ウルストとクリス
屋敷に帰る
『マルス様お帰りなさい』
オルガーが笑顔で言う
『オルガーただいま』
『マルス様ヘルト殿下が来ています』
オルガーが真剣に言う
『何の用だろう?』
マルスが呟き、リビングにいく
ヘルトとウルストと女性とクレシアとクリスとメトリシアが話している
『あ!マルス師匠お帰りなさい』
メトリシアが笑顔で言うと、女性が微笑みながらマルスを見る
『メトリシア、これは何の話し合い?』
マルスが苦笑いして聞くと、厨房からレセナが出てくる
『えーと、リベリア公爵家の話し合いですけど』
メトリシアが苦笑いする
『マルス殿、クリスちゃんが家に帰らず、屋敷にも来ないので、ウイントレス公爵から話し合ってほしいと、ウルストから相談が有って連れてきた』
ヘルトが苦笑いして言う
『家には帰りません!! 御姉様から離れません』
クリスが大声で言う
『クリス、これ以上英雄殿の屋敷にも籠られても、困る。一度御父様と話し合って来なさい』
ウルストが真剣に言う
『嫌ーー!!』
クリスが大声で言うと、クレシアが困った顔になっている
『クリスちゃんも貴族の家に生まれたのですから、礼儀作法に、お勉強も必要です』
女性が真剣に言う
『どうして、御姉様から離そうとするの!! 御姉様と一緒が良いの!!』
マルスは、クリスとウルスト達の話し合いを見ている
『クリスちゃん帰ったら、友達はいないのかな?』
マルスが微笑みながら聞く
『いないよ』
『寂しいのかな?』
『・・・・・うん』
クリスがうつむきながら言う
『ウイントレスが、この前、帰った時にクリスちゃんが帰ってこないから、寂しいって言っていたよ』
『え!!』
クリスが驚いている
『クレシアがいなくなり、クリスも・・・それで帰ってきて、欲しがっていたのか?』
ウルストも苦笑いしている
『ウルスト様は、何故帰らないのですか?』
マルスが真剣に聞く
『え! それは・・・』
ウルストが苦笑いして、女性を見る
『ん? ウルストも好き勝手か?』
ヘルトが苦笑いする
『クレシアが帰らないから・・・』
ウルストが苦笑いして言う
『許嫁を見付けてこいと、言われて王都に来ましたよ、御父様の意思です。ヘルトの立場上王都に住むのが良いですよね?』
クレシアが笑顔で言う
『え! えーと・・・』
ウルストが苦笑いしている
『ウルスト、公爵家を継ぐものが、領地に帰りたくないのか?』
ヘルトが真剣に聞く
『え!! それは・・・』
『クリスちゃんに帰れと言いながら、ウルスト様は好き勝手ですか?』
メトリシアが真剣に聞く
『ウルスト、帰ってこいと言われていたのですか?』
女性も心配そうに聞く
『えーと、はい・・・』
ウルストが苦笑いして言う
『何故早く言ってくれなかったのですか?』
『一緒に居たかったから・・・』
ウルストが真っ赤になって言う
『ウルスト・・・貴族の家に生まれたからには、覚悟は有ります。ウルストが、一言言ってくれれば、両親を説得します。』
女性が真剣に言うと、ウルストを見詰めている
『良いのか?』
『嫌なら、今日一緒に来ません。親もウルストなら良いと認めてくれています。』
女性が真剣に言う
『クレシア様、これって、クリスちゃんに帰ってきて欲しいよりも、ウルスト様が、しっかりして欲しいって事ですか?』
マルスが真剣に聞く
『そうかも知れないですね・・・寂しいのは、間違いないですが・・・』
クレシアが苦笑いする
『何の密談ですの?』
アリシアが笑顔で帰ってくると、女性がアリシアを見て驚いている
『え!アリシア様まで何故こちらに!!』
『イーレシア?どうしてこちらに?』
アリシアが女性に聞く
『ウルストと一緒にクリスちゃんに、リベリアに帰るように説得に・・・』
『それだけですの? クレシア様とクリスちゃんに紹介ですの?』
『えーと、ウルスト次第です』
イーレシアが言うと、ウルストを見る
『え! えーと、どうしたら?』
ウルストが苦笑いしている
『アリシア様、イーレシア様は、どこかの貴族なのですか?』
マルスが苦笑いして聞く
『え? 紹介は受けてないのですの? 何故屋敷に?』
『ん? 先に話し合いを始めていたから?』
ヘルトが苦笑いする
『ヘルトお兄様、マルス師匠の許可貰わずに、勝手に話し合いを始めてました!!』
メトリシアが大声をあげる
『え? そう言えば・・・マルス殿の屋敷にクリスちゃんは居候しているのですから、マルス殿の了解も必要か?』
ヘルトが苦笑いする
『ウルスト、どうして、ヘルトと一緒に来たのですか?』
クレシアが真剣に聞く
『クレシアに話をするにも、いきなり来訪は、出来ないから・・・』
ウルストが苦笑いして言う
『来訪したなら、マルス様に挨拶しなかったのですの?』
アリシアが真剣に聞く
『え! えーと、してないです・・・』
ウルストが言うと、イーレシアがウルストを見ている
『ここで話し合って良いのですか? レセナ様が、聞かれてました。それにメリアも』
マルスが厨房を見る
『あ!! レセナ様がいる前で、恥ずかしい話をしてました!!』
メトリシアがレセナを見て言う
『あ!! 他国に恥をさらしていたか・・・』
ヘルトがレセナを見て苦笑いする
『そうでした・・・レセナにメリアにヒリアにリリアまで、ここにいます』
クレシアが苦笑いする
『え? えーと』
ウルストが苦笑いしている
『取り敢えず、紹介した方が良いですよね? レセナ様よろしいですか?』
マルスがレセナを見て言う
『ウルスト様、はじめまして、レセナ・エレストリアクレイスです。』
レセナが微笑みながら、挨拶する
『え! これは申し訳ありません! ウルスト・リベリアです』
ウルストが慌てて挨拶をする
『イーレシア・メリトリアノスと申します。』
イーレシアが慌てて挨拶をする
『メリトリアノス? どこだろう?』
マルスが考えながら聞く
『北西部の湖が綺麗な男爵家です。』
メトリシアが笑顔で言う
『マルス様の噂は、ウルストから聞いてました。お会いするのが楽しみでした。』
イーレシアが微笑みながら言う
『ウルスト様、なんて話したのですか? まさか』
マルスが微笑みながら言う
『え! えーと、その』
ウルストが苦笑いして、イーレシアを見ると、全員ウルストを見ている
『ウルスト、もしかして・・・どこまで話したのですか?』
クレシアが真剣に聞く
『リベリアの英雄と・・・後、戴冠式で陛下を守った英雄様と』
ウルストが青ざめながら言う
『言ったらダメだと、話していたはずだが・・・』
ヘルトが苦笑いして言う
『え! ウルスト、本当ですか?』
イーレシアが慌ててウルストを見る
『内緒にして欲しい』
ウルストが苦笑いして言う
『イーレシア、リベリアの英雄の名前と偉業は、知っていても、内緒にして欲しい! それが王国とリベリアの英雄の約束だ! 関係の有る各国も全て機密にしている。クライドルト王国は最高機密にしている』
ヘルトが真剣に言う
『え!! ウルスト、何故私に話したのですか!! 知らなかった事とは言え、大変申し訳ありません』
イーレシアがウルストに言うと、マルスにすぐに謝る
『イーレシア様、約束してくださいね! 自分より、今リベリアに残っている方に、ばらした事を知られたら、なんて言われるか』
マルスが真剣に言うと、クレシアが説明をする
『ウルストから聞いた事は、一生誰にも話さないと誓います。』
イーレシアがヘルトに誓いを立てる
『話を戻しますが、ウイントレス公爵が、寂しいから、クリスちゃんか、ウルストにリベリアに帰ってきて欲しいと、思っている。ウルストを通して、クレシア様とクリスちゃんに話をするように、言われたのですね』
マルスが真剣に言う
『その通りだ』
ウルストが真剣に答える
『ウルスト様は、イーレシア様と一緒にいたいから、王都を離れたくない、クリスちゃんは、クレシア様から離れたくないけど、帰ったら友達もいないから、寂しい。これで良いのかな?』
マルスがクレシアを見て言う
『そうですね。ウルストかクリスが帰るしかないでしょうね』
クレシアが真剣に言う
『今後を考えると、ウルスト様は次期領主としてリベリアに帰る必要が有る。クリスちゃんは魔法学院に入るから、数年後王都に来ないといけない』
『その通りだな・・・魔法学院に入れなくても、貴族学院には入学する必要が有る』
ウルストが真剣に言う
『アリシア様、解決法はもう解っていますよね』
マルスが笑顔で言う
『簡単ですわ!!ウルストはリベリアに帰りなさいですわ!』
アリシアが笑顔で言う
『え! それは・・・』
ウルストが苦笑いして、イーレシアを見る
『秘密の共有として、イーレシアを妻として連れ帰れば、問題は無いですわ! それにイーレシアは、クリスちゃんと仲良くなれば、クリスちゃんも寂しく無いですわ!』
アリシアが笑顔で言う
『それが1番だな!』
ヘルトが笑顔で言うと、イーレシアがウルストを見ている
『クリスちゃんも、それで良いかな?』
マルスが真剣に見て言う
『クレシア御姉様・・・』
クリスがクレシアを見ながら呟く
『クリス、もう少しで式が有ります。この屋敷に居候も、もう少しで終わりです。クリス、もう解ってますね?』
『はい・・・御姉様』
クリスが寂しそうに言う
『ウルスト、決断しなさいですわ!!』
アリシアがウルストを見て言う
『え! イーレシア、一緒に帰ってくれるか?』
ウルストが赤くなりながら言う
『はい、覚悟は出来てます』
イーレシアが笑顔で言う
『お母様に報告しておきますわ! 誰にも文句は言わせませんわ』
アリシアが笑いながら言う
『家の許可無しで、話して良かったのか?』
ヘルトが苦笑いして言う
『ウルストが、後で言ってないなんて言っても、もう遅いですわ! レセナ姫様とヘルトとメトリシアと私が、証人ですわ!それにマルス様とエミール師も聞いてますわ』
アリシアが笑いながら言う
『それもそうだな・・・マルス殿が聞いている時点で、逃げ道無しだな』
ヘルトが笑い始める




