゼオンは後ろから飛び蹴りを食らわせて男を倒すと、腕を掴み、へし折る
『ぎゃーーーー!』
男が悲鳴をあげる
『こいつを拘束して、牢にぶちこんでおけ!! 残りは魔獣殲滅するぞ!!』
ゼオンが大声で言うと、海兵達は次の魔獣を探しに走る
『貴様がリベリアの英雄か・・・リベリアは今頃全滅しているぞ!! 悔しがれ』
男が叫ぶと、笑い出す
『哀れな・・・リベリアの英雄様に喧嘩を売るとは・・・それもリベリアには、最強の警備隊がいるのも知らぬとは・・・』
ゼオンが呟き、男が連行されていくのを見ている
マルスは真剣に聞きながら考えている
『魔導船は襲われなかったの?』
マルスが聞く
『帰ってきたら、魔獣が扉を叩いていましたが、海軍が容赦なくカタパルトや矢を放ち、殲滅しました』
ゼオンが真剣に言う
『そうか、扉破られなかったの?』
『壊す気で海軍も攻撃しましたが、壊せませんでした! 壊したら報告するつもりでした』
ゼオンが笑いながら言うと、海兵達が笑っている
『ゼオン様が、一言! 魔導船の扉や外装を壊す気で攻撃しろと、命令してました! 魔獣も、まさか手加減抜きで集中攻撃受けるとは、思ってなかったようでした』
海兵が苦笑いして言う
『壊してくれても良かったのに・・・強化をする方法考えるから』
マルスが真剣に呟くと、みんな笑い出す
(やっぱり英雄様は、違いすぎる)




